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すばらしい高感度性能 ソニー「α7S」の実力をひも解く(2/3 ページ)

» 2014年07月30日 16時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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α7Sの高感度性能はすばらしい

 一般に、同じセンサーサイズなら画素数が少ない方が高感度に強くなる。1画素あたりの面積が広くなり、光を多く受けられるからだ。ただそれだけだと飽和しやすくなって低感度時の性能が落ちる。そこは各画素の面積と同時に体積も大きくすることで低感度時も飽和しづらくしているのだろう(おおざっぱにいえばそんな感じかと思う)。

 α7SのISO感度は拡張感度としてISO50から、標準感度ではISO100からなんと最高ISO102400(10万!)。さらに拡張感度として、最高ISO409600(40万!)まで設定可能だ。

 ISO50にするとダイナミックレンジがぐっと狭くなって白飛びしやすくなるが、ISO100と200ではあまり変わらない。高感度にも低感度にも強い設計がなされているんだと思う。

ISO800 ISO800
ISO1600 ISO1600
ISO3200 ISO3200
ISO6400 ISO6400
ISO12800 ISO12800
ISO25600 ISO25600
ISO51200 ISO51200
ISO102400 ISO102400
ISO204800 ISO204800
ISO409600 ISO409600

 上の写真は、ISO800から409600まで上げてみたもの。常用感度はISO102400ということになっているが、実際にはISO25600までかなという感はある。解像感を重視した処理をしているので、ISO感度を上げてもしっかりディテール(人形の髭や色鉛筆の文字を見ると分かる)を残しているのが分かる。

 高感度面に関しては、α7より確実に1段以上よくなってる。JPEG画像を見るとノイズ低減処理のかけかたが変わっており、α7は高感度時のノイズは少ないものの、その分ディテールが失われていて、強くノイズ低減処理をかけているのが分かる。

 逆にα7Sはセンサーの素性の良さを生かしてか、ノイズは素直に増えてくるもののディテールがしっかり残っていて全体に不自然さがない。

 両者を比較しやすいよう同じ大きさにし(α7の方は少し縮小表示をして合わせてある)、ISO6400とISO25600で並べて表示して切り出してみた。ISO25600はα7の最高感度だ。

α7S ISO6400で比較。左がα7(71%表示)、右がα7S(100%表示)。ノイズ感は変わらないが、ディテールの描写力がかなり違う。1200万画素のα7Sの方がディテールがしっかり残っているのだ
α7S ISO25600で比較。左がα7(71%表示)、右がα7S(100%表示)。α7もノイズは少ないが、その分ディテールがつぶれているのが分かる

 これは特筆すべき点。

 実際にISO40万まで感度を上げながら撮ってみると、さすがに偽色が派手に乗ってきてこれはムチャだろ、というレベルだが(それでも月明かりがあれば撮れちゃうってのはありがたいことも)、ISO51200くらいならけっこうイケる。

α7S 料理を撮るのははなはだ向かない非常に暗い店内にて、鶏肉のコンフィ。プレミアムおまかせオートで撮影。店の照明の色温度が低すぎてこんなことに。24-70mm 62mm 1/80秒 F4 ISO12800
α7S 白いものでカスタムホワイトバランスをとり、+0.7の補正をかけて絞り優先で撮影。ISO32000まで上がったため細かいノイズが出ているが、これだけ写れば十分。FE 24-70mm 62mm 1/80秒 F5.6 +0.7 ISO32000
α7S タイ料理の店で、棚の上にあった置物を撮ってみた。ISO20000まで上がったがこれだけ撮れます。FE 24-70mm 24mm 1/60秒 F4 ISO20000
α7S 室内で猫。ねこじゃらしを目の前で動かしながら撮ったので、被写体ぶれしないようシャッタースピード優先で1/640秒。ISO12800まで上がった。背景の暗部はざらついてるが感度が上がってもディテールがつぶれないので猫の毛並みはいい感じに表現されてる。FE 24-70mm 70mm 1/640秒 F4 ISO12800

 1200万画素というとイマドキのカメラとしては少ないようだが、その分感度が高い、ダイナミックレンジが広くて階調が豊か、などのメリットがあり、高画素へのこだわりがなければ何の問題もないだろう。

 何よりセッティングの幅がぐんと広がる。1/8000秒で動きを止めて撮りたいけどそれほど明るくないって場所でも気にせずISO感度を上げちゃえばいいし。

α7S 日陰の噴水をシャッタースピード優先にして1/8000秒F8で止めてみた。ISO1250まで上がったがこれなら文句なし。マニュアル露出モード+ISOオートでかなり自在に撮れる。

 多少絞り込んでもISO感度をその分上げちゃえばシャッタースピードを維持できる。そして何よりめちゃ暗い場所でも容赦なく撮れる。まあどこまでも上げられるわけじゃないけど(さすがにノイズは増えてくるし)、従来のレンズ交換式カメラより1段以上気軽に上げられるのは確かだ。

 では解像感はどうか。2400万画素のα7と1200万画素のα7Sを等倍で比べてみるとこんな感じ。24-70mmのテレ端70ミリでF5.6で撮影。

α7S 左がα7、右がα7S。α7の方が画素数が多い分等倍表示すると大きくなる

 数字上は画素数に2倍の差があるけど、こうして等倍で見ると2倍の差は感じない。ああこれだけ撮れればOK、と思えばα7よりα7Sを買った方が幸せかもしれない(いや、価格差がけっこうあるから一概にはいえないけど)。

α7S 夜、車の下(つまり街灯が当たらない暗い場所)に隠れてた猫を液晶モニタを開いて地面すれすれで撮影。レンズは55mmF1.8を使用。容赦なく感度を上げられるのは便利。FE 55mm 1/60秒 F1.8 ISO8000
α7S 同じ場所で1/250秒にシャッタースピードをあげて撮影。ISO40000。ここまで上げるとさすがにディテールが失われてくる。FE 55mm 1/250秒 F1.8 ISO40000
α7S α7のISO25600の写真を参考までに。ノイズ低減処理がけっこうかかっていて、ディテールがもやっとつぶれてきているのが分かる

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