第174回 桜のある街の写真と主従の関係:今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)
春と言えば桜の写真なのである。「桜の花」にフォーカスして撮ってもいいけれど、1年のうち今しか撮れない「桜のある風景」を撮るのもまた良いもの。どうしても桜を主役にしてしまいがち、あえて従とする撮り方もアリなのだ。
桜と組み合わせて自分だけの桜写真を
きれいな「桜の写真」を撮ろうと思うと、やはり桜の名所や名木に分があるのだけれど、街の桜には街の桜の良さがある。ちょっと視点を変えて桜の季節ならではの写真を撮ってみよう。
例えば月と桜。たまたま青空に月がぽっかりとうかんでたので、望遠レンズをつけ、月と桜の両方が入る角度を探し、月の方にピントを合わせてみた。これ、桜にピントを合わせると月が大きくボケてしまって月だと分からなくなる。桜の方はほんのりした色でボケていても分かるので、ボカしちゃっていい。
どっちにピントを合わせるかはけっこう大事。
目黒川沿いを歩いていて、どっちにしようかなと思って撮った写真を2枚どうぞ。
どのくらいボカすかも大事。
絞り込むと桜は目立たなくなるが、どんな場所で撮ったのかが見えてくる。ただ、絞り込んで撮るのなら桜が目立つよう、一枝だけではなく、もうちょっとたくさん入れたいところ。
水辺と桜という組み合わせが続いたのでもう1枚。
目黒川で桜を撮りながら歩いてたら、川をさかのぼっていく妙にカッコいいボートを発見。思わず撮ってしまった。もちろんピントはボートに合わせ、ボートがくるのを待ち、桜との位置関係がちょうどよくなるタイミングを見計らって撮影。
桜と鉄道というのもいい。このカップリングって定番ではあるんだけど、それを都内でやってみた。
ちょうど山手線と桜がいい位置関係にあったから。壁が残念だけど、電車の音が聞こえたらタイミングをみはからって待ち構えて連写。その中から2枚。山手線と高層マンションと桜という都会ならではの桜写真である。
遠くまで桜を撮りに行くのもいいけど、まずはこういう身近なその場所ならではのお散歩桜写真からはじめるのがいいんじゃないかと思うのだ。
桜を撮る時に大敵なのが風。春先は風が強い日がある。せっかく晴れたと思ったら、風が強くて花は散るし、風で枝はブレまくるし、花をマクロで寄って撮ろうなんて思ったらもう大変。だがしかし、風の日には風の写真を撮ればいいのである。むしろ、風の日にしか撮れない桜を撮れてラッキーと思うべし。
花びらが舞う写真なんて風が強くないと撮れないんだから。
大事なのはタイミングと背景。背景が暗めの方が花びらは目立つ。広角寄り望遠の方が遠近感が薄れて舞う花びらが目立つ。というわけで、花びらが分かるによう植栽を背景にして風のタイミングを待ってたら、うまいこと犬の散歩にきたおじいさんが入ってくれた。無人かどうかで雰囲気が変わるから。
いい風が吹かないときは、風で散った桜のじゅうたんを大きくいれてやれ、ってことで、こんな1枚を。しゃがんでぐっと低いポジションにし、やや手前にピントを合わせることで後ろの人物を少しボカしてそちらを脇役にさせてもらった。
一口に桜の写真といっても、何を主役にもってくるかでいろんな撮り方ができる。晴れの日は晴れの、風の日は風の桜を撮ればいいんだ、という話でした。
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