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» 2015年03月20日 21時30分 UPDATE

今日から始めるデジカメ撮影術:第184回 桜と天気と視点の関係 (1/3)

春といえば桜である。2015年は平年より早く咲くところが多いと予想されており、関東より南は3月22日くらいから開花して、3月末から4月初旬に満開を迎えそうだ。その前にしっかり準備しておこう。

[荻窪圭,ITmedia]

 桜の季節である。

 桜の撮り方って難しいのだよな。いろいろな撮り方ができる上に、天候やセッティングでガラっと雰囲気が変わる。だからこそ撮って面白いんだけど、一言でこう撮るといいよ、といえないのだ。いや、どう撮ると桜が華やかにきれいに撮れるか、というテクニックはあるのだけど、そればかりでは面白くないではないか。

 というわけで、恒例の桜写真である。

ソメイヨシノの発祥の地、江戸の染井村(だった場所)へ

 明治以降、桜といえばソメイヨシノである。開花宣言もソメイヨシノを基準に行われる。実はこれ、江戸時代に人工的に作られた「園芸品種」。桜って野生種もあれば、人工交配で作られた園芸種もある。さらに、野生種どうしが自然交配して新しい品種になりやすいそうで、とにかく種類が多いのだ。

 江戸時代までは桜といえば「吉野の桜」。奈良の吉野山に咲く桜で、古くから歌にも歌われてきた。品種的にはヤマザクラ。野生種だ。それに対して江戸時代に作り出されたのがソメイヨシノだ。漢字で書くと「染井吉野」。もともと「吉野」という名前で売りに出されたが、吉野山の桜とはまったく関係がなく(いわゆる「あやかって」つけた名前)、それはあまりに紛らわしいということで、明治33年に「染井吉野」と命名された。

 染井は地名。染井村で作られたから。地元では「江戸時代末期に染井村の植木屋伊藤伊兵衛により吉野桜として売り出されました」とあるが、もうちょっと早く、1730年頃に染井村の植木職人が作ったという説もある。

 ソメイヨシノは葉より花が先に付くので見た目が華やかなことや、生長が早いことから重宝されて、明治以降に一気に全国に広がったわけである。

 そういわれると染井村(だった場所)に行ってみたくなるではないか、ということで行ってみた。といっても、当時の植木屋が現存するわけではなく、桜の名所だったというわけでもないのだが、近年、「ソメイヨシノ発祥の地」として売り出しているようで随所に桜の花や歴史案内板が用意されている。ソメイヨシノについて知りたい人にはちょうどよい。

デジカメ撮影術 桜 「染井吉野ゆかりの地散歩」。このような案内板が随所にあって楽しめる

 最寄り駅は山手線か地下鉄南北線の駒込駅。そこから北西方向が元染井村。今の駒込3丁目、6丁目、7丁目あたりとなる。染井って地名を無くしちゃったのはもったいなかったね。

 お勧めは染井稲荷から染井霊園のあたり。染井稲荷は小さな神社だが、江戸時代初期の創建。赤い屋根の拝殿前に大きなソメイヨシノが植わってる。青空と赤い屋根とソメイヨシノの色のバランスがよし。

デジカメ撮影術 桜 染井稲荷と桜

 こういう絵面のときは桜を明るく撮るためにちょっとプラスの補正を。稲荷神社前の通りが桜並木でなかなか圧巻。稲荷神社の斜め前には「染井よしの桜の里公園」なる公園があるけれども、そこは桜がさほど多いわけじゃない。

 むしろ、小さいけれども必見なのが「そめいよしの児童遊園」だ。ここには桜が3本だけ植わってるのだが、それがエドヒガンザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノの3種なのである。

 遺伝子の調査から、ソメイヨシノはエドヒガンザクラ(ちょっと早く咲く野生種。江戸で多く栽培されてたのでこの名がついた)とオオシマザクラ(真っ白な花が咲く野生種)の交配によるものとわかっている。この公園にはソメイヨシノとその両親が並んでいるのだ。

 さすがソメイヨシノ発祥の地である。小さな公園だがあなどりがたし。

 ただし、この3つはそれぞれ開花時期がちょっとずれてるので、全部が満開のタイミングってのは難しい。エドヒガン→ソメイヨシノ→オオシマザクラという順で開花するのだ。

デジカメ撮影術 桜 そめいよしの児童遊園にて。左からソメイヨシノ、エドヒガン、オオシマザクラ
デジカメ撮影術 桜 公園にある解説板

 この日はオオシマザクラがまだ咲き始めたばかりだった。

 オオシマザクラが緑なのでもう散って葉っぱが出ちゃったのかと思いきや、違うのである。ソメイヨシノは花が先に咲いてあとから葉が出るが、オオシマザクラは葉と花が同時なので、満開になる前は葉が目立って緑に見えるのだ。ただ、オオシマザクラの白い花はそれはそれでひそやかできれいなので個人的には好きです。

デジカメ撮影術 桜 満開までまだかかりそうなオオシマザクラ

 染井稲荷前はソメイヨシノの桜並木となっている。桜並木を見たら撮りたくなるのが人情というもの。並木をきれいに撮りたいときは望遠で。桜並木が長いときはもうめいっぱい望遠で撮るとよし。

 さほどでもないときは望遠すぎると桜が十分入らないので、ほどほどで縦位置で撮ると、実際より桜に密集感が出る。

デジカメ撮影術 桜 並木があまり長くなかったので120ミリ相当で

 同じ桜を望遠と広角で撮り比べてみよう。

デジカメ撮影術 桜 奥にある桜を狙って350ミリ相当の望遠で
デジカメ撮影術 桜 ギリギリまで近寄って24ミリ相当の広角で

 桜並木は望遠で撮ると迫力が出て実際より高密度で並んでるように見えるのだ。

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