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「EOS Kiss X6i」第1回――神田川クルーズで動画と静止画を撮ろう長期試用リポート

「STM」レンズのキットも用意され、大幅な動画強化を果たした「EOS Kiss X6i」。通常はデジタル一眼レフとして、ライブビュー時はミラーレス一眼のように使えるカメラとなっていて、実によいのだ。

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 実は最近、オリンパスの「OLYMPUS OM-D E-M5」やソニー「NEX-5N」のようなミラーレス一眼ばかり使ってるので、キヤノンのデジタル一眼レフ「EOS Kiss X6i」を見たとき、でかいなあと思っちゃったわけである。

 もちろんわたしもデジタル一眼レフを持っているし、Kiss X6iより重くて大きなカメラも持ってる訳で、ミラーレス一眼があればOKとは思ってない。でも、Kiss X6iが狙うユーザー層はミラーレス一眼が狙ってる層とかなりかぶると思って間違いなく、つい比べてしまうのだ。Kiss X6iを手にしたとき、ああ、ミラーレス一眼をかなり意識してるなあと感じたし。

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「EOS Kiss X6i」と新型の「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」。実に静かにすーっとピントがあう

 なにしろ従来機より格段に動画撮影機能へのアクセスはよくなったし、マイクもステレオになったし、タッチパネル対応で触ったところにピントを合わせてくれるようになったし、ライブビュー時の自動追尾AFも可能になった。通常はデジタル一眼レフとして、ライブビュー時はミラーレス一眼のように使えるカメラを作ってきたんだなと。

 で、それは実によい。

 デジタル一眼レフとミラーレス一眼の両方を知ってると、望遠で遠くの被写体を狙うときはファインダーをのぞいて撮りたいと思うし(その方が圧倒的に撮影に集中できるし、気持ちいい。それに構図も安定する)、周りを見ながらカジュアルに撮りたいときや高い位置や低い位置から狙いたいときはライブビューと使い分けたくなるわけで、そこを1台で上手に使い分けられると、何かとありがたいのである。

 そんなわけで、Kiss X6iを持って日本橋クルーズ(日本橋から出発して、船から観光するクルーズ船がいくつかでているのだ)に乗ってみた。

 レンズは新型の「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」をチョイス。エントリー向けモデルに高倍率ズームのレンズキットが出たのはよい(ミドルクラスの「EOS 60D」や「EOS 7D」なら用意があるけど)。標準ズームの「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」では望遠側が弱いなあとずっと思ってたのだ。

船から撮る

 では出発。エントリー向けカメラだからまずはフルオートで試そう、と思ったが、フルオートだとすぐストロボを発光したがる。日本橋川は上を首都高が覆ってるので日陰になることが多いからだ。発光禁止モードもあるが、結局プログラムと絞り優先AEを使い分けることに。

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絞り優先AEでF5.6。日本橋川は上を首都高が通っているので全体がこんな感じのカメラ泣かせ。多少傾いているのは、船上で水平を撮るのは難しいってことで勘弁を 19mm 1/50秒 F5.6 ISO100

 あ、そういえば川をのんびり進むなんてそうあることじゃないんだから、動画でも撮っておこう、と思うわけだ。

話し声をたくさん拾ってしまったので、音声は抜いてあります。無音ですみません。静かに川面を楽しむということで

 動画はフルHDでH.264圧縮の.MOVファイル。音声はステレオで48kHz。このあたりは波もあまりなく静かなエリアなので滑らかな映像となってくれた。静止画/動画の切り替えは、電源スイッチを奥に倒してやるだけでいい。

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電源のON-OFFスイッチの延長に動画のポジションが加わり、モードダイヤルを回さなくても動画を撮れるようになった

 で、動画撮影はライブビューボタンでスタート。この状態でシャッターボタンを押すと静止画を撮れる(ただし、アスペクト比は16:9となる)。

 で、使ってて悩むのが、バリアングル液晶モニターを普段どのポジションにしておくか。モニターをひっくり返してこちら側に向けておくと、光学ファインダー使用時にはそこに様々な情報が表示されるからあれこれ設定を変えたいときにいいし、光学ファインダーの上に接眼センサーが用意されているので、ファインダーをのぞくと表示が消える。

