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» 2014年11月05日 22時12分 UPDATE

中身はAndroid+Snapdragon:撮影後に“リフォーカス”できるカメラ「LYTRO ILLUM」 約20万円で国内発売

撮影した後で任意の場所にピントが合わせられるユニークなカメラ「LYTRO ILLUM」が日本でも発売になる。加賀ハイテックが代理店となり、カメラ販売店などで取り扱う予定だ。これまでのカメラとはまったく異なる写真が撮れる。

[園部修,ITmedia]

 加賀ハイテックが11月5日、米Lytroが開発した、Light Field技術を備えたカメラ、「LYTRO ILLUM」を12月上旬から販売すると発表した。価格はオープンプライスだが、実売予想価格は20万円前後になる見通しだ。

LYTRO ILLUM LytroのLight FIeld技術によりユニークな写真が撮れる「LYTRO ILLUM」。デジタル一眼カメラのハイエンドモデル並みの価格になる

 LYTRO ILLUM(ライトロ イルム)は、米国では2014年7月末から販売されている製品。Lytroが開発した「Light Field技術」により、撮影後に、画面内の任意の場所にピントが合わせられるユニークな写真が撮れるのが特徴だ。国内販売に合わせてメニューを日本語化するほか、日本語版のWebサイトも用意し、サポートも手厚く行う体制を整えた。

 Lytroの副社長で、グローバルセールスを担当するジェフ・ハンセン氏は、「写真が時代とともにフィルムからデジタルに進化したように、次はデジタルがLight Fieldに進化する時代が来ると考えている」と、同社の技術に自信を見せた。

LYTRO ILLUM 3D写真も生成できるリッチなデータを持つ、新時代の写真がLight Fieldの特徴。“Camera 3.0”に相当する革命と位置付ける

 LytroのLight Field技術は、センサーで光線が入ってくる方向、角度を認識して記録し、それをソフトウェア処理をすることで、後から画面内の任意の場所にピントが合わせられるという技術。この処理をするために、CPUにはスマートフォンと同じQualcommのSnapdragon 800シリーズのプロセッサを採用する。表からは見えないがOSはAndroidだという。

LYTRO ILLUM マイクロレンズを通した光がどのように表示されるかのデモを披露
LYTRO ILLUM このように光が入ってくる方向と角度を記録し、ソフトウェア処理をすることで、後から任意の場所にピントが合わせられるという

 センサーサイズは1インチで、40Mレイ(4000万光束)のLight Fieldセンサーとしており、初代のLYTROから解像度は4倍に向上しているという。日本製のレンズは13枚構成ですべて球面レンズ。35ミリ判換算で30ミリから250ミリ相当の光学8倍ズームレンズだ。全域F2.0で絞りはなく、被写界深度は後で調節する仕組み。そのため製品にはND8フィルターが同梱される。プログラムAEのほかには、シャッター速度優先とISO感度優先のモードで撮影ができる。

 背面の液晶モニターは4インチでタッチパネルになっており、主な操作はこのタッチパネルで行う。ただ、若干輝度が足りないせいか晴天時の屋外での視認性はあまり高くない。

LYTRO ILLUM LYTRO ILLUMのスペック詳細。光学8倍ズームに40M Light Fieldセンサーの組み合わせで、CPUにはSnapdragon 800を搭載する
LYTRO ILLUM レンズは13枚構成で、ズーム全域でF2を実現。非球面レンズは採用していない
LYTRO ILLUM センサーは40Megarayで、光の色と強さ、方向を記録する
LYTRO ILLUM カメラ内でソフトウェア処理を行うため、タブレット並みの処理能力を持つという
LYTRO ILLUM ホットシューやWi-Fi、USB 3.0、三脚用のネジ穴などを備える
LYTRO ILLUM 充電池や充電器、ストラップ、USBケーブル、レンズフード、レンズキャップ、ND8フィルターなどが同梱される

 カメラにSnapdragon 800が採用されていることからも想像できるかもしれないが、LYTRO ILLUMはカメラ上でかなりの処理を行う。撮影時に被写界深度を自動検出し、ピントの山から手前と奥を色分けしてライブ表示する機能があり、被写体を捉えてからピントリングを回してピントが合う範囲を微調整したりできる。また、撮影後の写真をモニターに表示し、タッチして任意の場所にピントを合わせる機能なども利用できるので、PCがなくても撮影後の写真の確認が可能だ。

LYTRO ILLUM シャッターボタンの横に用意された「LYTRO」ボタンを押すと、モニター上にピントの山が表示され、画面内で後からピントが合わせられる範囲を色分けされたピーキング表示で確認できる

 Wi-Fiを搭載しており、iOS用アプリとの連携機能も用意される。Android版も開発中で、近日登場予定だという。

 専用ソフトウェアのLYTRO DESKTOPは、Windows版とMac版を提供。どちらも利用できる機能に差はないが、LYTRO RAWファイルを元に、JPG、TIFF、および3Dのイメージを出力できる。被写界深度はスライドバーでF1相当からF16相当までに変更でき、ピントを合わせる場所やパースの変更などがマウス操作で簡単に行える。

LYTRO ILLUM 撮影した写真を後から加工できる専用ソフト、LYTRO DESKTOPを用意する
LYTRO ILLUM 奥のイソギンチャクにピントが合った状態
LYTRO ILLUM 手前のイソギンチャクにピントが合った状態。マウスクリックで簡単に切り替わる
LYTRO ILLUM 被写界深度もスライドバーで簡単に切り替えられる

 気軽に買える値段ではないこともあり、ターゲットユーザーはプロからハイアマチュアとしているが、実際に撮って楽しんでみないとなかなか面白さが分かりにくいカメラだけに、より低価格なエントリーモデルの投入が期待されるが、初代機の日本での発売予定などは特にないという。Lytroでは、日本を重要市場と位置付け、カメラやPC周辺機器などで実績のある加賀ハイテックをパートナーに選んだというが、日本市場でどれだけのユーザーが獲得できるかに注目が集まる。

LLYTRO ILLUM 全域F2の8倍ズームレンズが強い存在感を持つLYTRO ILLUM
LLYTRO ILLUM 少し手前に傾いたボディが特徴的
LLYTRO ILLUM 上部にホットシューを備える
LLYTRO ILLUM ボタン類は少なく、タッチパネル付きの4インチモニターで主な操作は行える
LLYTRO ILLUM ボディが傾いているため、モニターは垂直な角度まで起こすことができる。ただし手前には出てこないので、ハイアングル撮影などの時には画面が見にくい
LLYTRO ILLUM 屋外での視認性は、曇天時でこんな感じ。晴天時には見にくいこともあるようだ

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