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» 2016年01月08日 11時50分 UPDATE

「FUJIFILM X-T10」のレンズ選び 中望遠単焦点レンズ編

「FUJIFILM X-T10」に最適なレンズを考える企画の第3弾は“中望遠単焦点レンズ”。これが1本あるだけで、ポートレート、風景、スナップなどの撮影の幅が広がる。

[三井公一,ITmedia]

 軽量コンパクトでありながら美しい写真を撮影できる富士フイルムの「FUJIFILM X-T10」。上位機種X-T1のほとんどの機能を継承し、写りは同等。それでいて気軽に持ち歩けるという素晴らしいミラーレス一眼だ。初心者から上級者まで、撮影の喜びを味わえる魅力的なカメラであり、ぜひ単焦点レンズを組み合わせて使いたいカメラといえる。

 前回は標準単焦点レンズ群、前々回は広角単焦点レンズ群を取り上げたが、フジノンXFレンズとX-T10の写りの良さを実感していただけたと思う。レンズが持つ光学特性とセンサーのマッチングが素晴らしく、鋭いエッジと深い色合い、トーンがうまく絡み合い、ハーモニーを奏でるかのような写りが実にいい。またレンズ自体の造りもしっかりとしたもので、モノとしての存在感も見逃せない。

FUJIFILM X-T10 「FUJIFILM X-T10」と「XF56mmF1.2 R」「XF60mmF2.4 R Macro」「XF90mmF2 R LM WR」

 さて、第3回目となる今回は、中望遠域の単焦点レンズ群を取り上げる。レンズは「XF56mmF1.2 R」「XF60mmF2.4 R Macro」「XF90mmF2 R LM WR」の3本をインプレッションしたい。

 X-T10はAPS-Cサイズのセンサーを搭載するため、XF56mmF1.2 Rを装着すると35ミリ判換算で85ミリ相当、XF60mmF2.4 R Macroでは91ミリ相当、XF90mmF2 R LM WRは137ミリ相当の焦点距離となる。中望遠〜望遠域に分類される長さだ。

 被写体としてはポートレート、風景、スナップなどに向いている。どのレンズも絞り開放からキリッと立ち上がったシャープさを見せ、上質なボケ味が堪能できる。特にXF56mmF1.2 Rは絶品だ。これで女性を撮ると必ず喜んでもらえるからスゴい。瞳の周辺など際立たせたい部分はクッキリと、肌はソフトにうまく柔らかく描写し、色合いもほのかで優しいイメージに仕上がるのだ。背景ボケもスムーズで品があるが、よりクリーミーなボケを求める人には「XF56mmF1.2 R APD」という選択肢もある。人物をよりソフトに撮りたい人にはオススメだ。

 XF60mmF2.4 R Macroは、マクロレンズらしくコントラストが高い描写が得られる。最短撮影距離が26.7センチと、静物や花、昆虫などの撮影から、開放F2.4という明るさを生かしてのポートレート撮影までこなせるレンズとなっている。

 XF90mmF2 R LM WRは、防じん防滴耐低温構造のタフネスさを持つので、風景やワイルドライフ系の撮影でも安心して使えるはずだ。やや全長があるのでX-T10にはヘビーに感じるが、137ミリ相当となる距離感と、F2という明るさを活用して速いシャッタースピードが使えるのはこのレンズならではといえる。

 3本とも実に魅力的な写りで素晴らしいのだが、もしこの中から1本だけ選ぶとしたら、個人的にはXF56mmF1.2 Rを推したい。

XF56mmF1.2 R

XF56mmF1.2 R 絞り優先AE(F1.2、1/750秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート

 このレンズは女性ポートレート撮影に最高の1本だ。絞り開放から品を感じさせる描写だからである。X-T10を買ったらまず購入したい単焦点レンズと言ってもいい。背景のシルキーなボケも美しい。

XF56mmF1.2 R 絞り優先AE(F2、1/210秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート

 チョイ絞りで撮るとシャープさがググッと際立ってくる。それでいて肌のトーンはささくれ立たないので女性を撮影する時に重宝する。X-T10に装着するとややズッシリ感があるがそれが逆に安定感を生んでいる。

XF56mmF1.2 R 絞り優先AE(F10、1/420秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート、-0.67EV

 人物だけでなくスナップから風景まで緻密で安定感のある描写がこのレンズのウリだ。リアリティのある立体感が素晴らしい。

XF60mmF2.4 R Macro

XF60mmF2.4 R Macro プログラムAE(F5.6、1/90秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート、-2.33EV

 マクロレンズらしいきめ細かい写り。描写のおいしい絞り値を使って、クッキリとしっかりと笹の葉を捉えることができた。

XF60mmF2.4 R Macro プログラムAE(F4、1/80秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート

 91ミリ相当の長さなので人物撮影にもピッタリだ。やや固めの写りだが、X-T10のフィルムシミュレーションを上手く使ってやれば、女性でもいい感じに撮れることだろう。

XF60mmF2.4 R Macro プログラムAE(F14、1/420秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート、-1.33EV

 東京湾の漁港をスナップ。コッテリとして濃厚な仕上がりは自分好み。ルックス的にやや古さを感じるレンズだが、この写りを見るとそんなことはどうでもよくなる。

XF90mmF2 R LM WR

XF90mmF2 R LM WR 絞り優先AE(F2、1/3800秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート、-1.33EV

 137ミリ相当の焦点距離はかなり使いがいがある。街中をブラブラと歩いていても何かとちょうどいい長さに感じた。X-T10にはやや長めの鏡筒だが構えると意外とバランスがいい。

XF90mmF2 R LM WR 絞り優先AE(F2.8、1/320秒)、ISO200、ホワイトバランス:オート、-0.67EV

 人物撮影の場合、この位の焦点距離で全身を撮るとプロポーションがキレイに撮れる。短かすぎず長すぎない距離感がいい雰囲気を出してくれる。モデルと背景の重なり具合を考慮して絞りを決めてシャッターを切ろう。

XF90mmF2 R LM WR プログラムAE(F16、1/420秒)、ISO400、ホワイトバランス:オート、-1EV

 X-T10は防じん防滴ボディではないが、このレンズのタフネスさは頼もしい。しっかりとしたレンズの造りは構えるだけでそれを感じさせてくれる。絞り開放からグッと絞ってまで富士フイルムらしい発色を見せてくれるので、山岳からワイルドライフ、風景までガンガンと連れ出したいレンズだ。

画角比較

 X-T10はAPS-Cフォーマットなので、1.5倍した数字が35ミリ判換算の焦点距離となる。開放F値、レンズとボディのバランス、撮影する被写体に応じてレンズをチョイスしよう。

XF56mmF1.2 R XF56mmF1.2 R
XF60mmF2.4 R Macro XF60mmF2.4 R Macro
XF90mmF2 R LM WR XF90mmF2 R LM WR

(モデル:加藤美穂 オスカープロモーション)

※編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭に置いているため、人物撮影にレフ版などは利用していません

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