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» 2015年02月26日 09時00分 UPDATE

実写画像も公開:絶妙な距離感を楽しめる「SIGMA dp3 Quattro」

2014年のCP+でお披露目されてから約1年。35ミリ判換算で75ミリ相当の中望遠レンズを搭載した「dp Quattro」の3番機がついに完成した。実写画像とともにいち早くそのインプレッションをお届けする。

[三井公一,ITmedia]

 シグマ「dp Quattro」シリーズのナンバー "3" がいよいよ登場する。この dp3 Quattro は35ミリ判換算75ミリ相当の中望遠レンズを持つモデルだ。センサーや操作体系などはすでに発売されている「dp1 Quattro」「dp2 Quattro」と共通なので、スペックなど詳細は過去の記事を参照してほしい。ここではその画角でのインプレッションをお伝えしたいと思う。

SIGMA dp3 Quattro SIGMA dp3 Quattro

 個人的に35ミリ版換算75ミリ相当という「中望遠」はとてもしっくりくる。CP+ 2015 シグマブースでのステージ上においてもお話ししたが、街をブラブラ歩いていての被写体との“絶妙な距離感”がいい。ワイドのように突っ込みすぎず、テレのように引きすぎず、ほどほどのディスタンスを保って、対象を見つめている感じが心地よいのだ。具体的に言うと片側1車線ずつの道路の歩道から反対側の歩道を見ているような距離感だろうか。その距離感で対象をとても切れ味鋭いレンズで写しとっていくのが実に楽しい。定評のある「Foveon Quattro」センサーの描写と相まって、味わい深く現実感のある写真を手にすることができるのである。街中のスナップからポートレート、風景まで幅広いジャンルで、シグマらしい描写を堪能できる。

 オートフォーカスも「DP3 Merrill」と較べて高速かつ安定した印象で、とっさのスナップでも心強くなった。ただ焦点距離が長いので、手ブレ補正機能を持たないスパルタンな本機では慎重なシャッターレリースが求められる。もっともdp Quattroシリーズ独特のボディ形状によるホールディングのしやすさは、他の小さめな高級コンパクトデジタルカメラより高いので、それほど心配いらないかもしれないが。自分なりのスイートスポットを見つけてホールディングし、優しくシャッターを切ることだ。

 またdp Quattroの“変態度”に磨きをかけるLCDビューファインダー「LVF-01」を装着することを強くオススメしたい。これをつけてファインダーをのぞくことで手ブレもグッと軽減できるし、何よりも撮影に集中できるからだ。撮影が楽しくなるし、写真の質も高まるに違いない。

 新たに登場する「コンバージョンレンズ FT-1201」を装着することによって、1.2倍の90ミリ相当で撮影も可能だ。開放値F2.8のまま画質を損なうことなく、少しだけ長い眼を手に入れることができる。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F8、1/500秒)、ISO100、WBデイライト、-0.3EV

 岸壁に停泊する船舶を撮影。Foveonセンサーらしいかっちりとしたカットになった。船名の書いてある周辺の質感描写から、若干ゆらぎが出てはいるが、背景の細かいところまで「現場感」が滲み出ている。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F2.8、1/1250秒)、ISO100、WBデイライト、-0.7EV

 dp3 Quattroのレンズは絞り開放から素晴らしいシャープさを見せる。線も細かく、木製パレットのディテールを余すところなく伝えてくれる。背景ボケもブレンドされたようないい雰囲気である。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F5.6、1/800秒)、ISO200、WBデイライト、-0.7EV

 ガレージに停まっている外国車を通りから切り取る。この距離感が実にいい。パースもつかず自然だし、肉眼で注視したような感覚でヒトコマをメモリーカードに定着できる。ヘッドライト周りなどクルマ自体のマテリアル感も気に入った。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F8、1/320秒)、ISO100、WBデイライト、-0.7EV

 港から対岸の街並と山をシューティング。とても緻密でクリアな写真をdp3 Quattroは提供してくれる。ブラリと訪れた場所の記憶を、肉眼を超えて再確認できるのが嬉しい。旅に向いているカメラだと思う。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F2.8、1/250秒)、ISO100、WBデイライト、-1EV

 ヨコハマの飲み屋街を明るいうちからうろつき撮ったカット。歴史を感じさせるレンガと建物のヤレ具合が憎いほど写しとられている。気持ちアンダー目にコッテリとした感じに被写体を表現するのが向いているカメラだと思う。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F5.6、1/640秒)、ISO100、WBデイライト、-0.3EV

 湖を見下ろす高台からのロングショット。手前に広がるススキと道路標識、そして湖面から遠景の山々と、気持ちの良くなるような描写である。風景写真にこの高性能な単焦点レンズとセンサーはいい組み合わせかもしれない。dp3 Quattroは一度使い出すとやめられない魅力がある。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F7.1、1/500秒)、ISO100、WBデイライト、-1.3EV

 運河を航行する屋形船を橋の上から撮った。シグマのカメラはこういう人工物や金属などの描写が得意だ。dp3 Quattro 1台持って、都市の風景を写してブラブラするのも楽しい。独特の写りは他のカメラでは絶対に味わえない。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F5.6、1/125秒)、ISO100、WBデイライト、-0.7EV

 こちらも橋の上からはしけの上にある資材を撮ったカットだ。こういうモノの描写はdp Quattroの独壇場である。大画面で撮った写真を確認すると、その場で見えなかったものまで見えてくる。

dp3 Quattro 絞り優先オート(F2.8、1/500秒)、ISO100、WBデイライト、-0.3EV

 75ミリ相当の単焦点、というと扱いにくそうなイメージがあるが、約22センチまで被写体に寄れるdp3 Quattroはオールマイティーに使える1台だと思う。できればdp1 Quattro、dp2 Quattro、そして dp0 Quattroとシリーズ全部揃えて使うと完璧だ(笑)。

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