標準ズームで撮るクジラのオブジェと螺旋階段――「HD PENTAX-DA 20-40mm F2.8-4ED Limited DC WR」:交換レンズ百景
「DA Limited」シリーズ初のズームレンズ、「HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR」を試用した。ズーム倍率は控えめだが、焦点距離を変えられる単焦点レンズとして使えば、また違った世界が見えてくる。
アルミ削り出しによる高品位な鏡胴デザイン
リコーイメージングが発売するペンタックス「HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR」は、広角から中望遠までをカバーする2倍ズームレンズだ。アルミ削り出しによる高品位な質感を特長とする「DA Limited」シリーズの1本であり、同シリーズでは初のズームレンズとなる。
まず目を引くのは、オールドレンズを思わせる個性的なデザインだ。最近の同社レンズに共通した意匠である赤いリングをレンズ先端に配置した上で、フォーカスリングとズームリングにはそれぞれ異なる形状のローレット加工を適用。指先の感触は心地よく、どちらのリングにもほどよいトルクがあって操作感は滑らかだ。さらに、鏡胴の表面には製品名や距離指標、被写界深度目盛り、焦点距離目盛りなどを刻印して、レトロでメカっぽい雰囲気を高めている。
全長は68.5ミリで、重量は283グラム。今回はフラッグシップ機「PENTAX K-3」に装着して試用したが、ホールドバランスはちょうどよく、取り回しは快適だ。本レンズは防滴構造なので、防じん防滴ボディとの相性もいい。
単焦点レンズの感覚で使えるスナップレンズ
AFは、内蔵したDCモーターによってスムーズに作動する。動作音はほとんど気にならない。写りは、最近のレンズによく見られるシャープネス重視の傾向とは異なり、絞り開放値ではややソフトな表現となる。絞り込むほどに解像感が高まり、キレ味のある描写が得られる。
35ミリ換算の焦点距離は30.5〜61.5ミリ相当。2倍というズーム倍率は、今どきのレンズとしては少々低めだ。一般的なズームレンズの感覚で使うと、焦点距離に物足りなさを覚えることがあるかもしれない。私自身も最初のうちはこの焦点距離とズーム倍率に少し戸惑いを覚えた。
そこで発想を転換し、本レンズがズームレンズであることをいったん忘れることにした。矛盾した言い方になるが、「少しだけ焦点距離を調整できる単焦点レンズ」だと考えて使用すると、不自由さは感じない。それどころか、わずか2倍の倍率でもなぜか得した気分になる。
気軽に携帯して目に留まったものをスナップするのに最適なレンズだ。広すぎず狭すぎない適度な画角は、光学的な誇張をせず、肉眼で見たままの印象をそのまま写真として再現する感覚が味わえる。それに何より、撮る気分を高めてくれ高品位なデザインが気に入った。
(モデル:長澤佑香 オスカープロモーション)
(ヘア&メイク:HANA)
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