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液晶モニターをこちらに向けておくといろいろと便利に使える。

 ライブビューに切り替えたいときはライブビューボタンを押すだけでいいのだけれど、ローアングルやハイアングル撮影をしたいときは、いったんモニターを横に開いてから(この状態だとモニターが向こうを向いてしまうので)、180度回転させなきゃいけない。

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ローアングルやハイアングルで撮るときは液晶モニターに角度をつけたいので、どうしても横に開くことになる。

 まあKiss X6iに限らず横に開いて回転するバリアングル液晶全部がそうなんだけどね。で、わざわざライブビューで撮るときはアングルを変えたいときが多い=たいていモニターが横に開いてるわけで、まあこんな風にローアングルを楽しみたいとき、無理な姿勢を取らなくてもいいということで、

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モニターを開いてローアングルで首都高を下から撮ってみた。ぎゅわんと伸びていく感じがいい。コントラストが高い構図だけど、AEは優秀。落としどころがいい。18mm 1/1600秒 F3.5 ISO100

 こういう写真を撮った後はついそのままパタンと液晶モニターを閉じちゃうから、液晶モニターは裏を向いてる。光学ファインダーを使う分には裏を向いてても問題無いのでいいんだけど、隅田川を航行してて、あ、向こうから来るの、ホタルナじゃん(最近就航した、松本零士氏デザインの水上バス)、動画で撮ろうとスイッチを動画モードにして、あ、液晶モニターが向こうむいてるじゃん、開けなきゃ、遠いからズーミングしなきゃ、動画撮影ボタンはどれだっけ……と慌てるとこうなる、と。

慌ててピントが定まる前に撮影をはじめちゃったので、AFが働く様子ごと録ったといえないこともない。さすがに船の上から望遠で手持ちで撮るとブレる

 とこんな調子で、光学ファインダーとライブビューを切り替えつつ、切り替えのタイミングはどういうときがいいのか考えながら使ってみた。

 ライブビュー系機能を強化したとはいえ、ライブビューモードのままにしてたら時間経過で光学ファインダーに戻っちゃったとか、撮影モードを変えたらモードによってはいったんライブビューがオフになるとか、なんというか、本職はデジタル一眼レフでライブビューをあとから組み込んでるんだなという当たり前のことに気がつくのだけど、ライブビュー関連をこれだけ強化したエントリー向けカメラであるのなら、もうちょっときれいに融合できてるといいのになと思った次第。

 でも普段はデジタル一眼レフとして光学ファインダーをのぞてちゃんと撮る、そして、必要に応じてライブビューや動画撮影を行うと意識的に切り替えていけばm実によくできているカメラだと感じられる。

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神田川を渡る丸ノ内線を水上から真正面から見れるというだけでちょっと感動。露出がアンダーなのはわたしのミスですすみません。これの前に撮ったカットで-1の補正をかけたのをすっかり忘れてまして、あ、丸ノ内線が来た、とりあえず撮っちゃえ、と、撮っちゃったのです。135mm 1/250秒 F11 -1 ISO125
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18-135mmってのはほどよい焦点距離だと思う。200mmまでいっちゃうとちょいとゴツくなるし。望遠端で、JR鉄橋につけられたマークを。動輪をフィーチャーしたデザインで、大正七年と描いてある。135mm 1/250 F5.6 ISO1000
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隅田川から、清洲橋の向こうに見える東京スカイツリー 59mm 1/400秒 F10 ISO100
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むこうから松本零士デザインの初代水上バス「ヒミコ」がやってきたので、その勇姿を望遠端で 135mm 1/640秒 F5.6 ISO100
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すれ違ったヒミコのお尻を望遠端で。やや派手目のいい色を出してくれます 135mm 1/640秒 F5.6 ISO100

 と、デジタル一眼レフとして使ったり、ライブビューにしたり、動画モードにしたりといろいろなスタイルで撮ってみたのだけど、光学ファインダー時のAFが実に速くてスムーズなのに対し、ライブビュー時のAFがAFモードによってかなり体感速度が違うのが気になってきた。

 次回はその辺の話を。

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