「FUJIFILM X-T1」第2回――23ミリか35ミリか、魅惑のXF単焦点レンズ撮り比べ:長期試用リポート
Xシリーズユーザーには単焦点レンズの人気が高い。なかでも評価の高い「XF23mmF1.4 R」「XF35mmF1.4 R」をX-T1と組み合わせてみた。
さて、FUJIFILM X-T1の第2回である。
前回にAF測離点(フォーカスエリア)を動かすにはFnボタンで機能を呼び出し、十字キーでカーソルを何度も押すのが煩雑だと書いた。その後、ちょっとした解決策を教えていただいた。十字キーの上下左右キーすべて(Fnの3〜6)に「フォーカスエリア選択」を割り当ててしまう方法だ。
この設定にしておくと、十字キーのいずれかを1回押し込むとフォーカスエリア選択の状態となり、2回目の押し込みでその方向(上下左右)にフォーカスエリアのカーソルが移動する。
6つまで割り合えが行えるファンクションキーのうち4つを同一の機能へ割り振ることになるので、もったいないと言えばもったいないのだが、素早いフォーカスエリア移動を行いたい方は試していただきたい設定だ。
2本のXF単焦点レンズで悩む
今回は「XF23mmF1.4 R」「XF35mmF1.4 R」、2本の単焦点レンズを組み合わせてみた。前者は35ミリ換算35ミリ相当、後者は53ミリ相当となり、いずれも開放F値がF1.4と非常に明るいレンズだ。
いずれのレンズもX-T1装着時のバランスは良好。強いて言えばXF23mmF1.4 Rのほうが大柄でフロントヘビーになるためT1のボディにバッテリーグリップやハンドグリップを付けたくなるところだが、扱いに困るというほどではない。花形のフードは迫力があるものの、街中でのスナップではちょっと気恥ずかしい感じもする。その点、XF35mmF1.4 Rは鏡胴も細くフードも控えめなデザインで、軽快なイメージが強まる。
せっかくの開放F値F1.4なので、まずは絞り開放。いずれも絞り開放値からシャープネスの高い描写となり、絞れば周辺部も解像する。開放値での周辺減光や色収差、近接撮影時のにじみなどはそれなりに見られるが、いずれも大口径レンズとしては一般的なものといえるレベルに収まっており、評判にたがわない描写を見せてくれる。
双方とも同じ開放F値 F1.4だが、XF23mmの方が、XF35mmに比べると開放で生じるボケがなめらかな印象。立体感を強調するための絞り開放というより、ボケ味を楽しむための絞り開放という感じだろうか。
X-T1はISO感度の下限がISO200、シャッタースピード上限が1/4000秒なので、晴天の日中で絞り開放での撮影を行う際には減感してISO100にするか、NDフィルターを使うことになる。ただ、露出オーバーの警告が出ても(シャッタースピード表示が赤い文字に変わる)シャッターを切ることは可能なので、あえて露出オーバー気味の写真を撮るということもできる。
X-T1はAFも快適だが、大きなファインダーを使ってのMFもこれまた快適だ。XF23mmF1.4 Rのピントリングは手前に引くとワンアクションでAFからMFに切り替わるようになっており、これはボディ側のフォーカス設定がS/Cいずれになっていてもレンズ側の挙動が優先される。特に絞り開放付近を使って撮影する際にMFは有効となるので、MFを多用する方はフォーカスアシスト機能と合わせ、ぜひとも活用して欲しいファンクションだ。
XF23mmF1.4Rが35ミリ換算35ミリとやや広角よりで、肉眼で見るのとほぼ同感覚の視野を得られるのに対し、XF35mmF1.4 Rは53ミリ相当とより被写体を注視する焦点距離だが、いずれも使いやすい焦点距離であることに変わりはない。また、F1.4という明るい開放F値は夜間の撮影で高感度に強いX-T1の特性とも相まって力を発揮する。
双方ともレンズ本体の質感も高く、焦点距離の汎用性も高い。いずれのレンズもX-T1ユーザーならば必携のレンズと言っていい。ただ惜しいのは絞りリングのクリック感が軽いこと。試用に際して誤動作を招くことはなかったが、もう少し堅めのクリック感が欲しいと感じた。
描写に優劣は付けがたく、どちらを選ぶかの判断基準はどちらの焦点距離が欲しいかの1点に絞られる。できれば双方を手にしておきたいところだが、実売価格ではXF35mm F1.4 Rが約5万円、XF23mmF1.4 Rが約8万円と同時に2本入手するのはちょっとハードルが高い。もしズームレンズしか手元にないならまずXF35mm F1.4 Rを手にしてその描写力を体感して欲しいと思う。
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