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新しい写真表現が楽しめる新世代カメラ「LYTRO ILLUM」でいろいろ撮ってみた(4/4 ページ)

» 2014年11月19日 09時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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LYTRO ILLUMの作例

 さて、ここまでLYTRO ILLUMの機能とLytro Desktopの説明にかなりの紙幅を割いてしまったが、実際に撮影した写真を見てみてほしい。調整時の設定については各画像に記した。

LYTRO ILLUM 広角端で。プログラムAE、1/4000秒、F2、ISO80
LYTRO ILLUM 望遠端で。プログラムAE、1/3200秒、F2、ISO80
LYTRO ILLUM 指先にピントを合わせてF2で保存。85mm相当。1/2000秒、F2、+0.3EV
LYTRO ILLUM 顔にピントを合わせてF2で保存。1/2000秒、F2、+0.3EV
LYTRO ILLUM 猫。顔にピントを合わせて保存。36mm相当。1/1600秒、F2、ISO80
LYTRO ILLUM F1.0にさらにピントを浅くして(ボケが大きくなる)保存。やや不自然にはなるがより背景をぼかしたいときに
LYTRO ILLUM F5.6に指定。ピントの合う範囲が広くなり、背景も少しくっきりした
LYTRO ILLUM F8に指定して保存。このように被写体が前後して複数いるとき、あとから被写界深度をコントロールできるのは便利。100mm相当。1/80秒、F2、ISO100
LYTRO ILLUM 招き猫。後列の中央の猫にピントを合わせてみた。よく見ると逆光だったこともあってか、右手や耳のエッジが少し不自然。ちょっとした光の加減でエッジのディテールがもやっとしちゃうことがあった。
LYTRO ILLUM
LYTRO ILLUM
LYTRO ILLUM うちの猫がソファでお昼寝。どちらの猫にピントを合わせるかをあとで決められるほか、両方に合わせることもできる。3枚目はF11に絞って両方にピントを合わせてみた。普通のデジカメでF11まで絞るとその分シャッタースピードがぐんと遅くなるかISO感度をうんと上げなきゃいけないが、LYTROならF2で撮ったままあとで調整できる。43mm相当 。1/40秒、F2、ISO640
LYTRO ILLUM 感度別の作例、ISO1600
LYTRO ILLUM 感度別の作例、ISO3200。ISO3200まで上げると偽色が増えてコントラストが下がるのが分かる

 なお、ISO感度別作例以外の作例プラスαをLYTROサーバーにあげておいたので興味ある方はこちらのURL(http://lyt.ro/z11pa)をご確認ください。

LYTRO ILLUMの2つの使い方

 LYTRO ILLUMには2つの楽しみ方がある。

 1つは新世代のスチルカメラとして使う道。あとからフォーカスし直したり被写界深度をコントロールして、1枚の写真として仕上げられるカメラとして使うのだ。

 LYTRO ILLUMでフォーカスし直した1枚の写真を出力すると400万画素相当サイズになる。

 それが1枚の静止画としてどうかというと、初代LYTROに比べるともう雲泥の差で、画素数的にも解像感も階調も発色も見違えるようなんだけれども、一般的なハイエンドデジカメと比べると、エッジに不自然なところが発生することがあったり、ややディテールのシャープさが足りなかったりして(よく言えば描写が柔らかい)、スチルカメラとして同じ土俵で比べるのはまだ辛いかなという感はある。

 でもリフォーカスを前提とした撮影ができるので撮影時に楽、絞り込んで深くピントを合わせた写真にしたいときでもF2で撮れるのでISO感度を上げなくて済む、あとから被写界深度をコントロールできるなどなど、LYTROならではのメリットがあるのだ。作例はないのだが、さまざまな方向の光を記録している点を生かして3D画像も作れる。

 Web用と思えばかなり使える画質なので、今までのカメラでは不可能だった「もっと背景をぼかして」とか「ここまでピントがあってるとうれしいな」っていう無茶な要望にさっと対処できるという面白さはある。またスポーツを撮ってみても面白そうだ。1カットで、ピントが合っている選手が異なってる写真を作り出せる。新しい写真表現ができるかもしれない。

 もう1つの道はLYTROをインタラクティブな写真として楽しんでもらう道。Web上での表現になるが、ユーザーが好きな場所にピントを合わせて楽しむ、インタラクティブ写真になるのだ。

 LYTRO ILLUMの実売価格は20万円前後の予定。ちょっと高価だけれども、初代LYTROに比べると実用性があがったし、250mm F2というすごいスペックでもあるし、何よりこの感覚が面白いのだ。誰にでも勧められるカメラではないけど、一度体感していただきたい次第である。触ってみて「あ、自分ならこんな写真を撮ってこう表現できる」と思ったら、買う価値ありかと思う。

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