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すばらしい高感度性能 ソニー「α7S」の実力をひも解く(3/3 ページ)

» 2014年07月30日 16時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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使い勝手はα7と同じだがサイレント撮影モードは使える

 イメージセンサー以外はα7と原則同じだ。ざっとおさらいしておくと、レンズマウントはEマウント。フルサイズ対応レンズを付ければそのままいけるし、APS-Cサイズ用レンズをつけると自動的にAPS-Cサイズにクロップされる。

 レンズの型番が「FE **mm」と「F」がついていたらフルサイズ対応、「E **mm」とEだけならAPS-Cサイズ用だ。

 元が1200万画素なので、APS-C用にクロップすると画像サイズが5.1M相当になる。けっこう画素数が下がるので、できればフルサイズ用を使いたいところ。

 シャッタースピードは最高で1/8000秒。連写は約2.5コマ/秒。速度優先連写で約5コマ/秒。α7と同じであるが、ミラーレス機ならここはもうちょっと頑張ってほしかった。α7とここまで合わせなくてもよいのに。

 今回、さらにサイレント撮影モードがついた。電子シャッターを使うことで無音での撮影を可能にするモードで、α7はミラーレスとしてはシャッター音が大きめなので、静かな場所で撮りたいとき、同時にビデオを回しているときなどシャッター音を拾ってはまずいときに重宝するだろう。

 撮影モードは、ソニーならではのものがずらり。プレミアムおまかせオート、PASMの各モードにカスタム設定、動画、スイングパノラマ、シーンセレクションという具合。このあたりはα7と同じだ。

 ボディもα7とほぼ同じだが、並べてみると、マウント部に違いがある。強化されたのかもしれない。また、バッテリーの持ちが少しよくなったり(CIPA規格でファインダー使用時、約270枚→320枚)少し重くなったり(474g→478g)はしている。

α7S α7sとVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS。7sという文字がなければ他モデルとの区別はつかない。フラットなボディからちょっと飛び出たグリップと前ダイヤルが個性的
α7S 正面から。フルサイズのセンサーがマウント径ギリギリなのが分かる
α7S 正面から、α7と並べてみた。左がα7S、右がα7見ての通り、機種名部分のプレートが違うだけ。ただ、マウント部のツメが変更されている
α7S 側面から。グリップ部にWi-FiとNFCが内蔵されており、スマホからリモコン操作したり、データを転送したり、アプリをダウンロードしたりが可能。動画用の録画ボタンはほとんど側面といっていい位置に付いている
α7Sα7S 左が操作部。背面のモニタはチルト式で3インチ。タッチパネルはなし。タッチAFは便利なのでつけてほしいと思うのだが。右は上面から見たところ。前後のダイヤル+独立した露出補正ダイヤル突き。C1はカスタムボタンで、Cボタンは全部で3つあり、好きな機能を割り当てられる
α7Sα7S 背面から。画面はAUTO時のもの。モニタの右にロータリーダイヤル兼十字キー、AF/MFとAELを切り替えるレバー(レバー内のボタンの機能を切り替える)などがある。絞り優先時には右の写真のような画面になる。中央に電子水準器を表示することもできる
α7Sα7S ISO感度は最高409600まで。ISOオート時の上限もISO409600まで指定できる。
α7Sα7S 動画機能には業務用・素材撮影用の機能が装備された。XAVC Sモード時は対応するカードが必要だ。SDXCのclass10以上
α7Sα7S AVCHD時は60pの28M記録に対応する。新しくサイレント撮影モードがついた。電子音などがオフになり、シャッターも電子シャッターになるためほぼ無音となる
α7Sα7S Fnキーを押すと表示されるファンクションメニューや各種カスタムキーやホイールはほぼ自由にカスタマイズ可能だ

 コンパクトな割にグリップがしっかりしており、グリップ上に前ダイヤル、背面に後ダイヤル、さらにロータリーダイヤルと3ダイヤル構成。前後ダイヤルのカスタマイズができないのはちょっと不便だが、いずれ改善されるとうれしい。

 ボディが小さい分、ちょっといいレンズをつけるとレンズ側が太く重くなる。でもα7にはいいレンズをつけたい。悩ましいところだ。

 EVFもα7と同じ。0.5インチで約236万ドットのパネルを使っており、倍率は約0.71倍。α7以後に登場したEVF機はもうちょっと大きなファインダーを搭載しているが、α7Sは他のα7と合わせたのだろう。

 背面モニタは92万ドットの液晶で、チルト式。残念ながらタッチパネルは未搭載だ。

4K動画はプロ用

 最後にちょろっと動画の話。

 前述したようにα7Sは4K動画機能に対応しているけれども、本体だけでは撮影できない。別途録画ユニットが必要になる。それよりは業務向けの機能を搭載した方に注目だろう。

 低圧縮のXAVC Sフォーマットへの対応(ただし50Mbpsなので対応するカードが必要)、映像向けのピクチャープロファイル機能やタイムコードの設定、ユーザービットの入力機能といった、映像作家や業務用で映像を撮りたい人、複数の動画をきちんと同期させて編集したい人用に機能が強化されている。

 もう1つ、MP4への同時記録機能もサポート。その場でデータを吸い上げて共有するにはMP4の方が便利なのでそれにも対応するということだ。ただしMP4時は1440×1080のサイズになる。

 一般の動画撮影ユーザーとしてはやはり暗所での動画性能に注目したい。

 マニュアル露出モードにし、動画を撮影しながらISO感度を上げてみた。夜、車の下に隠れていた猫を撮ったもの。いうまでもなく非常に暗い場所。ISO10万まで上げてもかなりきれいに撮れているのが分かるかと思う。

ISO感度を徐々に上げていくと、だんだんと猫が浮かび上がってくるのが分かる。ISO 10万まで上げてもきれいに撮れている

 α7Sは世間的には、4K動画に対応したプロ向けのα7、という認識だろうが、画素数控えめで階調や高感度時の絵を重視したフルサイズミラーレス、と考えても十二分に魅力的。動画を録らない人でもあえてこっちを選ぶというのはアリ。

 逆に、本体だけで気軽に4K動画を録りたい、という人は今α7Sでそろえるよりも、いずれ出るであろう4K動画モデルを待つか、現行モデルならパナソニックの「DMC-GH4」か「DMC-FZ1000」を選ぶのがいいだろう。α7Sの4K動画はあくまでもプロ用だ。

 2013年後半から、基本となる2000〜2400万画素クラスを中心に、画素数を抑えて高感度や階調を重視したモデル(ニコンの「D4s」やソニーの「α7S」)と3000万画素を越える画素数+ローパスフィルターレスでディテールの解像感を重視したモデル(ニコンの「D810」やソニーの「α7R」、フルサイズではないがシグマの「dp2 Quattro」もこっち組)の両方が出てきて選択肢がぐっと広がった。

 非常によい傾向である。

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