ここまで写る、画角94度のワイドな世界――ニコン「AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED」:交換レンズ百景
ニコンから明るさと携帯性を兼ね備えた使い勝手のいい超広角レンズが登場。いつもの見慣れた風景を、ひと味違ったワイドな雰囲気で写せる。
誇張を抑えた絶妙なワイド感が楽しめる
ニコン「AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED」は、35ミリフルサイズに対応した大口径の広角単焦点レンズだ。F1.8の開放値を持つFXフォーマットの単焦点Gタイプレンズとしては、これまでに発売された28ミリから85ミリまでの5製品に続く、6本目のレンズとなる。
20ミリという焦点距離は、超広角と呼ぶには少々微妙な数値である。ひと昔前なら立派な超広角レンズとして活躍したが、今どきはワイド端が14ミリや16ミリの超広角ズームが増え、中には12ミリスタートのレンズもある。12〜16ミリクラスの超ワイドな画角に慣れてしまうと、20ミリではすごく広いとは感じない。
一般的な24ミリスタートの標準ズームと比べた場合は、20ミリレンズはおよそ一回り広い範囲が写る。画角でいうと94度。大まかな感覚としては、身体の前で両手を約90度強広げた範囲が写る、と考えると分かりやすい。
広さという意味では微妙だが、実は、使い勝手は結構いい。14ミリや16ミリの場合は画角が極端すぎるため、いかにも超広角で写しました、といった絵になりがち。それはそれで面白いケースもあるが、パースを強調しすぎた超広角写真はすぐに見飽きてしまう。
その点、20ミリなら、目の前の光景を広がりのある構図で捉えつつ、遠近の不自然な誇張は抑えられる。たとえば下の2枚などは、言われなければ20ミリの超広角で撮ったとは気付かないかもしれない。そんな絶妙なワイド感が20ミリの魅力だ。
今回試用したAF-S NIKKOR 20mm f/1.8G EDは、数ある20ミリレンズの中でも、F1.8という開放値の明るさを持ちながら、質量355グラムの軽量にまとめていることが特徴だ。
同社の最新モデル「D750」に装着した際の使用時重量は、約1195グラム。フルサイズの一眼レフとしては比較的軽量な組み合わせであり、身軽なフットワークで撮影を楽しめた。
四隅までくっきりと解像するシャープな写り
レンズの外装は、鏡胴部が主に樹脂素材で、マウント部は金属となる。フォーカスリングには適度なトルクがあり、マニュアルフォーカスの操作感はスムーズだ。AFについては内蔵の超音波モーターによって静かに、かつスピーディに作動する。
写りは、四隅までくっきりと描写する解像感の高さを確認できた。絞り開放値では周辺がややソフトだが、1〜2段絞り込むことで全域でシャープな描写が得られる。歪曲収差や周辺減光、色収差はそれぞれ多少あるが、目立たないように低減されている。
最短の撮影距離は20センチと短く、最大撮影倍率は1/4.3倍となる。下の写真のような、ちょっとしたクローズアップ撮影も可能だ。
AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G EDは、明るさと携帯性、描写性能をバランスよく兼ね備えたレンズだ。超広角ズームほどの万能性はないものの、明るさを生かして天体撮影や暗所スナップを楽しむにはうってつけだ。そのほか、風景や建築、インテリアなどの撮影にも役立つだろう。
なお今回は試していないが、DXフォーマットで使った場合は、焦点距離は30ミリ相当になり、より一般用途に適した明るいスナップレンズとして活躍する。
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