さてやっと性能の話。
イメージセンサーはRX100 IIと同じ、1型(13.2×8.8ミリ)/総画素2090万画素の裏面照射型CMOSセンサーで、アスペクト比は3:2。ISO感度はISO125から最高12800まで対応する。マルチショットNR(連写と合成を行うことでノイズを低減する)なら、ISO25600まで対応してくれる。
レンズは初代機とIIの28-100ミリ相当/F1.8-4.9から、24-70ミリ相当/F1.8-2.8とガラっと変わった。簡単にいえば、より広角寄りのズームになったということだ。望遠側に弱くなるのは残念だが、RX100のスナップカメラとしての性格を考えれば良い判断だと思う。
さらにレンズが明るくなった。広角端はF1.8と同じだが、望遠端がF2.8になったのだ。これは素晴らしい。多少暗い場所でも安心して望遠にできる。また、F11まで絞れる。しかもNDフィルターが内蔵された。オートNDにしておけば自動的にオンになるので、日中晴天下でも、安心して絞り開放で撮れるのだ。
前モデルで欠点とされていた撮影最短距離は、広角端はレンズ前5センチと変わらないが、望遠端での撮影最短距離が30センチと短くなった(従来は55センチ)。レンズ前30センチというのはまあそれほど寄れるわけではなくマクロに強いとはいえないが、前モデルに比べれば自然な距離で撮れる感じだ。
画質面では、ズームレンズ搭載のコンパクトデジカメでは最高レベルといっていいかと思う。1/1.7インチセンサーを採用する多くのハイエンドコンデジとはワンランク違う。記憶色を重視した絵づくりというわけではないので好みは分かれるが、高画質なのは確かだ。連写はフォーカス固定の速度優先連写で秒約10コマと十分使えるレベル。動画は4Kではなく、フルHD動画で60pまでだがXAVCフォーマットに対応する。
RX100 IIIがスゴいのは、最新の撮影機能を駆使して凝った写真を撮りたいというハイエンドユーザーよりも、最先端の技術を詰めこみつつもそれを意識させないで気軽に高画質な写真を撮りたい一般的なユーザー向けに仕上げたことなのだと思う。
望遠側でも明るいのでブレにくいし、明るすぎると自動的にNDフィルタがはいるので細かい事は気にしないで絞り開放を楽しめる。
ボタンやダイヤルを駆使して凝った撮影をするよりは、日常的に持ち歩いて、その場に応じて“細かい事はカメラ任せにして自分撮りもローアングルもハイアングルもEVFをのぞいてもOK”という自由なスタイルで撮影できるスナップカメラなのだ。
そういう意味では、RX100 IIIこそが初代RX100の後継機なんじゃないかと思う。M2は拡張性を高めるなどちょっとカメラが好きな人向けのハイエンドに振った感じがあったから。
価格はそれなりに高めではあるが、難しいことは分からないコンパクトで高画質でボケるカメラが欲しいの、という人があれば、真っ先にこれをおすすめしたい。ユニークで実用的ですごいカメラが出てきたものだと思う。
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