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大橋英児写真展「Roadside Light III」写真展

» 2015年03月31日 07時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]
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 さまざまな「写真展」を随時案内していく本コーナー。コニカミノルタプラザで、2015年4月1日から開催予定の大橋英児写真展「Roadside Light III」を案内する。

 ©大橋英児

自販機は日本じゅう至る所にある。

都市はもちろん、誰が買うのと思えるような山間部や最果ての岬にも自販機はある。なにより特別特定の場所というのではなく、なんでもない道端から個人の家の軒先にまで自販機は置かれている。もはや自販機は日本という国を象徴する最もありふれた風景のひとつといっても過言ではないだろう。しかし、それが日本独特のものであることに気づいている人は意外と少ないのではないだろうか。

とはいえ、2011年の東日本大震災の時、原発事故が起こり、節電が叫ばれ、無駄なものとして一番先に挙げられたのが自販機だった。確かに自販機が無くても人間は生きてはいける。便利さに慣れすぎることへの懐疑だってある。だが、被災した岩手県や宮城県の現地では、津波で壊されたガレキの撤去が終わった後、一番始めに設置されたのは自販機であった。それはガレキ撤去などの復興を進める住民や作業の飲料水の補給のためであったと聞く。それとは対照的に福島県では今なお津波で被災した自販機が壊れたまま放置されている。それは自販機に限らず、福島第一原発の周辺では放射能の影響が残っているため普通の風景となっている。

人がいないどこにでもある普通の町並みに自販機がたたずんでいる。何とも怖い景色である。目に見えない放射能の恐怖をまざまざと見せつけられる。

東日本大震災から4年の月日が経過した。震災当時の衝撃的な映像は人々の目に焼き付き、悲しみや苦しみもある程度共有できたと思う。ただ時間が経過するに従いその記憶も薄れ忘れ去られようといているように感じる。しかしまだ復興はまだら模様で、進んでいるとはいえない状況だと聞いている。福島のようにまだ自宅に帰ることが出来ない地域もある。

このように時間が経過して見え辛くなっている被災地を、自販機を通して見てゆきたいと考えている。そのような意味でまだ通過点ではあるが、このような現実があることを知っていただきたいと思い写真展を開催しました。

写真展の詳細

名称 大橋英児写真展「Roadside Light III」
開催期間 2015年4月1日(水)〜4月10日(金)
開館時間 10時30分〜19時(最終日15時終了)
定休日 期間内無休
入場 無料
会場 コニカミノルタプラザ(ギャラリーB)

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