キヤノンが9月16日、デジタルカメラ新製品発表会を開催し、APS-Cセンサー搭載の最上位モデル「EOS 7D Mark II」、ハイエンドコンパクト「PowerShot G7 X」、光学65倍ズーム搭載の「PowerShot SX60 HS」を発表。またEFレンズの新ラインアップとして「EF400mm F4 DO IS II USM」「EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM」「EF-S24mm F2.8 STM」を披露した。
キヤノンマーケティングジャパンの代表取締役社長、川崎正己氏は、デジカメ市場の現状を説明。レンズ交換式カメラの市場規模は2013年をピークに落ち込んでおり、2013年の233万台に対し、2014年の予想は197万台と減少が見込まれている。しかし、2015年以降は再び拡大傾向になると予測した。その根拠として同氏は、世帯普及率を挙げた。現状では世帯普及率はまだ20%程度でしかなく、40%までは拡大の余地があるという。
また、コンパクトカメラユーザーやスマホ所持ユーザーは、レンズ交換式カメラの購入意欲が高く、そちらに対しても積極的に訴求していくとしている。さらにハイエンドコンパクトや、すでにレンズ交換式カメラを所持している写真に対する意識の高いユーザー層は、ステップアップや買い換え・買い増しになるとなおのこと意欲は高いと同社は見ており、そういったユーザーには高スペック、高付加価値の製品を今後も加え、拡充していく考えだ。
一方、コンパクトカメラの国内出荷台数はカメラ機能を持つスマホの台頭もあり、年々減少傾向をたどっている。ただ、平均販売単価に関しては底を打ち、上昇していることからも、ニーズのある分野は成長が見込めるとしている。それが「高級モデル」「高倍率モデル」であり、今回も新製品を発表してさらなる需要に応えるとしている。その中で今回は発表されなかったが、大型センサーに高倍率ズームを搭載したハイエンドモデルを現在開発中であり、PowerShot Gシリーズのラインナップを強化することで市場を開拓していく考えだ。
今回発表された「EOS 7D Mark II」はAPS-C機のミドルハイクラス製品として位置づけられており、従来機であるEOS 7Dと比べて飛躍的に性能が向上している。
本シリーズの持ち味であるAFについては、前モデルが19点のオールクロスAFだったものが65点AFになり、広いエリアで精度の高い測距を可能としている。動体に対しても被写体の顔や色を検知して追尾する「EOS iTR AF」と「AIサーボAF III」を搭載し、より精度の高いフォーカスを実現。連写性能が秒間8コマから10コマへと強化されているのも見逃せないポイントで、EOS 1D系ゆずりの高速連写が可能となっている。さらに高速化した連写機能だが、実際に操作すると動作音は軽快で威圧的な重厚感はない。
画像まわりも一新されており、新開発の2020万画素のCMOSセンサーを新たに搭載。画像処理エンジンはDIGIC 6のデュアル構成で、常用最高感度はISO16000へと大きくアップ(7Dは6400)、もの足りないとされていた暗所撮影でも威力を発揮する。目新しい機能としては「フリッーカーレス撮影」がある。これは人工光源のちらつきをAEセンサーで検知して、シャッタータイミングをずらすというもの。人工光源下ではどうしても明滅周期の影響で連続撮影時に露出や色のばらつきが出てしまうのが常だったが、これはそうしたものを抑えて安定した露出・色味で写真を撮影できるようになる。トークショーに参加したスポーツカメラマンも絶賛していた機能である。
ボディはEOS 7Dとほぼ同一サイズであり、ユーザーなら持っても違和感はないはずだ。重さは910グラムと変わっていない。操作ボタンや電子ダイヤルなどの細かな質感や、割り当てられている機能に一部変更があるが、基本的なレイアウトに大きな変化はない。追加されたものとしては、「クイック設定」ボタンと「測距エリア選択レバー」があるが、マルチコントローラーの外周に配置されている測距エリア選択レバーがなかなか使いやすい印象だ。細かいところでは、モードダイヤルにロックボタンがついたのが地味ながらうれしい。
質疑応答では、出席したメディアから「なぜ次のモデルが登場するのに5年もかかったのか」という質問が出たが「圧倒的に進化したというのがマーケットに対する答え」という返答があったように、「満を持して」登場したのがEOS 7D Mark IIということだ。
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