さまざまな「写真展」を随時案内していく本コーナー。銀座ニコンサロンで、2015年1月5日から開催予定の市川恵美写真展「日日の木(にちにちのき)」を案内する。
2011年3月、福島第一原発事故から間もなく、初産をひかえた娘が里帰り避難をしてきた。作者は身重の娘と近くの佐鳴湖を散歩する日々が始まり、一本のヤナギの木まで歩くのが日課となった。その木は名木でもなければ稀少種でもない。何の変哲もない日常の光景を象徴して立っていた。その木は、人の世の日日の暮らしの、取り立てて語ることもない普通の明け暮れが、何よりも幸せではないかと教えていた。
撮り続けたヤナギの木は、風雨に晒され、次第に傾き、倒れかかり、今年に入って、ついに地面に倒れた。命あるものの無常の理に心を乱された。ところがある日、倒れた木の幹に若い芽を見つけたのだ。一本の木は土に還って行く。しかしそこにまた新しい命が生まれるだろう。
撮影にかけた三年余の間に、娘は二人目の出産を果たした。新生の命は太陽の光を浴びて、すくすくと育っている。
カラー45点。
名称 | 市川恵美写真展「日日の木(にちにちのき)」 |
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開催期間 | 2015年1月5日(月)〜1月13日(火) |
開館時間 | 10時30分〜18時30分(最終日15時まで) |
定休日 | 会期中無休 |
入場 | 無料 |
会場 | 銀座ニコンサロン |
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