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「OM-D E-M1」ファームウェアVer.2.0の進化ポイントを探る注目の4機能を解説(1/2 ページ)

» 2014年10月23日 09時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 オリンパスのOM-D E-M1のファームウェアが、アップデートによってVer2.0になったのである。

OM-D E-M1 Ver.2.0 OM-D E-M1が新ファームウェアVer.2.0で新機能に対応したのである

 デジカメのファームウエアがアップデートされるのは別段珍しいことじゃないが、それが「1.xから2.0」のように1の位が変わるとなると話が違う。けっこう大きな機能追加や操作性の改善が行われるのだ。

 面白いことに、オリンパスだけでなく、同じ時期に同じようなことを富士フイルムも行った。オリンパスはOM-D E-M1、富士フイルムはX-T1のシルバーバージョンを出したのである。どちらも2013年に発売されたハイエンド機で、当初はブラックモデルだけだった。

 そのシルバーバージョン、ハードウエアは同じだが、中味のファームウエアは時代に合わせて新しくなり、機能追加(1年もあれば、下位モデルに抜かれる部分も出てくるし)と操作性の改善を行い、そのファームウェアをすでにそれらを所有しているユーザーにも提供したのだ(X-T1のファームアップは2014年12月予定)。

 これは素晴らしい。

 一般に、ハイエンド機は製品サイクルが長い。普及型モデルが1年程度でモデルチェンジするのに対し、ハイエンド機は2年から3年に1度というのはざらにある。でもデジタル部は年々進化するので、カメラとしてのランクは上でも、機能面では後発の下位モデルに追い抜かれるってことがままある。それをファームアップで補ってくれるのだ。

 さっそくアップデートする。

OM-D E-M1 Ver.2.0 専用のUSBケーブルでパソコンと繋ぎ、アップデータを起動すると、アップデートできる

注目すべき新機能は4つ

 OM-D E-M1のVer2.0では、新機能が8つ追加されたほか、操作性の改善ポイントも16項目と実に多岐に渡る。

OM-D E-M1 Ver.2.0 オリンパスのサイトにあった2.0のアップデート内容一覧。

 たくさんあるので、特に注目すべき4つをピックアップして紹介したい(赤線を引いたところ)。

ライブコンポジット

 まずは「ライブコンポジット」機能。OM-Dの普及モデルであるE-M10にはじめて搭載された機能で、それより前に発売されたハイエンド機のE-M1にはなかったのだ。こういう対応はすばらしい。

 「比較明合成」と書かれているように、連続して撮影しながら、前の画像と比較して明るいところだけを合成していく機能。夜景や星空の撮影に使う。

OM-D E-M1 Ver.2.0 ライブコンポジット撮影の設定。あらかじめ1枚当たりの露光時間を決めておく。1/2秒以上

 夜景を録りたいとき、シャッタースピードを落とせば落とすほど光の軌跡がきれいに撮れるが、その分背景も明るくなる。ライブコンポジットは指定した露出で何10枚も連写して「比較明合成」(つまり暗いところはいじらず、明るいところだけ合成)を行うので、例えば、10秒に1台程度しかクルマが通らない住宅街の道路でもこういう写真を撮れるのだ。

OM-D E-M1 Ver.2.0 ライブコンポジット ライブコンポジットで3分くらい撮影。3分で10台も通ってないが、クルマや自転車のライトがきれいに残された

 長時間撮影が可能なので、星空が見えているときは、星の軌跡を地上の風景と一緒に撮ることができる。これはなかなか面白い。ライブコンポジットの撮影モードは、マニュアル露出モードでどんどんシャッタースピードを遅くしていくと、バルブの先に現れる。

OM-D E-M1 Ver.2.0 マニュアル露出にしてシャッタースピードをどんどん遅くしていくと、最後に「LIVECOMP」が現れる。最初にノイズリダクション用の画像を撮り、次のシャッターから撮影が始まる

デジタルシフト

 2つ目は「デジタルシフト」機能。今回新たに用意された機能で、見上げたり見下ろしたりしたときにできる遠近を補正するもの。リアルタイムで補正した状態を見ながら撮影できるのが面白い。

