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4人の写真家が語った、撮影の現場で発揮される「EOS 7D Mark II」の魅力とはキヤノン デジタルカメラ新製品発表会(2/2 ページ)

» 2014年09月17日 13時49分 公開
[園部修,ITmedia]
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「フリッカーレス撮影はとてつもない革命的な機能」中西祐介氏

中西祐介氏 中西祐介氏

 バスケットボールの試合を撮影する中西氏は、室内スポーツ撮影の難しさを身をもって体験している写真家の1人。そんな中西氏が注目したのが、フリッカーレス撮影機能だ。

 「最初に7D Mark IIを渡されたときに、キヤノンさんから伝えられたのが『本当に現場で本気でとってほしい。一切演出なしで撮影して欲しい』ということでした。普段は1D Xを使って撮影することが多いのですが、7D Mark IIで撮影してみて、大きな機能の差を感じることはありませんでした。特にAFが優秀なのと、室内で撮ることが多いのでフリッカーレス撮影というとてつもない革命的な機能を積んでくれたおかげで、撮影が格段に楽でした。このカメラは仕事にどんどん使っていけると直感しました」(中西氏)

 中西氏をとりこにしたフリッカーレス撮影機能とは、高速シャッターを切るとまれに発生する、蛍光灯や水銀灯のちらつきによって色が変わったり、暗くなったりする現象を、AEセンサーがタイミングを検知し回避するという機能だ。秒間10コマで連写中でも、フリッカーのタイミングと重なるときだけシャッターのタイミングを自動的にずらすという高度な技術だ。

 「室内でスポーツを撮る場合、露出とホワイトバランスはオートは使わず、必ず固定して撮ります。そうすると、普通は明るさや色味は変わらないと思いますよね。でも、少しずつ色と明るさがずれるときがあるんです。高速シャッターを切ると、蛍光灯や水銀灯のちらつきの影響を受けてしまって、白いユニフォームや壁の色が変わるんですね。自分の技術ではカバーできないものなので、あきらめていました。これを避けるには、シャッター速度を遅くするしかないんですが、それでは被写体がブレてしまいます。だから、これまでスポーツ写真の世界では『いい電球が出るまで待とう』なんてよく言っていました。まさかこんなに早くカメラが解決してくれるとは思いませんでしたね」(中西氏)

 中西氏はこのフリッカーレス撮影機能が、ホワイトバランスを取るときにも便利であることを指摘。「グレーボードなどでホワイトバランスを取るときに、フリッカーがあるとぴったり合わないこともありました。フリッカーレス撮影機能ならそれも回避できます。撮影しても色がずれないのが素晴らしい」のだという。「画期的な機能なので、すべてのカメラにこれを積んでもらいたいくらいです」と期待を寄せた。

「EOS-1D X並みの性能がコンパクトボディに凝縮」ルーク・オザワ氏

ルーク・オザワ氏 ルーク・オザワ氏

 空港で航空機の撮影をするオザワ氏は、7D Mark IIの魅力は焦点距離が1.6倍になる点だと話した。「空港は広いですが、APS-Cのカメラだと焦点距離が1.6倍になるので強い味方です。僕はEF100-400mm F4.5-5.6L IS USMをよく使うのですが、これが1.6倍になると160ミリから640ミリ相当になります。フルサイズで500ミリや600ミリだとかなり重いレンズになりますが、100-400mmでそれぐらいに寄っていけるのはいいですね」(オザワ氏)。

 加えて、7D Mark IIは1D Xと比べて軽いのもいい点だという。1D Xのシステムで朝から晩まで飛行機を撮っているとかなり疲れるそうだが、7D Mark IIは「1日中撮っても楽勝でした」とオザワ氏。最近は飛行機を撮る女性も増えていて、彼女たちに1D Xのような機能で撮影をしたいといわれることもあるが、1D Xはやはり大きく重い。その点7D Mark IIなら、「ほぼほぼ近いスペックなので、彼女たちも欲しがるんじゃないか」と話した。

 「1D Xをメインで使っていますが、7D Mark IIもサブカメラとしてではなく、空港に合わせて、例えば寄らないといけないシーンが多い場所では7D Mark IIをメインにしたりすることも増えそうです」(オザワ氏)

 また、鉄道写真家の長根氏同様、オザワ氏もAIサーボAF IIIを絶賛していた。

 「飛行機は着陸でも200〜250キロくらいのスピードで下りて来ます。僕はそんな飛行機を、普段はワンショットでシャッター半押ししてロックオンして撮ります。よくスナイパーといわれますが、それがとても気持ちいいんですね。そんな理由でAIサーボAFは使っていなかったのですが、キヤノンの担当の方が『オザワさん、AIサーボ使っていますか? もし使っていないなら、ちょっと試してみていただけませんか』というので7D Mark IIで使ってみました。そうしたら、もう夜だったんですがAFの食いつきが良くて驚きました。びっくりしましたよ。これは今まで僕の知らない世界でした。夜なのにしっかりAFが追従していてすごいと思いましたね」(オザワ氏)

 連写機能は、衝突防止灯の赤い光をうまく捉えるのに便利だという。「飛行機の赤いライトはだいたい1秒おきに点滅するのですが、ワンポイントとして入れたいので、光っている瞬間を撮りたいんですね。その点、秒間8コマと秒間10コマはたった2コマの違いですが、差はけっこうあります。秒間10コマなら、簡単に拾えます。撮っている間に飛行機はどんどん飛んで行ってしまうので、撮れるか撮れないかというのは大きな違いです。それと、カタログに収録されている写真のように、僕は月とか太陽と一緒に飛行機を撮ることもあります。その太陽の下を飛行機が突き抜けていく瞬間も、秒間10コマならしっかり捉えられました。2コマの違いは大きいですよ」(オザワ氏)

 また同氏は、シャッター音の心地よさも気に入ったようで、「秒間10コマの音はとても心地いいです。シャッター音は撮る気になる、テンションが上がる要素。このシャッター音がとても心地いいのも7D Mark IIの魅力です」と話した。

 さらに高感度撮影が可能になったことで、「世界が広がった」とオザワ氏。「夜の空港や飛行機は光が多くきれいです。高いISO感度が使えると、これらが簡単に撮れます。カタログに採用された写真はISO8000で撮影したもの。ISO6400が使えれば、100-400mmのF5.6で普通に撮れます。今まで100-400mmを夜使おうなんて概念はなかったんです。夜はF2.8より明るいレンズはないから、飛行機を止めて撮ることはできない、という状況だったのに、ISO6400でここまできれいに撮れるなら、1.6倍の焦点距離を生かしつつ空港で撮れる楽しさがますます増えると思います」(オザワ氏)


 今回、7D Mark IIはターゲットユーザーを絞った形で、その人たちに“刺さる”部分を強化したせいか、該当するカテゴリーの写真家たちはみな撮影時の満足度はかなり高かったようだ。野鳥、鉄道、スポーツ、飛行機、野生動物、モータースポーツなどを撮る機会が多い人は、ぜひ実機に触れて写真家たちの言葉の意味を確かめてみるといいだろう。

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