高品位&防じん防滴に生まれ変わった10.7倍ズーム――オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」:交換レンズ百景
高倍率ズームの利点は、レンズ交換なしで広角から望遠までの幅広い画角で撮影できること。雨や雪の日、あるいは同行者がいてレンズ交換に時間をかけたくないときなどに特に重宝する。そんな1本を紹介しよう。
新コーティングでゴーストやフレアを軽減
オリンパスから、同社マイクロフォーサーズレンズでは5本目となる、防じん防滴対応の製品「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」が登場した。「E-M1」や「E-M5 Mark II」など、防塵防滴ボディのユーザーには気になる製品に違いない。今回は、E-M5 Mark IIに装着して使ってみた。
製品名に「II」とあることから分かるように、このレンズは2010年に発売された「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」の後継モデルである。最大の改良ポイントは、外観デザインを一新した上で、防塵防滴性能を加えたこと。
従来モデルは黒をベースにしてレンズの根元部分にシルバーをあしらったツートーンカラーだったが、新モデルは根元までが黒で統一されている。さらに、ズームリングの表面に刻んだローレットのパターンを変更。外装はどちらも樹脂ベースだが、より精悍かつ高品位な雰囲気に生まれ変わっている。
レンズのサイズは、従来と同じく最大径63.5ミリで全長83ミリ。質量は25グラム増えて、285グラムとなった。ライバルとなるタムロンやパナソニックが発売している、マイクロフォーサーズ準拠の高倍率ズームと比べた場合、質量がわずかに軽いというメリットは損なわれてしまったが、その代わり防塵防滴性能がアドバンテージになっている。
もう1つの大きな改良は、ゴーストやフレアの発生を抑えるために独自のZERO(Zuiko Extra-low Reflection Optical)コーティングをレンズ表面に施したこと。レンズ構成はこれまでと同じく11群15枚で、絞り羽根は7枚。35ミリ換算の焦点距離は28〜300ミリ相当、最短撮影距離は50センチ、最大撮影倍率は0.22倍。このあたりのスペックは変わらない。
ほぼ無音でスピーディに作動するAF性能
試用では、10.7倍という幅広いズーム域によって、引きの構図から寄りの構図までを思いのままに選べる自由度の高さを実感できた。レンズの開放値はワイド端F4、テレ端F5.6と決して明るくはないが、ボディ側の手ブレ補正機構を生かしつつ、適宜高感度を活用することでブレの失敗は避けられる。
AFは、ほぼ無音でスピーディに作動する。MFの際のフォーカスリングの操作感は標準的なもの。ズームリングについてはやや固め。自重でズームが伸びることはなかった。
写りは、画像の周辺部にやや甘さが見られるものの、中央部はシャープに解像する。色収差や周辺減光、歪曲は目立たないように低減。高倍率ズームとしては良好な光学性能といっていい。
もちろん、より高価な「M.ZUIKO PRO」レンズや単焦点レンズに比べた場合は描写性能で見劣りする部分はある。とはいえ、28ミリ相当の広角から300ミリ相当の望遠までをレンズ交換なしで楽しめる利便性と速写性の高さは、シーンによっては写りの差を上回るメリットになるだろう。
小型軽量のレンズなので、カメラに付けっぱなしにして持ち歩き、気になったものを気軽にスナップする用途に最適だ。シャッタースピード優先オート(F5.1、1/250秒)、ISO200、WB:晴天、焦点距離:34mm
望遠による遠近の圧縮効果を意識しつつ切り詰めたフレーミングで撮影。ホワイトバランスは「日陰」を選択して夕日の赤みを強調した。マニュアル(F13、1/160秒)、ISO400、WB:日陰、焦点距離:150mm
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