ボディはレンズの焦点距離を考えるとコンパクトといっていい。しかもPowerShotシリーズとしては初の防じん防滴仕様なので、アウトドアにも持ち出しやすい。
いや、コンパクトと呼んでいいかどうかは微妙ではあるのだけれども、一眼レフスタイルの高倍率ズーム機に比べるとぐっと小さく感じるし、重さも撮影時重量が733グラムに抑えられている。
よく見ると極端に小さいわけじゃないのだが、EVFを内蔵しない分、高さが抑えられているのが大きい。上部に凹凸がないのでバッグへのおさまりがいいのだ。
個人的には600ミリ相当の望遠まで対応しながらEVFを内蔵しないなんてありえない、と思うけど、そういう人は外付けEVFを装着するといい。限定5000台で用意されるEVFキットならすごくお得だ。
背面モニターは3.2型でタッチパネル搭載。G7 Xもそうだが、このクラスのハイエンドコンデジでタッチパネル対応は意外に少ないのでありがたい。タッチAFが便利。
さらに自分撮り対応のチルト式。G7 Xは上に1つヒンジがあるだけのシンプルなチルト式だったが、G3 Xは上下にヒンジがあり、上にも下にもチルトするのだ。このクラスのカメラでどれだけニーズがあるかはアレだけれども、自分撮りにも対応する。
操作系はG7 Xよりいい。
上面に電子ダイヤル、背面にコントローラーホイールを搭載。加えて、独立した露出補正ダイヤルがある。露出補正ダイヤルはこのクラスにはぜひ欲しいのだ。
鏡胴周りは全体が大きなリングとなっており、主にMFに使う。
ダイヤルやリングの機能はある程度カスタマイズできるのだが、もうちょっとカスタマイズの幅が広いとよかったか。鏡胴周りのリングをズームに割り当てたいことはあるから。
ボタン配置はPowerShotゆずりだが、メニューデザインはEOSベース。EOSユーザーのサブ機としてもよい。
さらにワンタッチスマホボタンも装備してスマートフォンとの連携もよくなっている。
高倍率機らしいのは「フレーミングアシスト」ボタン。これを押すと一時的にズーム倍率を落として被写体を見つけやすくしてくれるなどの仕事をしてくれる。
動画はフルHDで60fps。ファイル形式はPCやMacで扱いやすいMP4。動画撮影時は電子式を含む5軸手ブレ補正で安定した映像を撮れる。
まあ1つ1つの機能やスペックを列挙するだけで性能の高さがわかる。
まとめると、防じん防滴だからアウトドアにも持って行きやすく、マクロ撮影にも強く(1インチセンサーのハイエンド機はマクロに弱い機種が多いのだ)、24〜600ミリ相当なので広角から超望遠まで1台でまかなえ、モニターはチルトするので自由なアングルで撮れ、タッチAFを使えば目的の被写体に瞬時にピントを合わせられ、きちっと構えて撮りたいときはEVFも付けられる。
とまあ圧倒的なのである。1インチセンサーのクオリティでこれだけやってくれれば他に言うことはあるまい。
サイズ的にはコンパクトなミラーレス機の方が小さいけれども、レンズ交換なしでこれだけのレンジをカバーするのは高倍率ズームレンズでも無理。それを考えると、G3 Xの方が役立つだろう。たぶん、今、一番役に立つカメラ。
ただ個人的には、パナソニックのLUMIX DMC-FZ1000と比べてから自分に合った方を選ぶのがいいとは思う。FZ1000の方がでかくて重いけど、EVFを内蔵してるので、ファインダーをのぞいて撮るのがメインの人には使いやすい。
またFZ1000は望遠端が400ミリ相当止まりだが、F4.0と1段明るい。そしてFZ1000は4K動画に対応しており、写真が切り出せる4Kフォトも撮れる。
逆にタッチAFを使いたい人はG3 Xだ。
最後にちょいと比較したのは、個人的にどっちかが欲しいと思っていたりするからである。撮影目的で出かけるときはレンズ交換式で必要な機材をきっちりそろえたいけど、もっと気軽に出かけるときはこういうのが欲しいもの。
価格はそれなりにするけれども、キヤノンもおそろしいカメラを作ったもんだと思う。これはやばい。
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