「OLYMPUS OM-D E-M5」第4回――高感度はどこまで実用的か NEXと比較する:長期試用リポート
OM-Dでアレコレ撮っていると、高感度に強くなったなと感じる。そこでNEX-5N、DMC-G3と3台で高感度比較をしてみた。
先日、古い友人であるところのゆきぴゅーから「古いカメラを段ボールごと処分を頼まれたんですのー」と連絡があったので思わず「オリンパスはある?」「OMはないけど、M1ってのがありますわー」「あ、それちょっと撮らせてー」。
というわけで、M-1とOM-Dを並べて撮ることができた。ある意味、M-1とE-M5であり、初代と五代目なのだ。
左がM-1。オリンパスのフィルム一眼レフといえばOMシリーズだが、実は最初に35ミリフィルム一眼レフとして出したのがこのM-1なのだ(1973年)。だがしかし、すでにM1という名前を使ってた独ライカ社から名称変更の申し入れがあり、OM-1に改名したといういわく付きなのである(OMシリーズの歴史についてはオリンパスにもまとめられている)。
その後M-1のコンパクトでミニマルなボディはOM-1、2と受け継がれていき、長い年月を経て、OM-Dになった。そう思うと感慨深いものがあ。
シャッタースピードダイヤルがマウント部にあるのが特徴で、右手のポジションを維持したまま、左手でシャッタースピードと絞りとフォーカスを変更できたのが快適だった記憶がある。こうして並べてみると、やっぱ似てますな。ガラステーブルで撮ったので、ついでに下からも。
高感度はどこまで実用的か
OM-Dであれこれ撮ってると、感覚的に「あ、高感度にめちゃ強くなった」と感じるわけで、平気でISO6400とかISO12800で撮っちゃうようになる。パソコンの画面で見る分には十分なクオリティで撮れるからすごいんだが、実際のところ、どうなんだろうと。そこで、同じ1600万画素の機種3台で撮り比べてみた。
APS-Cサイズで高感度に強くなったソニー「NEX-5N」、マイクロフォーサーズからは「OM-D」と、一足先に1600万画素になったパナソニックの「DMC-G3」。どれもJPEGでもっともスタンダードなカラー設定(ソニーとパナソニックはスタンダード、OM-Dはナチュラル)で、画角を50ミリ相当と条件を合わせて撮り比べてみたのだ。露出もマニュアル露出で統一してある。
これの中央部をISO感度別に等倍で表示させて見比べてみた。まずはISO400。
やっぱセンサーサイズの大きなNEX-5Nがつやつやしててきれい。OM-DはG3よりざらついているように感じるが、デフォルトのシャープネスが強めだからだと思う。シャープネスを-2にしてやるとかなりいい感じになった。ただ、-2だと感度を上げたときにディテールが曖昧になってくるので、-1あたりがいいかと思う。
続いていきなりISO1600。高感度というと、だいたいこの辺りからポイントになってくる。
さすがに等倍で見ると、どれも荒れ始めていることが分かる。G3は細部が溶け始めてきた。猫のオモチャからちょろちょろと毛が出てるんだけど(和紙でできてるから)、G3はそれがはやくもつぶれはじめてる。
ISO3200。NEX-5NのISOオートはここがMAXとなる。
差が出てきた。OM-DとNEX-5Nはざらつきは出てるもののディテールははっきりしてる。G3はディテールが少しずつ溶けてきてる。
次はISO6400。G3のMAX感度だ。
G3は人形も猫の顔のペイントもモヤモヤしている。OM-Dは顔色は悪くなってるものの、まだディテールはしっかりしていてなんとか使えそう。NEX-5Nに迫る勢いだ。最後はISO12800と25600をまとめて。NEX-5Nとの一騎打ち。
さすがにここまでくるとNEX-5Nは強い。人形の目元を見るとよくわかる。シャドウ部ほどノイズが一緒に浮き上がるので、センサーサイズの差が出た格好だ。ただISO25600になるとNEX-5Nもつらい。
総じて見ると、OM-DはISO感度を上げたときの画質の劣化具合が少ない。標準感度時と高感度時の画質差が少ないのだ。
うまいこと徐々に劣化して行ってて、ISO6400ではG3よりはるかに上、NEX-5Nに迫る勢いを保つのだ。予想以上に大善戦。等倍で見比べると差はわかるが、パソコンの画面程度ならほとんど気にならず、撮像素子の性能向上のみならずノイズの処理もうまくなってるんだなと思う次第。
わたしはISO12800をISOオートの上限にセットし、カラー設定はシャープネスを-1にすることにしました。
次回はマイクロフォーサーズの楽しみのひとつ、レンズ交換について触れてみたい。
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