ITmedia NEWS >

ファインダーで光学像と電子像が見られる新体験――「FUJIFILM X100T」(2/3 ページ)

» 2014年11月17日 14時30分 公開
[永山昌克,ITmedia]

最高1/32000秒の電子シャッターを新搭載

 もう1つの注目は、これまでのメカニカルシャッターに加えて、電子シャッターを新たに搭載したこと。従来のメカニカルシャッターのみの場合は、最高速度は1/4000秒であっても、絞りを開放値のF2にセットした場合は最高で1/1000秒となってしまうため、明るい屋外で絞り開放値を使うには、NDフィルター機能をオンにする必要があった。

 だがX100Tでは、電子シャッターを利用することで絞り値を問わず、最高1/32000秒の高速シャッターが使用可能だ。電子シャッターとメカニカルシャッターの切り換えは、手動のほかオートでも行える。オートにしておけば、明るい場所でもNDフィルターを使わずに好きな絞りが自由に選べる。

FUJIFILM X100T シャッター方式の選択画面。「メカニカル+電子」を選択した場合は、状況に応じて自動的に切り換わる
FUJIFILM X100T 従来通りのNDフィルター機能もある。ONにすると光量を3段分減らすことができる。

 一眼レフとは異なり、シャッター音が非常に小さいことや、メカニカルシャッター使用時はすべてのシャッター速度でストロボが同調することは、シリーズ共通のメリットだ。そのうえで、電子シャッターを新搭載したことで、シャッター音を完全になくすことも可能になった。

 レンズは、35ミリ相当の焦点距離を持つ広角単焦点で、開放値はF2に対応する。手ブレ補正は非搭載。最短撮影距離はマクロモード使用時に10センチとなる。

FUJIFILM X100T 絞り開放値付近でのマクロ撮影は、ややソフトな描写になる。これはこれで面白いが、シャープな写りが欲しいときは絞り込むこと。絞り優先AE(F2 1/500秒) 露出補正:±0 ISO200 WB:オート
FUJIFILM X100T F5.6まで絞り込むと、マクロでもくっきりした写りとなる。絞り優先AE(F5.6 1/30秒) 露出補正:±0 ISO200 WB:オート

 AFは、前モデルX100Sで搭載されたインテリジェントハイブリッドAFを受け継いでいる。コントラストAFと撮像面位相差AFを併用する仕組みであり、公称のAF速度0.08秒やシャッタータイムラグ0.01秒も継承する。薄暗いシーンではAF速度がやや低下するものの、それ以外では大きなストレスなく作動するAF性能を確認できた。

FUJIFILM X100T レンズ鏡胴部にはフォーカスリングと絞りリングを、天面にはシャッター速度ダイヤルや露出補正ダイヤルをそれぞれ装備する
FUJIFILM X100T 専用設計のフジノン 23mm F2レンズを搭載。オプションのワイコンやテレコンの装着もできる

操作のカスタマイズ性がいっそう強化

 操作の細かい部分にもさまざまな進化が見られる。たとえば絞り値は、他のレバーを併用することなく、レンズ鏡胴部の絞りリングのみで1/3段刻みで調整可能になった。露出補正は調整の幅が広がり、天面の専用ダイヤルを使って±3段の範囲で変更できるようになった。

 カスタマイズも充実し、背面の十字キー操作で測距点をダイレクトに変更可能になったほか、7つのファンクションボタンに好きな機能を割り当てたり、クイックメニューの内容を変更したりもできる。自分の撮影スタイルに応じて、これらをきっちりと設定することで、使い勝手を大きく高められる。

 個人的に気に入ったのは、マニュアル露出モードの際に露出補正が可能になったこと。感度をISOオートに設定し、好きな絞り値とシャッター速度に固定して撮る際に役立つ。逆に不満点は、拡大再生したままでコマ送りができないことだ。

 そのほか、付加的な機能として、スマホとの連携によるリモート撮影や、8種類の特殊効果が選べるアドバンストフィルター、多重露光、顔検出AF、インターバルタイマー撮影、パノラマ撮影、カメラ内RAW現像などを備える。連写は6コマ/秒に、動画は60fpsのフルHD記録に対応する。

FUJIFILM X100T 露出補正ダイヤルは±3に対応。背面のコマンドレバーは、コマンドダイヤルに変わった。またドライブボタンが新設された
FUJIFILM X100T Fn1からFn7まで7つのボタンの割り当て機能をカスタマイズできる
FUJIFILM X100T 撮影メニューでは、アドバンストフィルターやインターバルタイマー、セルフタイマーなどの機能が選べる
FUJIFILM X100T 記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカードで、電源はリチウムイオン充電池「NP-95」を継承。撮影可能コマ数は約330枚。USB充電に新対応する
FUJIFILM X100T レンズキャップは着脱式のものが付属。オプションのアダプターリングを使えば、径49ミリのフィルターが装着可能になる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.