「OLYMPUS OM-D E-M10」第2回――普段使いが似合うレンズとカメラ:長期試用リポート
小さくて軽い「E-M10」には、コンパクトな単焦点標準レンズがよく似合う。軽いフットワークで日常的に持ち歩き、目に留まったものをスナップ感覚で撮るのに最適だ。
取り回しのよさとスムーズなAF駆動が魅力
オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M10」は、「OM-D」シリーズの中ではもっとも小さくて軽いボディが魅力のひとつになっている。この携帯性と取り回しのよさを生かすには、交換レンズについても小型軽量の製品を選びたいところ。今回は、そんなE-M10に似合うレンズの1本として、単焦点の標準レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」を試用してみた。
このレンズは、高画質単焦点レンズ「M.ZUIKO PREMIUM」シリーズの新作として、E-M10と同じく今年2月に発売された製品だ。35ミリ換算の焦点距離は50ミリ相当に対応。同シリーズは、これまでに24ミリ相当、34ミリ相当、90ミリ相当、120ミリ相当、150ミリ相当の計5モデルを発売していたが、そこに50ミリの標準レンズが加わったことで、主要な画角を単焦点のみでカバーすることが可能になった。単焦点派にはうれしいラインアップだ。
レンズの全長は42ミリで、重量はわずか137グラム。開放値がF1.8とあまり無理をしていないこともあり、非常にコンパクトにまとまっている。外装は樹脂素材。高級というほどではないが、手にしたときに安っぽさを感じさせない、しっかりとした作りだ。
鏡胴部には、幅の広いフォーカスリングを装備する。リングには適度なトルクがあり、マニュアルフォーカスの操作はスムーズに行える。AFについても高速かつ静粛で、操作感は心地よい。
幅広い用途に活躍する「基本」のレンズ
写りは、絞り開放値から十分な解像感があり、クセのない素直な表現が得られる。カリカリにシャープというほどではないが、かといってソフトでもないバランスの取れた描写だ。各種の収差や歪曲は目立たないように補正されている。
ボケについては、そもそも焦点距離が25ミリと短いので、フルサイズの標準レンズのような大きなボケは期待できないものの、近接撮影ではそれなりにボケる。最短撮影距離は25センチで、最大撮影倍率は0.12倍(35ミリ換算で0.24倍相当)。結構寄れるので、植物や小物をメモ感覚でスナップして楽しめる。
下の写真は、最短撮影距離付近で捉えたミニカーだ。絞り開放値では口径食の影響がやや見られ、光源に生じる玉ボケの形が周辺になるほど崩れるが、2/3〜1段ほど絞ると形が整う。
当初は、E-M10のレンズキットに付属するパンケーキ型の標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」と併せて、レンズ2本態勢で運用するつもりだったが、気が付けばほとんどのシーンをこの25ミリレンズだけで撮影していた。単焦点の標準レンズは、工夫次第で広角的な撮り方も望遠的な撮り方もできるとよく言われるが、まさにそんな「基本」を感じる1本である。価格も手頃なので、単焦点入門用にも打って付けだ。
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