インタビュー
» 2015年02月20日 23時45分 UPDATE

“臨場感”を撮るのに欠かせないツール――X Photographer クリス・ウェストン氏にとっての「X-T1」

プロの写真家の中にも、富士フイルムの「Xシリーズ」を愛用する人は多い。英国出身で、“現代、最もダイナミックな野生動物作家の1人”とされるクリス・ウェストン氏に、FUJIFILM X-T1を使う理由を聞いた。

[園部修,ITmedia]

 ネイチャーフォトにもいろいろなスタイルがあるが、英国出身のクリス・ウェストン氏は、「見る人がまるでその場にいるかのように感じられる」写真を撮ることを身上としている写真家だ。

 CP+ 2015の富士フイルムブースで講演したウェストン氏は、「写真とは『ストーリーテリング』であり、私はまず写真のキャプションを思い描いて、それからそのイメージに合う写真を撮る。もしファインダーをのぞいたときに浮かぶキャプションが、単なる動物の名前だけ(例えば「ペンギン」とか)だった場合は、撮影はしない」と話していたが、実際、同氏の撮る写真は、自分がそこに臨席しているかのような印象を受けるほどリアルだ。“現代、最もダイナミックな野生動物作家の1人”として数えられ、Outdoor Photography Magazineでは「世界で最も影響力を持つ動物写真家」の1人にも選出されている。

Chris Weston

 そんなウェストン氏が愛用するのが、富士フイルムの「FUJIFILM X-T1」。なぜX-T1を使うのか、撮影のフィールドでどんな魅力があるのかを聞いた。

野生動物と向き合うときに欠かせない「FUJIFILM X-T1」

――(聞き手:編集部) ウェストンさんと富士フイルムのカメラの出会いについて聞かせてください。最初にどんなきっかけがあってXシリーズのカメラを手にしたのでしょうか。

クリス・ウェストン氏 2年ほど前から、未来のカメラの形の1つとして、ミラーレスカメラに注目していました。システムのコンパクトさや音の静かさなど、デジタル一眼レフカメラにない魅力があると感じていたのです。そんな折、1年ほど前でしょうか、富士フイルムの英国支社でFUJIFILM X-T1に触れる機会があり、実際に撮影の現場で使ってみたところ、私のニーズにとてもマッチするカメラだったのです。

Chris Weston クリス・ウェストン氏とX-T1で撮影した作品

―― 今お使いのカメラはX-T1ですか?

ウェストン氏 はい、2台のX-T1を使っています。

―― X-T1はどんなところがいいですか?

ウェストン氏 X-T1の魅力はたくさんありますが、まず2つ挙げられると思います。1つはAFの追従性がいいこと。動物の動きにスムーズについてくるので、とても撮りやすいです。

 もう1つは高感度特性の良さです。野生の動物は、日中は寝ている種も多く、撮影が日の出前や日没後になることもよくあります。暗い場所でも、シャッタースピードはある程度速くないといけませんから、ISO感度が上げられることは重要です。X-T1はISO感度を上げてもとてもきれいに撮れます。

 また動物は警戒心が強いですから、撮影の際には、非常に長い時間をかけて警戒を解き、近づいてくるのを待ちます。時にはカメラを持たずに、しばらく動物と向き合う時間を取ることもあります。ですから、カメラが小さいのはとてもいいことです。そして音が小さいこともとても大事です。大きな音がすると動物は驚いて逃げてしまいます。電子シャッターを利用すれば非常に静かなのはX-T1の大きな魅力です。

 もちろん、防じん防滴仕様であることも安心感があります。熱帯雨林での撮影や水辺での撮影でもまったく心配いりません。以前、雨の多い季節にわざと外の雨が当たるところに置いておいて、ぬらして使ってみたりしましたが、1週間の撮影期間中、まったく問題は起こりませんでした。

―― 防じん防滴のシステムは、「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」レンズが出て完成しましたが、それまではX-T1ボディのみの対応でした。それまではどうしていたのでしょうか。

ウェストン氏 そうですね、主に「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」や「XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」にレインカバーを付けて使っていました。防じん防滴レンズがリリースされて、格段に使いやすくなりましたよ。

―― さきほどからX-T1のすばらしい点をいろいろ聞かせていただきましたが、気になる点はありますか?

ウェストン氏 1つ改善してほしいのがハンドリング、特に絞りの操作です。X-T1は、マニュアルで絞りを変える場合、レンズの絞りリングで変更する仕様です。絞りは写真の意図に合わせて変える必要がありますが、撮影中に、腕を絞りリングの位置に動かさないと操作ができません。この一瞬に、決定的瞬間を逃してしまう可能性があります。

 撮影というのは、ただシャッターを押すのではなく、未来を予測しながら撮る行為です。例えば絞りを切り替えている間に、動物が今までしていたことをやめて、違う行動に移ってしまうかもしれません。すると写真は撮れません。ですから、一瞬で操作が完結するのが望ましい。X-T1でも手元のダイヤルなどで絞りの変更ができたらいいですね。

 また、AFの速度はもう少し速いといいと感じることがあります。富士フイルムさんにはぜひがんばっていただきたいです(笑)

「防じん防滴レンズもいいが、35mmF1.4が好み」

―― X-T1と組み合わせるレンズはどんなものが多いですか?

Chris Weston

ウェストン氏 野生動物を撮る写真家は、焦点距離の長いレンズを使うというイメージが強いかもしれませんが、私の一番好きなレンズは、「XF35mmF1.4 R」です。35ミリ判換算で50ミリ相当のこのレンズは、人間の視界に近い画角で撮れます。それから、「XF16-55mmF2.8 R LM WR」や「XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR」も好きですね。

 よく使うのはXF50-140mmF2.8 R LM OIS WRです。35ミリ判のデジタル一眼レフカメラでいうところの70-200mm F2.8クラスに相当し、ほどよい焦点距離で、防じん防滴仕様にもなっており、撮影には欠かせません。

―― では、レンズラインアップで富士フイルムさんにリクエストはありますか?

ウェストン氏 Xマウントレンズのラインアップを見渡すと、一通りレンズはそろってきていて、あまり大きなギャップはないと感じます。強いて挙げれば300ミリから400ミリの望遠域が弱いと思いますが、すでにレンズロードマップに100-400mmのズームレンズも予定されていますし、不満はないですね。

―― 貴重なお話しをどうもありがとうございました。

Chris Weston

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