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ISO感度と写りの関係を理解するデジカメ「超」基礎解説

写真の明るさである露出は絞りとシャッタースピードによって決定されますが、実はもうひとつ、露出に大きな影響を与える要素がデジタルカメラにはあります。それが「ISO感度」です。今回はISO感度について理解を深めましょう。

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 前回(デジカメ「超」基礎解説:絞りとシャッタースピードの関係を理解する)はデジタルカメラを使う上でまず理解したい、「露出」、そして「絞りとシャッタースピードの関係」について説明しました。

 写真の明るさである露出は絞りとシャッタースピードによって決定されますが、実はもうひとつ、露出に大きな影響を与える要素がデジタルカメラにはあります。それが「ISO感度」です。今回はISO感度について理解を深めましょう。

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ISO感度について理解をしておくと、暗い場所で写真を撮る際にも思い通りに写真を撮れるようになります

ISO感度は「光への敏感さ」

 まずは前回のおさらいです。

 「絞り」は「レンズが光を通す量」で「シャッタースピード」は「光を通す時間」です。適切な明るさ(適正露出)を得るためには、「絞り値を小さく/シャッタースピードを遅く」あるいは「絞り値を大きく/シャッタースピードを速く」してやればよいことになります。

 この絞りとシャッタースピードは、光をどれだけの量と時間、撮像素子へ当ててやるかを定めるものですが、光を当てられる側である撮像素子が、どれだけ光に対して敏感に反応するかを表したのが、今回登場する「ISO感度」です。

 デジタルカメラは取り込んだ光を撮像素子で電気信号にかえて処理します。ISO感度はその反応の具合を表すもので、数値が倍になると電気信号も倍になり、入り込んだ光の量が半分でも適切な明るさとなります。また、ISO感度を高くして撮影できるカメラを「高感度撮影ができるカメラ」と称することがあります。

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高いISO感度(ISO 1083)での撮影例

少ない光で明るく写す――高ISO感度の恩恵

 ISO感度が高いことで得られる具体的な恩恵は、2つあります。ひとつは暗い場所でも適切な明るさの写真を撮れること、もうひとつが「ブレ」を防止できることです。

photophoto ISO感度を1600まで上げての撮影(写真=左)、ストロボを使うと明るく撮れますが、光の届く範囲しか明るくできていません(写真=右)

 このように、暗い場所でもISO感度を上げることで適切な明るさの写真を撮ることができます。ストロボを使っても明るくすることはできますが、ストロボの光が届く範囲は限られますし、どうしても不自然な写りになってしまうことがあります。そうした場合、ISO感度を上げて撮影するのは有効な手段となります。

 もうひとつのブレ防止ですが、ブレには「手ブレ」と「被写体ブレ」の2つがあります。レリーズを使うならば話は違ってきますが、シャッターを押したときにカメラを持つ手はその押すという動作のため、どうしても動いて(震えて)しまいます。その震えが写真に写り混んでしまうのが手ブレです。被写体ブレは対象の動きが速すぎるため、設定したシャッタースピードでその動きを止めきれなかった際に起こります。

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シャッタースピードが足りないために被写体ブレした例。電車の窓を見るとブレていることが分かります

 いずれも撮像素子へ光を当てる時間を短くする、シャッタースピードを速くすることで対処できます。その際に役立つのが、ISO感度を上げることです。

 シャッタースピードを速くすることは、光を通す時間を短くすることですから、適正露出を得るためには絞り値を小さくしてやるか、撮像素子を光に対して敏感にしてやり=ISO感度を上げて、必要な光を得る必要があります(ストロボを使って、強制的に光の量を増やしてやるという方法もありますね)。

photophoto いずれも適正露出ですが、左の写真はISO感度が低いためシャッタースピードが足らず、被写体ブレしてしまっています。右はISO感度を高め、シャッタースピードを上げることで被写体のブレを抑制しています

 絞り値は利用するレンズによって絶対的に定められてしまいますが、ISO感度は電気的な処理で上げることが可能です。それにフラッシュは光が届く範囲が限られます。そのため、ISO感度を上げることでブレを抑制するという手法が手軽かつ、有用なのです。

高ISO感度のデメリット

 このようにISO感度を上げることで、暗い場所でも明るく撮影が行え(適正露出が得やすくなり)、ブレも抑制できます。いいこと尽くめに思えますが、難点もあります。それは写真の写りが悪くなることです。

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 上の写真は夜間にISO1600で撮影したものですが、全体的にざらつきが見られます。ISO感度を上げることは電気的に信号を増幅することですが、その増幅の際にどうしてもノイズが発生し、写真の写りに悪影響を及ぼしてしまいます。増幅の度合いが高くなる高ISO感度での撮影時にはより顕著となります。これはデジタルカメラの構造上避けられないものです。

 最近ではノイズを除去する仕組み(ノイズリダクション)や裏面照射型CMOSセンサーなどの開発もあり、高ISO感度時のノイズは以前より抑制された製品が多くなっていますが、それでもノイズの完全根絶には至っていません。撮影の際にISO感度はブレを抑えられる値まで上げるにとどめ、むやみに高ISO感度としないことをお勧めします。

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