ニュース
» 2016年02月26日 14時15分 UPDATE

プロはCP+ 2016をどう見たか 荻窪圭、三井公一が気になった製品を紹介 (1/3)

例年多くの人でにぎわう、写真とカメラのイベント「CP+ 2016」。普段から製品レビューなどでカメラやレンズ、アクセサリー類に触れているプロは、展示のどこに目を引かれたのか。初日を終えた25日の夜に話を聞いた。

[園部修,ITmedia]

 2016年2月25日から28日までの4日間、パシフィコ横浜で写真とカメラにまつわる国内最大級のイベント「CP+ 2016」が開催されている。今年は直前に多数の製品が発表され、カメラ本体を中心に、世界初公開の製品や国内初披露の製品が多かった

 普段から、レビューや撮影などでさまざまなデジタルカメラに触れているプロフェッショナルたちは、CP+ 2016をどう見たか。ITmedia デジカメプラスでレビューや連載記事を執筆する荻窪圭氏と三井公一氏に、25日の初日を終えて感じたことや面白かった製品を聞いた。

ニコンの「DL」がすごい

――(聞き手:園部修) CP+ 2016の取材、お疲れさまでした。初日を終えて、特に印象に残っている製品があれば教えてください。

荻窪圭氏(以下荻窪) 2015年は、直前に「EOS 5Ds」「EOS 5Ds R」をはじめとするデジタルカメラのフルラインアップが発表されたこともあって、キヤノンの新製品のイメージが強かったんですが、今年は各社が1月から2月にかけて新製品を発表して、それが一堂に会した感じ。それぞれに新製品があるのでどこも面白いですが、一番気になったのはやっぱりニコンの「DL」ですね。

ニコン DL ニコンの「DL18-50 f/1.8-2.8」

―― どんなところが気になりましたか?

荻窪 DLシリーズの3機種を触ってみたのですが、AFも連写もすごく速い! ミラーレスカメラの中でも最速の「Nikon 1」相当のAFを受け継いでいるようで、フォーカスを合わせながらの連写もスムーズ。AFで追従しながら秒間20コマの連写ができるので、シャッターチャンスにも強いと思います。

三井公一氏(以下三井) 私もDLは面白いと思いました。レンズの開放F値が1.8からと明るいのがいいです。Nikon 1には標準域の明るい交換レンズが少なかったので、DLの明るいレンズは魅力です。

 それからDLは、カメラのハードウェアとしての出来もいいですが、プリントがよかったです。解像感、色合い、描写などに1型センサーの良さが出ていると思います。タッチ&トライコーナーだけでなく、その後方にあるギャラリーのプリントもぜひ見ていくことをお勧めします。

荻窪 欠点があるとすればEVFが外付けになっている点。DLのターゲットユーザーには老眼の人も多いはず。わたしがそう。フレーミングにこだわるような撮り方をするカメラでもあると思うので、ファインダーは必須です。まずファインダーをのぞいて、必要ならモニターを動かしてフレーミングする、という使い方になると思うので。「DL24-85 f/1.8-2.8」には内蔵ストロボが用意されていますが、むしろストロボよりEVFを用意してほしかったと思います。

 発売は6月ですから、製品版を試してみないと分からない部分もありますが、出力される絵(写真)が他社の1型センサー搭載のプレミアムコンデジと同等かそれ以上なら超魅力的なカメラだと思いますよ。

三井 ただ、名前がちょっと分かりにくいですね。

―― なんだか交換レンズみたいな製品名ですよね。焦点距離と開放F値の数字が並んでいて。

荻窪 じつはDLに搭載されているSnapBridgeもすごく面白いですよ。別の場所にSnapBridgeのコーナーがあるので、そこにも寄っていくといいと思います。SnapBridgeは、Bluetoothでスマートフォンとカメラを常時接続する機能で、カシオ計算機が「エクシリム オートトランスファー」として主力製品に搭載していますけど、それに似ています。違うのは、SnapBridgeがWi-Fiを使わないこと。Bluetooth LEで常時接続しておき、写真を転送するときはBluetoothの通信で写真を転送します。Wi-Fiを再接続する時間がないので、転送開始が比較的速い。

SnapBridge SnapBridgeのAndroidアプリ

 ただ、フルサイズの画像を転送するのにはそれなりに時間がかかるようです。DLで連写するとものすごい枚数が撮れてしまうので、「2Mモード」にしておいて、縮小した画像を転送するようにするのがいいでしょうね。スマホでは撮れないきれいな写真を撮って、Instagramなどにこじゃれた写真を投稿するような使い方が良さそうでした。

三井 時間があるならブース内をいろいろ見て回った方がいいということですね。

荻窪 ちなみにこのDLの発売を受けて、Nikon 1の位置付けがどうなっていくのか、というのは気になるところです。正直Nikon 1とDLは食い合う部分が出てくると思うのですが、それでも市場のニーズをくんで、単焦点にしたり、連写速度やAFスピードを並みのコンデジのスペックにしたりするのではなく、Nikon 1と同等にしてDLを出してきたところは、「ニコンえらい」と思いました。

三井 焦点距離にバリエーションを持たせたラインアップで投入してきたのもすごいですよね。

「sd Quattro」は純正レンズが一番多いミラーレスカメラ

―― 三井さんは気になるカメラはありましたか?