OM-D E-M1 Ver.2.0 通常の撮影画面
OM-D E-M1 Ver.2.0 デジタルシフトをオンにすると、後ダイヤルでシフト量を調節できる。画角は狭くなるがそれはしょうがない。前の画像と比べてみると違いが分かる

 見上げて撮った建物の柱をまっすぐにしたり、遠近を強調したりできる。

OM-D E-M1 Ver.2.0 建て替えのため閉鎖された古い団地。普通に撮るとこのように上にすぼまる
OM-D E-M1 Ver.2.0 デジタルシフトをかければ正面から撮ったようになる
OM-D E-M1 Ver.2.0 階段を正面から。シフトをかけたせいで超急階段に
OM-D E-M1 Ver.2.0 高層ビルもまっすぐに

 やりすぎると不自然になるけれども、写真の用途によっては便利に使える。

アートフィルター

 3番目はアートフィルター。アートフィルターに「ヴィンテージ調」と「パートカラー」が付いた。ヴィンテージ調はもうそのまま、ヴィンテージ写真ぽくしてくれるフィルターで、微妙な色調や階調の違いで3パターン用意されている。

OM-D E-M1 Ver.2.0 ヴィンテージ。もうその名の通り
OM-D E-M1 Ver.2.0 昭和な団地をヴィンテージ風に
OM-D E-M1 Ver.2.0 クルマの影でくつろいでた黒猫をヴィンテージ風に

 パートカラーは特定の色だけを残すという多くのカメラが搭載する機能だが、ポイントは2つ。1つはダイヤルを回して色を簡単に選べること。もう1つは色の残し方が3パターン用意されていること。特定の色以外をすぱっとモノクロに切り替えるのではなく、指定色以外の彩度を徐々に落としていくことで不自然さがないパートカラー写真を作れる。これはなかなかよい。

OM-D E-M1 Ver.2.0 パートカラー
OM-D E-M1 Ver.2.0 電子ダイヤルを回して残す色を決めるというインタフェースはよい。ダイヤルを回しながら即座に塩梅を決められる
OM-D E-M1 Ver.2.0 パートカラー 黄色だけを残して視聴覚障碍者誘導用ブロックを際立たせてみた
OM-D E-M1 Ver.2.0 パートカラー リニューアルした駅の自動改札機が妙に青かったので、青だけを残してみた

カメラコントロール

 4番目はハイエンド機ならではの「カメラコントロール」機能。

 PCとOM-D E-M1をUSBでつなぎ、パソコン側からカメラをコントロールして撮影する、いわゆる「テザー撮影」や「テザリング撮影」と呼ばれるもの。パソコンの大きな画面でフォーカスなど仔細をチェックできるし、セッティングさえ決めちゃえば座ったまま操作できるので楽だし、撮った写真をその場でPCに転送できる。

 普通はスタジオ撮影などで使うのだが(特に、撮った写真をPCの大画面ですぐチェックしてもらえるし)、家庭でも、小物をよく撮る人はこれを使ってみると楽しいかも。ディテールを調整しながら撮れるし、PCへの転送も楽だし。

OM-D E-M1 Ver.2.0 OLYMPUS Capture USBケーブルをつなぎ、カメラコントロールを選ぶ。OM-D E-M1のUSB端子が一般的なmicroUSB端子じゃないのが非常に残念。専用ケーブルが必要なのだ
OM-D E-M1 Ver.2.0 OLYMPUS Capture 分かりやすいようすぐ横にPCを置いてみた。このように使う
OLYMPUS Capture OLYMPUS Captureをインストールし、カメラを接続すると自動的にプレビューとコントロールパネル(スーパーコンパネ)があらわれる。各種露出や画質の設定、さらに外付けフラッシュのRCモードもコントロールできる
OLYMPUS Capture AF枠はマウスのドラッグで変更可能
OLYMPUS Capture 絞り値などはこのようにメニューから選ぶ。そして右下のシャッターボタンを押すと撮影し、転送される
OLYMPUS Capture カメラ内のSDカードに保存された写真をパソコンに転送する機能もある
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