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EOS Kissユーザーのための2台目レンズ交換式カメラ――キヤノン「EOS M」(1/4 ページ)

キヤノン初のミラーレス「EOS M」を使ってみた。既存の一眼レフ「EOS Kiss X6i」からセンサーやタッチパネルを受け継ぎながら、ミラーボックスやファインダーなどを省き、大幅な小型軽量化を図った話題のカメラである。

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一眼レフと行き来する「橋渡し」の役割

 キヤノン「EOS M」は今年9月に登場した同社初となるミラーレスカメラだ。大手カメラメーカーでは最後発のミラーレス市場への参入として、大きな注目を集めたモデルである。実際に使った印象は、狙いがはっきりしたカメラ、ということを強く感じた。そのターゲットユーザーは大きく分けて2つある。

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キヤノン「EOS M」

 1つは、これまでは主にコンパクトデジカメを使っていたが、これからステップアップし、レンズ交換式のカメラに挑戦したいと考える人たちだ。そんな人たちに向けて、EOS Mは機能と操作性をシンプルにまとめ、コンパクトデジカメの感覚で気軽に扱えるようにデザインされている。従来の一眼レフにハードルを感じていたビギナーでも取っ付きやすいだろう。

 もう1つのターゲットは、レンズ交換式の2台目としてミラーレスの購入を検討している人たちだ。写真撮影を趣味にしている人はもちろん、趣味というほどではないが多少はカメラに興味を持っている人なら、すでに一眼レフを所有している割合は高い。そんな人たちが、より小さくて軽いミラーレスカメラに興味を持つのは自然な流れといえる。そこでEOS Mは、既存のEOSユーザーがすんなりと入っていけるように、従来レンズと互換性を持たせるマウントアダプターを発売(ダブルレンズキットには付属)している。

photophoto 新開発「EF-Mマウント」の採用やミラーボックスの省略などによって薄型軽量ボディを実現(写真=左)、ビューファインダーや内蔵ストロボも省略。液晶には約104万ドットのワイド3型TFTを採用する(写真=右)

 面白いのは、どちらのユーザー層に対しても、EOS Mが終着点にはなっていないこと。EOS Mは主要な操作をタッチパネルに集約することで「手軽さ」や「スマートさ」を実現している。デザインも秀逸で、撮影意欲を高めるような道具としての魅力もある。しかし、撮影に夢中になればなるほど、徐々に物足りなさを感じることがあるだろう。例えば、AFスピードが遅い、ビューファインダーがない、グリップ感が乏しい、内蔵ストロボがない、望遠レンズがない、液晶の可動ができない、といった不足感だ。

 不足を感じた既存一眼のユーザーは、再び一眼レフに注目し、EOS Mはサブカメラのポジションに落ち着く。あるいは、EOS Mによって初めてレンズ交換式の面白さや高画質を知ったビギナーなら、さらに一歩進んで「EOS Kiss」などの一眼レフに向かっていく。そんなストーリーを同社は考えているのだろう。EOS Mは、潜在的な写真好きやカメラ好きのユーザーを掘り起こし、一眼レフにつなげるための「橋渡し」的な役割を担ったカメラといっていい。

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「EOS Kiss X6i」(右)と同等のセンサーを搭載しながら、ボディ重量は約半分の262グラムを達成
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マウントアダプター「EF-EOS M」を使ってEFレンズを付けた状態。アダプターには、着脱可能な三脚座が付属する
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EFやEF-Sレンズが使用でき、AFや手ブレ補正などのレンズ側の機能は、EOS M装着時もきっちり作動する。撮影モード:絞り優先AE 絞り:F4 シャッター速度:1/4000秒 感度:ISO200 WB:太陽光 ピクチャースタイル:風景 レンズ:「EF 70-200mm F4L IS USM」
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APS-Cサイズセンサーならではのボケを生かした撮影も楽しめる。撮影モード:絞り優先AE 絞り:F2.8 シャッター速度:1/1000秒 感度:ISO400 WB:太陽光 ピクチャースタイル:スタンダード レンズ:「EF 40mm F2.8 STM」
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