三井 シグマの「sd Quattro」の出来はすごいと思います。ぜひ会場で実機を見てほしいですね。今までのシグマのデジカメの中でもびしびしピントが合うようになっていますし、測距点もカタログを見ると9点のように見えますが、実は画面内でかなり自由に動かせるようになっています。明るい一眼レフ用のレンズを使ってもちゃんとピントが合うのは、シグマの「SD1 Merrill」などを使っている人からしたら垂ぜんものだと思いますよ。

シグマ sd Quattro H シグマの「sd Quattro H」

荻窪 他社でも、一眼レフ用のレンズを使って、ライブビューで高速にAFができるようになったのって、本当に最近なんですよ。そう考えるとsd QuattroのAFは速いと思います。像面位相差センサーをFoveonセンサーに埋め込んでいるんですよね。どうやってやって実現しているのかはすごく気になりました。

三井 sd QuattroはシグマSAマウントのレンズが全部使えるので、実はミラーレス一眼としてはもっとも純正レンズが多いカメラなんですよ。それもなにげに注目ポイントだと思います。Foveon X3 Quattroを用いているカメラで、レンズが選べるようになったのは、たまらない魅力だと思いますね。明るく高画質なArtラインのレンズから、APS-C用の「18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary」みたいな高倍率ズームまで、シーンに合わせて組み合わせるレンズが変えられるのは面白いと思います。

荻窪 デザインが最近のシグマ製品ぽいというか、シンプルでグリップしやすくて使いやすいんじゃないかなと思いました。背面モニターの横に撮影パラメーターが確認できるサブモニターがあるのもいいですね。

三井 ボディの下にグリップ(パワーグリップ)を付けると、縦横のサイズが正方形になるんです。これがなかなかかっこいい。値段はまだ発表されていませんが、そんなに高くはならないと思いますよ。

 それから、オリンパスの「ハイレゾショット」とかリコーの「リアル・レゾリューション・システム」みたいに、一度に複数回撮影をして多くの情報を持ったRAWデータが撮影できる「SFD(Super Fine Detail)モード」というのがあります。1回のレリーズで7枚撮影して、専用のRAWデータ(X3Iファイル)を生成するのですが、ダイナミックレンジが広いデータが取れるので、作品作りなどにいいんじゃないでしょうか。1枚で350MBくらいの巨大なデータになるので開くのが大変ですが、Foveon X3 Quattroの特性を引き出すにはいいシステムだと思います。なにげに連写が14コマまでできるようになっているのもポイントですよ。

荻窪 手ブレ補正付きのレンズを使えば、ちゃんと手ブレ補正が効くのもsd Quattroのいいところだと思います。dp Quattroは手ブレ補正がありませんでしたから。

三井 sd Quattroの注目度はすごく高いですよ。発表された日は、Twitterでつぶやいた発表内容のRTが一晩中止まらず、あっという間にiPhoneのバッテリーがなくなってしまいました。ぜひ会場で実機をチェックしてみてください。

 それから、マウントコンバーター「MC-11」がすごく面白いので、シグマのレンズを持っている人は注目です。

―― どんなところが面白いんですか?

三井 MC-11って、シグマのレンズをソニーのEマウントに変換できるアダプターなんですが、このアダプターの登場で、すごく大きく変わることがあります。

シグマ MC-11 シグマのマウントコンバーター「MC-11」

荻窪 ソニーは純正で「G MASTER」というレンズを発表しましたが、これはけっこう値段も高いし、レンズ自体も大きくて太め。シグマのレンズって幅広いラインアップがあるので、ソニーの純正レンズにはないレンズが楽しめるようになっていいですね。

三井 これまでは、カメラに合わせてレンズを選んでいたわけですが、これからはレンズに合わせてマウントを選ぶ時代がくる、とシグマの山木和人社長と話したことがあります。シグマのレンズを持っている人は、MC-11とα7を買えばすごく楽しめると思いますよ。ニコンマウントでシグマのレンズを使っている人は、マウント変換サービスを使ってキヤノンマウントやシグマSAマウントにすれば、MC-11を使ってα7に付けられるようになります。これって実はすごいことだと思いませんか。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.