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» 2016年01月21日 06時00分 UPDATE

交換レンズ百景:フルサイズ500mmで切り取る超望遠の世界――ニコン「AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR」

焦点距離500mm対応の純正レンズは高価で手が届かない……。そんな既成概念を打ち破るリーズナブルな超望遠ズームが登場。500mmならではのピンポイントな視点で眼前の風景を切り取ってみよう。

[永山昌克,ITmedia]

手持ちでも楽しめる強力な手ブレ補正

 一般ユーザーにとっての望遠ズームといえば、テレ端の焦点距離が200mmまたは300mm程度の製品が主流だ。それ以上に長いものは価格や取り扱いの面で少々ハードルが高くなる。だが400mmや500mでのぞいた世界は、200〜300mmクラスとはひと味違った視覚体験であり、写真撮影を趣味にするなら、いつかは挑戦したいと思っている人も多いだろう。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR ニコン「AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR」。今回は「D750」で使用した

 そんな超望遠の入門者に最適なレンズが、今回取り上げるニコン「AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR」だ。フルサイズのFXフォーマットに対応した同社AF-Sの現行ズームレンズでは、最も長いテレ端500mmを実現した製品である。発売は2015年9月。希望小売価格は18万9000円(税込)となる。

 ちなみに同社の超望遠ズームには、これ以外に「AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR」(税込33万4800円)や「AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II」(税込108万円)などがある。開放値や焦点距離が異なるので単純には比べられないが、本レンズは比較的リーズナブルな価格が大きな魅力になっている。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR 絞り優先AE(F8、1/200秒)、ISO400、焦点距離:500mm、ホワイトバランス:日陰、カメラ:D750

 機能面で注目したいのは、CIPA規格準拠で4.5段分の手ブレ補正を内蔵したこと。今回の試用では、ズームの500mm側を使った場合、シャッター速度1/30秒で約95%、1/15秒で約60%のカットをブレなしで撮影できた。

 次の写真は、温室のスイレンをシャッター速度1/40秒で手持ち撮影したもの。重量2キロを超える重めのレンズなので、気軽に振り回すわけにはいかないが、こうした狭い場所では三脚なしで扱えることがありがたく感じる。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR マニュアル(F5.6、1/40秒)、ISO200、焦点距離:500mm、ホワイトバランス:晴天、カメラ:D750

 次も同じく1/40秒を手持ちで撮影。ホワイトバランスを「蛍光灯」に、ピクチャーコントロールを「ビビッド」に設定し、日没直後の空色を鮮やかに表現した。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR マニュアル(F11、1/40秒)、ISO400、焦点距離:200mm、ホワイトバランス:蛍光灯、カメラ:D750

 写りは、絞り開放値からのシャープで高コントラストな描写を確認できた。200mm側に比べると500mm側の開放値は周辺がわずかに甘いが、それでも十分に実用レベルといえる。さらに1段絞ると切れ味が増し、四隅までくっきりと写る。色収差や周辺減光も気にならない。

 次は、最短撮影距離の2.2メートル付近で撮影。羽毛の1本1本を確認できるくらいシャープに解像している。水面などボケ部分の描写はクセがなく素直だ。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR マニュアル(F8、1/100秒)、ISO500、焦点距離:460mm、ホワイトバランス:晴天、カメラ:D750
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR マニュアル(F8、1/400秒)、ISO100、焦点距離:200mm、ホワイトバランス:晴天、カメラ:D750

動き回る被写体にも追従するAF性能

 外形寸法は、最大径が108mmで、全長が267.5mm。500mm側までズームするとレンズの前玉が約77mmほど繰り出す。フィルター径は95mm。質量は、三脚座を含めて約2300gとなる。

 レンズの側面には、フォーカスモード切り替えスイッチのほか、フォーカスリミッター、手ブレ補正のオン/オフ、手ブレ補正のモード選択の各スイッチを装備している。手ブレ補正のモードは、通常の「NORMAL」と動体撮影に適した「SPORT」の2つが選べる。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR シャッター優先AE(F5.6、1/1000秒)、ISO560、焦点距離:500mm、ホワイトバランス:晴天、カメラ:D750

 AFについては、より高価でワンランク上の望遠ズームには及ばないものの、ストレスを感じない速さで作動する。D750との組み合わせでは、動き回る鳥や動物に対して確実に追従するAF性能を実感できた。惜しいのはズームリングの回転角が大きく、素早いズーミングが少々やりにくいこと。回転の感触自体は悪くない。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR シャッター優先AE(F5.6、1/1000秒)、ISO180、焦点距離:500mm、ホワイトバランス:晴天、カメラ:D750
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR マニュアル(F10、1/1600秒)、ISO100、焦点距離:500mm、ホワイトバランス:晴天、カメラ:D750

 今回の試用では、500mmならではの遠近の圧縮効果や、遠景を引き付けるような撮り方を存分に楽しむことができた。

 持ち運びにはそれなりの覚悟が必要になるサイズと重量であり、手持ちによる長時間の撮影は私には正直きつい。だが、同じ超望遠ズームでも開放値が1段明るい「AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II」は、全長365.5mmで、重量は3キロ以上もあるので、それに比べれば小さくて軽いという見方もできる。

 何より、ふだん使っている200〜300mmクラスのズームレンズとはちょっと雰囲気が異なる非日常的な1枚が撮れたなら、この大きさと重さを我慢して持ち歩いた甲斐があった。そんなふうに、撮るたびに達成感と満足感が得られるレンズである。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR マニュアル(F16、1/4000秒)、ISO100、焦点距離:500mm、ホワイトバランス:色温度10000K、カメラ:D750

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