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これでしか撮れない写真がある個性派カメラ カシオ「EX-100」(3/5 ページ)

» 2014年03月24日 11時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

ある意味9眼、ってどういう意味だ?

 カシオは時々ユニークな大ネタ機能をどかんと搭載してくる。メイクアップしてくれるプレミアムオートPROもそうだし、超高速連写もそうだったし、最近ではHDRアートもそうだった。EXシリーズではBKTモードである。

 普通のブラケット撮影は1次元である。露出ブラケットの場合、露出アンダー・適正露出・露出オーバーを撮ってあとから選べる。カシオはそれを2次元にしたのだ。露出ブラケットとホワイトバランスブラケットをそれぞれプラスとマイナス、適正値の3つで撮影すると、撮影枚数は9枚になる。「ある意味、9眼」はこの機能を指している。例えば、露出アンダーでちょっとホワイトバランス高め、というような写真を1回のシャッターで撮ってくれるのだ。

 1回シャッターを押すと、9枚の高速連写を行うわけで、メモリを食ってしょうがないのであるが、使い方によってはこれがなかなか有効である。

 9枚の2次元ブラケットは、フォーカス×絞り、ホワイトバランス×明るさ(露出)、コントラスト×彩度、ホワイトバランス×彩度、ホワイトバランス×コントラスト、彩度×明るさ、コントラスト×明るさの7種類。

photophoto ブラケット撮影モード。ApertureやSaturationと英語表記されているのがちょっと気になる

 さらに1次元のブラケットが明るさ、ホワイトバランス、フォーカス、絞り値、シャッタースピード、ISO感度(ISO感度を変えながら3枚撮影)、ISO感度2(絞りとシャッタースピードを固定したままISO感度だけ変えて3枚撮影)、彩度、コントラストと多彩だ。フォーカス×絞りは近距離撮影の時にいい。

 特にやや望遠気味でマクロ撮影するときは、被写界深度によってイメージが全然変わるし、被写界深度が浅いので微妙なピント位置のずれが気になるし、カメラが判断したフォーカス位置がこっちの意図と違うこともある。でもその辺を補ってくれるのだ。

photo 165ミリ相当でフォーカス×絞りブラケット。一番下の段がF8。被写界深度が深いので後ろの人形もはっきり写っている。2番目の段がF2.8。前後がボケるのでフォーカス位置によって写りがガラッと変わる

 これなら細かい被写界深度の知識が無くても、細かくフォーカス位置を指定しなくてもカメラ任せに撮っちゃって、あとで一番撮りたかったイメージに近いものを選べばいい。もうひとつ、ホワイトバランスと明るさ(露出)のブラケットで撮った例を。

photo ホワイトバランスと露出のブラケットで撮ったポートレート

 なお、各項目のブラケット幅は自分で調整できるので、より大きな差を出すことも、より微妙な差におさめることもできる。その気になればかなりバリエーションを作れるのがありがたい。

 残念なのは、ブラケットの組み合わせをカスタマイズできないこと。好きな項目を組み合わせればよかったのに。ついでに、普通の撮影のみならず、HDRブラケットとか、トイカメラブラケットとか、紅葉モードブラケットとか、メイクアップブラケットとか、ベストショットやアート系機能も効果の強さを変えつつブラケットしたかった。

 そのくらい突き抜けた方がカシオらしいかと思う。

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