レビュー
» 2015年03月04日 17時00分 UPDATE

交換レンズ百景:Kissと相性抜群のパンケーキレンズ――キヤノン「EF-S24mm F2.8 STM」

キヤノンのAPS-Cサイズ機ユーザーにとっては待望となる、パンケーキ型の準広角レンズが登場した。カメラに付けっぱなしにして日常風景の1コマを切り取ってみよう。

[永山昌克,ITmedia]

持ち運びと取り回しに優れた薄型軽量デザイン

 キヤノンの「EF-S24mm F2.8 STM」は、同社APS-Cサイズ機用の広角単焦点レンズだ。35ミリ判換算の焦点距離イメージは38ミリ相当に対応する。広角と呼ぶには画角は少々狭め。厳密には「準広角」に分類されるレンズである。

EF-S24mm F2.8 STM キヤノン「EF-S24mm F2.8 STM」。ボディは「EOS Kiss X7」
EF-S24mm F2.8 STM 錦鯉の池にて、腕を伸ばしてカメラを水面に近付けて撮影。こうしたスナップが軽やかに撮れる、取り回しのよさが心地よい。マニュアル(F2.8、1/125秒)、ISO3200、WBオート、EOS Kiss X7

 最大の特長は、一般的にパンケーキと呼ばれる薄型軽量デザインを採用したこと。レンズの全長は22.8ミリで、重量は125グラム。最小最軽量の一眼レフ「EOS Kiss X7」と組み合せた場合、使用時重量は約495グラム。持ち歩きに有利で取り回しに優れ、日常的なスナップを撮るのに打ってつけだ。

 同じくパンケーキスタイルの製品として、同社は2012年にフルサイズ対応の「EF40mm F2.8 STM」を発売しているが、そのAPS-Cバージョンといっていい。両レンズの外形寸法は同じで、デザインもうり二つ。フィルター径はどちらも52ミリであり、オプションのレンズフード「ES-52」は共用することができる。

 写りは、十分なシャープネスとコントラストを備えたキレのある表現を確認できた。絞り開放値の場合、周辺部がやや甘く、光量低下も見られるが、1段絞れば大きく改善される。歪曲や色収差は気にならない。

 最短撮影距離は16センチで、最大撮影倍率は0.27倍。単焦点レンズとしては結構近寄れるほうだ。

EF-S24mm F2.8 STM 三角形のフォルムが際立つ真横のアングルを選び、シンメトリー構図で撮影。マニュアル(F5.6、1/2000秒)、ISO100、WBオート、EOS 70D
EF-S24mm F2.8 STM やや明るいという程度の開放値だが、近接撮影の場合は背景にきれないボケが生じる。マニュアル(F2.8、1/30秒)、ISO800、WBオート、EOS Kiss X7
EF-S24mm F2.8 STM 最短撮影距離の短さを生かし、寒牡丹の花をクローズアップで捉えた。ストロボを照射しつつ絞りを絞り込むことで、背景を暗くして花のフォルムを強調している。マニュアル(F11、1/160秒)、ISO400、WB晴天、EOS Kiss X7

日常の1コマをメモ感覚で撮影できる

 AFは、「EF40mm F2.8 STM」と同じくSTM(ステッピングモーター)+ギアタイプとなる。キット付属の標準ズーム「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM」などSTM+リードスクリュータイプを採用したレンズとは異なり、フォーカスの駆動音はややある。ただうるさく感じるほどではない。

 フォーカスリングはモーター駆動式で、くるくると際限なく回るようになっている。感触は軽く、マニュアルフォーカス用には不向き。AF速度については比較的高速で、ストレスは感じない。

 多くのパンケーキレンズがそうであるように、鏡胴の薄さと軽さこそが魅力であり、ほかに際立った部分があるわけではない。38ミリ相当という焦点距離にしても、F2.8という開放値にしても、ごくふつうのスペックだ。

 そのため、たとえば超広角ズームや超望遠ズームのようにハッタリをきかせた構図で撮影したり、大口径レンズのように大きなボケを表現したり、といった芸当はできない。得られる絵に関しては、キット付属の標準ズームと大差ないかもしれない。

 だが、撮る楽しさという点では標準ズーム以上のものがある。カバンからサッと取り出し、気に留まったものをメモ感覚でサクサクとスナップできる。単焦点なので、ズームをしながら構図で迷うこともなく、目の前の一定の範囲だけを素早く切り取れる。そんな機動性のよさがやみつきになるレンズである。

EF-S24mm F2.8 STM チューリップの花壇を俯瞰で撮影。横から光を当てて陰影を加え、鮮やかな色彩感を際立たせた。マニュアル(F8、1/125秒)、ISO100、WB晴天、EOS Kiss X7
EF-S24mm F2.8 STM 38ミリ相当という焦点距離は、光学的な誇張が目立たず、目の前の光景を自然な雰囲気でスナップするのに最適だ。マニュアル(F5.6、1/8秒)、ISO1600、WBオート、EOS 70D
EF-S24mm F2.8 STM ピントを合わせた中央部分はくっきりと解像。背景はほどよくボケている。絞り優先AE(F2.8、1/40秒)、ISO500、WBオート、EOS Kiss X7

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.