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新しい写真表現が楽しめる新世代カメラ「LYTRO ILLUM」でいろいろ撮ってみた(2/4 ページ)

» 2014年11月19日 09時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 ボディの話に戻ろう。

 横から見るとボディが台形で、ぐぐっと傾斜がついているのが分かる。実はこれ、グリップを握ってみるととても持ちやすい。

LYTRO ILLUM 側面から見るとレンズの太さとボディの傾きがわかる。これはけっこうカッコいい。レンズには2つのリングがついている。ズームとフォーカス(カスタマイズは可能だが)である

 背面の液晶モニターを見ながら撮るときは、目の高さに構えるより少し下、首から胸のあたりにすると肘を締めやすくなり、とても楽なのだ。その角度に合わせているのである。

 背面のモニターはこのようにチルトする。

 まずモニタを起こす。すると光軸と垂直、つまり真後ろを向く。正面で撮りたいときはこれ。

LYTRO ILLUM モニターは起こすと垂直になる

 さらにモニターを引っ張り出すとこのようにチルト可能だ。下方向にもじゃっかんチルトしてくれる。

LYTRO ILLUM さらにモニターを引っ張り出すと上下にチルトする

 メディアはSDカード。データ量が多いので、USB3.0を採用している。

LYTRO ILLUM メディアは左側面に挿入。USB3.0の端子もこちらにある

 グリップ部はシャッターとLight Fieldボタン。そして前後にダイヤルがある。操作系は極めて独特で、フルタッチパネルカメラに近い感じだ。

LYTRO ILLUM 上面から

 上面には電源スイッチとホットシュー(電源の右にあるのはストラップ装着用)。背面には電子ダイヤルと4つのボタンがあるだけだ。

LYTRO ILLUM 背面のボタンは4つだけ

 背面のボタンはAF/AEL/無限遠(過焦点距離に合わせてくれる)/ファンクションの4つだけ。

 細かいところはタッチパネルでの操作で。モニターは4型とスマホ並みのサイズなので操作感はよい。4型のモニターを埋め込んでこのサイズ感なので、実はけっこうでかい。フルサイズ一眼レフと並べても負けないくらいだ。

LYTRO ILLUM NikonのD600+SIGMA 24-105mmと並べてみた。EVFを持たない本格派ミラーレスというサイズだ

Light Fieldカメラ独特の使い勝手、慣れればけっこう快適

 では使ってみる。使用感は独特で、普通のカメラとはちと違う。

 撮影モードはP/I/S/Mの4つ。プログラムAE、ISO感度優先、シャッタースピード優先、マニュアルだ。絞りはF2固定なので絞り優先はない。

 後電子ダイヤルは露出補正、前電子ダイヤルはISO感度やシャッタースピードの変更に使う。撮影モードの切り替えはタッチパネルだ。

LYTRO ILLUM 撮影モード変更。Androidベースだそうで、タッチパネルの操作感はよい

 撮影時はこういう画面になる。

LYTRO ILLUM 画面の一番右にメニュー。上が再生モードへ。その下が、ISO感度優先、オートホワイトバランス、連写、セルフタイマー。Fnキーを押すと次の画面に切り替わる。その横にあるのがピントの合う範囲を示すバー

 重要なのは、プレビュー画面の右にある距離を示したバー。赤から青の範囲に「ピントが合う」。AFボタンを押してピントを合わせると、それに応じてこのエリアが動いて目安になってくれる。

 リフォーカスできるカメラにAFなんて必要なの? と思われるかもしれないが、必要なのです。あとからピントを合わせられるといっても、レンズ前1センチから無限遠までOKってわけにはいかないから。ある程度ピントの合う範囲があるのでメインの被写体がそこにおさまってないといけない。

 写真に詳しい方なら分かるが、広角時は広い範囲にピントが合う(被写界深度が深い)からアバウトでもいいけど、望遠になればなるほど被写界深度は浅くなる。これはLYTROでも同じだ。

 対数目盛なのでわかりづらいが、この場合、20センチから1メートルの距離にある被写体ならあとからピントを合わせられますよ、という意味である。シャッターの半押しやAFボタンでAFしてもいいし、タッチAFもできるが、このように「範囲内におさまっていればあとからピントを合わせ直せる」ので、そこまで厳密じゃなくてもOK。

 慣れてくると、AFよりも、フォーカスリングを回して「だいたいこのへんに合わせればOK」って位置にセットしてアバウトに撮る、という斬新な撮り方ができるのだ。LYTROならではの撮り方で、これが新感覚で面白い。

 さらにグリップ部にある「ライトフィールドボタン」を押すと、画面が切り替わり、ピーキングとヒストグラム(といっても明るさじゃなくてフォーカスのヒストグラム)が表示される。

 これがめちゃLYTROならでは。

LYTRO ILLUM フォーカスの合う範囲をピーキングとヒストグラムで示してくれる

 フォーカス位置に対して、手前が青、奥が赤でこの範囲から外れたものにはピントを合わせ直すことができない。上の図を見るとよく分かるように、被写体はおおむね青い範囲に入っているので手前にちょっと合わない部分が出てる。少し後ろに合わせてやって、メインの被写体が全体におさまるようにするとよい。

 史上最高にアバウトなマニュアルフォーカスといっていいくらい、だいたいの距離で撮っちゃえばOKなのだ。

 さらに、ボディにある∞ボタンを押すと、過焦点距離にすっとフォーカスを合わせてくれる。過焦点距離は「ここにピントを合わせると、無限遠まで行けますよ、という一番手前の場所」ってことになる。

 LYTRO ILLUMの場合、広角側だと1メートル弱の位置にピントを合わせれば、約50センチから無限遠までのデータを作れるのである。めちゃアバウトでOKってのがこれで分かってもらえるかと。

 望遠端だと被写界深度も浅くなるので過焦点距離がかなり遠くなるけれども、遠くのものを撮るときなんかはAFなんて使わないで∞ボタンを押してシャッターを切る、っていう方がいい。

 慣れてくるとこれがなかなかよいのである。

 例えば、葉が重なった紅葉を撮るときなんか、どこにピントの山を持ってきたいか、両目でちゃんと見るとわかるけど、モニタだといろんな葉が重なってわからなくなったりするじゃないですか。

 でもLYTROならだいたいで撮っておいてあとからピントの山を作れるし、広い範囲に合わせたいと思ったらあとから「絞って」やればいいのだ。

 ここで一例を。

LYTRO ILLUM 一番手前の葉に
LYTRO ILLUM 中央で目立ってる葉に
LYTRO ILLUM F8に絞って紅葉全体に合わせちゃえ

 という具合である。

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