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» 2014年05月23日 11時00分 UPDATE

今日から始めるデジカメ撮影術:第176回 観光地スナップの人と背景の関係 (1/3)

観光地でパシャリ1枚。どうしても似た感じになりがち。背景と被写体それに自分との距離、広角か望遠か、カメラの高さなど、ちょっとしたことに気をつければ見栄えはグンとアップするのだ。

[荻窪圭,ITmedia]

 気持ち良く晴れる日の多い5月。行楽シーズンなのでちょいと観光地でも行くかと、小江戸として有名な埼玉県の川越を訪れてみたのである。

 川越の歴史は非常に古く、古墳も多く残るし、平安時代後期には秩父系平氏の河越氏が領し、室町時代には扇谷上杉氏が川越城を居館とし(築城は、最初に江戸城を築いたことで有名な太田道灌と伝わる)、戦国時代には小田原北条氏が領した。江戸とは荒川・入間川を使った水運や、川越街道で結ばれ、徳川家康もたびたび鷹狩りで訪れたという。

 川越が観光地として脚光を浴びているのは、江戸〜大正時代の街並みや建物がかなり残っているから。歩くだけで歴史を感じられるし、古い建物を利用したカフェなんかも増えてて派手ではないけどいい感じ。歴史なんて興味なくても古建築近代建築好きにはかなり垂涎ものだ。

photo

まずは観光地スナップの基本をおさらい

 で、今回は観光地でポートレートを撮る話。

 とりあえず、駅を降りて歩いてたら商店街をこいのぼりが覆っていたので(こどもの日はとっくに過ぎていたのだけど)、その前でとりあえず撮影。

photo 商店街を泳ぐこいのぼりのまえでパシャリ

 悪い例としてさくっと撮ってみたんだけど、いろいろな意味でうーんという感じ。

 顔が暗くてどよんとしてるとか、立っている位置が中途半端とか、全身を入れたいのならちゃんと足先までいれろとか、車が通り過ぎるのを待ってから撮れよとか、背景がごちゃっとしててよくわからんとか。

 まず、曇天時は暗めに写りがちなので、撮ってみて暗いなと思ったらプラスの露出補正をかけること。大胆にかけることで全体に明るくなる。

 全身を入れるならきちんと入れる。商店街の真ん中で撮りたいと思ったら、ちゃんと真ん中で撮る。通行人などが途切れた瞬間に撮る。全身を撮る時はプロポーションがきれいに見えるよう少し低めの位置から撮る。

 その辺をふまえて撮り直したのがこちら。

photo 曇っていたので+1.67の露出補正をかけ、もろもろ踏まえて撮り直し

 でも今ひとつさみしい感じ。空を鯉のぼりが覆ってるような華やかさがない。

 さてどうするか。

 レンズがズームレンズなら、まず少し望遠側にしてみる。

 望遠にすると、一般に「圧縮感」というのだけど、遠近感が減って背景の密度が濃くなる。そうすると両側の古い商店も上の鯉のぼりもぎゅっと詰まって密度が濃い感じになる(→望遠レンズならではの「圧縮効果」で構図を引き締める)

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 ただ、望遠にするほど背景が大きくボケやすくなるので、ボケすぎて背景がよく分からないのもさみしい。

 そういうときは絞り優先AEの出番である。上の写真は、フルサイズの一眼レフで絞り F5.6で撮ったものなのだけど、それをF8とF16でほぼ同じ位置から撮ってみた。

photo F8
photo F16

 F16まで絞ると背景がほどよく見えてきたってのがわかるかと思う。絞りを絞れば絞るほど(つまり、数字を大きくしていく)、ピントの合う範囲が広くなり背景もくっきりしてくる。

 ちなみに、イメージセンサー(撮像素子)のサイズでピントの合う範囲は大きく違う。例えばマイクロフォーサーズとAPS-Cでは約1段分、マイクロフォーサーズとフルサイズでは約2段分違う。

 めんどくさいけど、絞り値はおよそルート2倍を1段とするので、F5.6の上がF8、その上がF11、その上がF16となる。ちなみに、マイクロフォーサーズのカメラでF8で撮った写真がこちら。

photo マイクロフォーサーズのカメラで絞り F8

 フルサイズのF16で撮った写真と背景のボケ具合が似てるのが分かると思う。上の写真は中望遠で撮ったものだけれど、建物の一部だけを入れたいときはもう少し望遠気味で。

photo マイクロフォーサーズのカメラで、80ミリ相当 F2.8

 で、背景もくっきり写したいなと思ったら、絞り込んでやる。

photo 上の写真と同条件で絞り値だけをF16に
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