ITmedia NEWS >

4K30pのウェアラブルカメラ「HX-A500」をアクションカムとしてチェックする

» 2014年05月26日 13時35分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

4K撮影には制約あり

 パナソニック「HX-A500」のファーストインプレッションでは、4K30pの撮影をとりあえず試した(4K30pのウェアラブルカメラ「HX-A500」ファーストインプレッション)。その後にあちこちと設定をいじっていると4K設定では利用できない機能がいくつかあることが確認できた。

 4K撮影時に画角の切り替えができないことは既に前回の記事で言及したが、ブレ補正と水平方向の傾きを自動補正する「傾き補正」も4K撮影時には利用できない。これら補正がどの程度の効果を発揮するかは撮影時の状況にも左右されるが、試しに頭部固定で自転車に乗った状態でのフルHD映像で、両補正のオン/オフを行ったのが以下の映像だ。

「HX-A500」フルHD映像 手ブレ・傾き補正あり
「HX-A500」フルHD映像 手ブレ・傾き補正なし

 カメラを頭部固定にするとほぼ視線のトレースになるため、映像のブレは多く、水平を保てずに傾く場面も多い。上の映像は頭部固定&自転車という例だが、補正はオンにしておく方が見やすい映像になることが多いというのが個人的な感想だ。ただ、頭部固定で歩きながらとなると補正が追いつかず、細かな上下ブレが発生する映像となることが多かった。

 ちなみに上記2つの補正機能は、画角が「ワイド」、または画像サイズに1920×1080/60pと1280×720/60pを選択している場合も利用できない。従ってこれらの補正機能を使いたい場合は画角「スタンダード」を選択し、画像サイズは1920×1080/30pが最高になる。

操作性をチェックする

 操作性についてはカメラ部と本体を別体としており、さらに本体に液晶が搭載されているので、いわゆるアクションカムのなかでは最も快適な部類に属する。GoProのように電源と録画開始/停止ボタンの2つが大きめなのもよい。ジョイスティックは短く、素早い操作には向かないが、スティックの高さ(長さ)を抑えることで誤動作防止につながるという判断だろう。

photo 手元で状態を確認できるのはとても便利

 このジョイスティックは押し込むことでメニューの表示、上に2秒倒して本体キーロック、左でWi-Fi利用、右で設定(情報)の表示、下で撮影映像の再生を行える。ただ、再生について、本体から再生できるのは直近に撮影した1ファイルのみで再生時間は5秒(音声なし)。メモリカードに記録されたファイルの確認や閲覧は、Wi-Fi接続したスマホ(あるいはUSB接続でのパソコン経由)となる。

 液晶画面を備えていると、完全スタンドアロンでの運用ができるかと期待してしまうが、本製品の再生機能はちゃんと撮れてるかな?という撮影直後の画角確認程度にしか使えず、ちょっと実用性に欠ける。

 本体のサイズは59.5(幅)×94(高さ)×26.7(奥行き)ミリ 約185グラムで、シャツやパンツのポケットに入れるのはちょっと厚みと重量が気になる。記録用のmicroSDカードには側面からアクセスできるが、バッテリーは内蔵式で交換は行えない。カタログ上でのバッテリー実撮影可能時間はフルHD/30p時で約1時間10分(連続撮影可能時間は約2時間20分)。

photo 手にするとちょっと厚みを感じる本体
photo 側面のロックを解除するとカードスロットとUSB端子にアクセスできる

 手持ち機材がなく動作の確認できなかったが、同社製モバイルバッテリーからの充電を正式サポートするので、アウトドアレジャーへ持ち出す際には充電用バッテリーを別途用意していくのがいいだろう(既存のHX-A100はこのように同社製USBバッテリーからの充電をサポートしている)。

オプションのトライポッドマウントはマスト

 このHX-A500はカメラと本体が分離しているというスタイルであり、さらにカメラ部が円筒形をしているので、取り付けには頭を使うことになる。製品に付属するのはヘッドマウント(VM-HMA100)のみなので、別売のオプションを導入しないと利用の幅が広がらない。

photo 製品に付属するのはヘッドマウントとアームバンドのみ。自転車のハンドルやヘルメットなどに取りつけようとすると、別売のオプションが必要になる

 本体はやや厚みがあるとは言え形状は四角なのでスマホ用の固定グッズなどが利用できそうだが、問題はカメラ部。円筒形をしている上に固定した状態で回転すると画面が傾くので、ぜひともオプションのトライポッドマウント「VW-CTA100-K」を用意しておきたい。

photo 別売のトライポッドマウント「VW-CTA100-K」。カメラ部を固定できる
photo 底面の三脚穴を使えば三脚に固定することもできる

 トライポッドの名前が示すとおり、HX-A500のカメラ部を三脚に固定するためのマウント(アダプター)で、価格は1200円(税抜)。底面に三脚固定用のねじ穴が切られているので、三脚や一脚に固定することはもちろん、ねじ穴の径を合わせれば、純正以外のアクションカム用オプションを組み合わせることも可能になる。汎用性が非常に高いパーツなので、できればパッケージに同梱して欲しい。

photo カメラ部をトライポッドマウント「VW-CTA100-K」とビデオカメラマウント「RP-CMC10」の組み合わせでハンドルに固定、本体もマルチケース「VM-HLA500-K」で固定した例

 撮影機能としてはスローモーション撮影やUstreamを使ってのライブ中継機能も備えており、Wi-Fi(NFCも搭載)を使っての撮影映像のスマートフォン転送やリモート操作なども行える。既存モデルと同様、防水などタフネス性能も用意されている。再生についても、複数の動画から自動で見どころを抽出し、映像効果や音楽を付け加えて短い動画を自動生成する「ムービースライドショー」などユニークな機能を備える。いわゆるアクションカムのなかでは高機能/多機能モデルといっていいだろう。

photo フレームにカメラを後ろ向きに固定。この状態でもハンドルに固定した本体の液晶から撮影映像や設定をチェックできるのは非常に便利。ケーブル長さは約70センチ

 ただ、やはり着目すべきは「カメラ部が別」であることと「4K30p」に尽きる。後者については再生環境がまだ十分に整理されていないという現状があるものの、「4Kで撮れるアクションカム」という存在には価値がある。また前者についてはこの構造を備える唯一のカメラだけに、工夫次第でこれまでになかったいろいろな映像が撮れるだろう。ひさびさにワクワクするビデオカメラだ。

※初出時に本文中に「トライポット」という表記がありましたが、正しくは「トライポッド」でした。おわびして訂正いたします。(7/18 14:00)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.