ITmedia NEWS >
レビュー
» 2015年10月23日 06時00分 公開

お手軽パノラマカメラの決定版 リコー「THETA S」はここがすごい (3/4)

[荻窪圭,ITmedia]

新しい撮影モードも登場

 THETA Sになり、オートモードに撮影モードが2つ追加された。DR補正とノイズ低減である。

 DR補正はハイライト部の白飛びを1段分補正する機能。これをオンにすると、ハイライト部が飛びづらくなる。具体的にはシャッタースピードを1段速くして撮影して、ハイライト部以外を持ち上げているようだ。ハイライト部を調整するだけなので、シャドウ部を持ち上げたいときは露出補正と併用するべし。

RICOH THETA S DR補正オフ DR補正オフ
RICOH THETA S DR補正オフ DR補正オフ。電話ボックスの中にTHETAをおいて撮ってみた。本体のシャッターボタンで撮影したときもこのモードになる
RICOH THETA S DR補正オン DR補正オン
RICOH THETA S DR補正オン DR補正オン。DR補正をオンにして撮影。空の白飛びが抑えられてるのが分かると思う

 ノイズ低減モードは撮影時のノイズを減らす機能。これはすごく効く。夜景時は必須。

 ただ、やや複雑な動作をする。明るいときは数枚の画像を連写して合成することでノイズをより少なくする(動体が写っているとそこがちょっと不自然になる)。

RICOH THETA Sノイズ低減モード ノイズ低減モード
RICOH THETA Sノイズ低減モード ノイズ低減オン。走っている自動車が多重に写ってしまった。でも他のモードより細かなノイズは減って滑らかになっている。昼間でも動体が全くない状態でTHETAをきちんと固定して撮るときは(室内の様子など)このモードがお勧め

 暗いときは通常の「オート」よりシャッタースピードを落とし、ISO感度を上げないような処理になる。

RICOH THETA S ノイズ低減モードで撮影した夜景。ISO感度の上昇は抑え、シャッタースピードが遅めになるため、画質はよい。夜景にお勧め

 詳細は不明だが、おおむねこのような動作をすると思ってよく、このモードで撮る時はTHETAを三脚に付けたり、どこかに置くなどして、ブレないようにする工夫は必要だ。夜景や室内など暗いときは「ノイズ低減」モードを積極的に使うべし。

 他に3つの撮影モードがある。「ISO」モードはISO感度とホワイトバランスと露出補正、「シャッタースピード優先」モードはシャッタースピード(1/8〜1/6400秒)とホワイトバランスと露出補正、「マニュアル露出」モードではシャッタースピード(60秒〜1/6400秒)とISO感度とホワイトバランスの設定が変えられる。

 さまざまな設定が可能そうだが、絞りはF2固定のため、細かい露出の指定はしづらい。普段はオート+露出補正を最も使うことになるだろう。

動画は実に面白い!

 THETA Sでは動画も気軽に撮れるようになったため、以前より楽しむ人が増えるだろう。

RICOH THETA S 動画時はさすがにライブビューはなし。フルHDとHDの2種類から選べる

 これが面白いのだ。

 動画は自動転送されないので、撮影したら手動でスマートフォンに転送。するとTHETAならではの360度好きな方向を見ながら動画を楽しめる他、2画面同時再生も可能だ。

 動画再生の様子を録画してみたのでどうぞ。こんな風に楽しめる。

 これを手軽に楽しめるのは素晴らしい。

 PCやMacではTHETAアプリを使って楽しめる。YouTubeにアップロードして公開することも可能だが、今のところ、Chromeブラウザのみの対応となる。

THETA m15と比べて画質はどのくらい上がったか

 すでにTHETAを持っている、あるいは使ったことがある人にとって気になるのは前モデルとの画質差だろう。

 同じ場所で撮り比べたもののスクリーンショットをどうぞ。

 まずは正面。一目瞭然である。ディテールの解像感も色もTHETA Sの方が上。特に葉っぱのディテールを見ると違いがよくわかる。

RICOH THETA m15 THETA m15
RICOH THETA S THETA S

 続いて、真下。

 THETA Sはカメラ自身の痕跡がほとんどない。個体差もあるだろうが、少し多めに重ねているようだ。つまり、上手く撮れば撮影したカメラ自身を消せるのである。

RICOH THETA m15 THETA m15
RICOH THETA S THETA S

 続いてつなぎ目。2つのカメラの合成部分だ。

 これを見ると2つのことが分かる。まずは新しいTHETA Sの方がレンズがしっかりしており、両者の露出などが一致しててつなぎ目に不自然さがないこと。

 もう1つは、THETA Sは基本性能が上がった分、つなぎめの画質劣化がちょっと目立つことだ。魚眼レンズは基本的に中央の解像度が最も高く、周辺部はどうしても画質が落ちるのだ。

 かといって周辺部を使わない撮影をするにはたぶんカメラ+魚眼レンズの組み合わせが4つは必要でもっと大きく高価になる。

RICOH THETA m15 THETA m15
RICOH THETA S THETA S

 THETAならではのスリムさや手軽さを、それで失っては元も子もないわけで、クオリティを重視したいときはメインの被写体がレンズの端に来ないようカメラの向きを工夫するのがいいだろう。

 それでも、初代THETAやTHETA m15と比べたときの画質差は圧倒的だ。

 結論は簡単。

 前THETAを見て、画質がなあとか動画で遊びたいと思ってためらいを感じた人はTHETA Sを買うべし。この価格とサイズでこのクオリティを楽しめるカメラは他にはない。

 THETAをすでに持っている人も買うべし。この画質差はいかんともしがたく、価格もそれほど上がってない。

 特に全天球パノラママニアやパノラマ好きじゃなくても、これは楽しめる。必要な部分を切り出して超々広角カメラとして使っても、前後左右全部一度に録れる自分撮りカメラとしても楽しいのである。新感覚の記念写真カメラとしてもいい。

 業務用にハイクオリティなパノラマ撮影をしたいという人にはもの足りないが、そうじゃないならぜひ買ってみるべし、である。

 普通に撮っても面白いし、工夫すれば他のカメラでは絶対に撮れない写真も撮れるのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.