OS Xの「写真」は「iPhoto」からどう変わった? 最適な移行法を考える(1/4 ページ)
MacのOS Xを10.10.3にアップデートすると、今までDockに入っていた「iPhoto」が「写真」に切り替わる。iPhotoがなくなるわけではないが、どう移行するべきか、実際に試してみたので参考にしてほしい。
今、多くのMacユーザーを悩ませているであろう、新しい「写真」アプリ。特に大量の写真を「iPhoto」や「Aperture」で管理してきた人は、思い切って「写真」アプリに移行するべきか否か。
残念ながら、iPhotoもApertureもすでに購入できなくなっているし、今使っているiPhotoやApertureも、将来OS Xがバージョンアップしたとき、動作に不具合が出ない保証はなく、いずれ何らかの形でこれらの馴染んだアプリから離れなければならないのではあるが、じゃあ今すぐ移行した方がいいのかといわれると悩ましいのである。というか悩ましかった。
個人的にあれこれ試した上で、暫定的な答えは出たので、ここで紹介しようと思う。
iPhotoやApertureのヘビーユーザーには、ぜひ読んでもらいたい。
写真アプリと「iCloudフォトライブラリ」の関係
OS X 10.10.3で搭載された「写真」アプリは大きな役割を持って登場した。
1つはiPhotoの置き換えである。iPhotoは2002年に登場した写真管理・閲覧・編集・出力のアプリであるが、iPhone以前に登場したものであるから、iPhone時代に合わないところも出てきた。それをiPhotoのバージョンアップではなく、まったく新しいアプリへの移行で実行してきたのである。
Appleは、iOSとOS Xのテイストの統一と両者の連動を、徐々に進めてきた。ファインダーのデザインだったり、アイコンのデザインだったり、ストアのデザインだったり、iCloud回りだったり、メッセージングサービスを共通で使えたり。またOS X 10.10ではiPhoneにかかってきた電話をMacでも受けられるとか、iPhoneで書きかけたメールの続きをMacに引き継げたりとか、iPhoneで開いてるWebサイトをMacでもそのまま開けたり(逆もできる)、といろいろ連携を進めてきた。
そして今回は「写真」の番なのである。iPhoneの写真アプリとしっかり連携し、同じテイストで使えるようになって、名前も統一したのだ。
なぜ新しいアプリにしなきゃいけなかったか。それは、iPhoneの写真とMacの写真をクラウドサービスを使って結合させるためである。
今までは「フォトストリーム」というサービスを使って、iPhoneで撮った写真をMacなどでも見ることができた。iPhoneで撮った写真(静止画だけ)をクラウド上のフォトストリームにアップロードし、MacやPC側でそれをダウンロードすることで、Mac側にバックアップができるし、MacでiPhoneの写真を利用できる。
これはこれで便利ではあったが、はなはだ不完全だ。
フォトストリームは(Macや他のiOS機器と写真を共有するための一時的なスペースだったから)最大1000枚しかクラウドに置いてくれなかったし、写真だけで動画は未対応だし、iPhone上で編集したり連写で撮った写真の扱いも中途半端だった。
新しい「iCloudフォトライブラリ」は「すべての写真と動画をクラウドにアップロードし、それをマスターとする」のが基本。
iPhoneで撮った写真はiCloudフォトライブラリに自動的にアップロードされる。iPhoneの編集機能でレタッチすればそれもクラウドのライブラリに反映される。
逆に、Mac側でライブラリに登録した写真もiCloudフォトライブラリにアップロードされ、iPhone側に反映される。Macの「写真」ライブラリで写真を編集するとその結果が反映されてiPhone側の写真も編集後のものになる。
両者が完全に同期するわけだ。
これは非常に素晴らしいアイデアだけれども、ちょっと考えただけで不安になる点もあるわけで、その辺も考慮しつつ、いざ実践である。
写真アプリへの移行に挑戦
今回は、現状のライブラリを写真アプリに移行したのち、iCloudフォトライブラリをオンにしてクラウドでも同期するという手順で移行に挑戦してみた。
いやあドキドキしますな。良くも悪くも。長年のMacユーザーなら分かっていただけると思うが、Appleの新サービスのときはとくにそうである。
問題はどのライブラリを移行するかだ。
実は、iPhotoもApertureも「複数のライブラリ」を持つことができたので、我が家のHDDには50個以上のライブラリが存在してるのだ。
なんでそういうことになるかというと、1つのライブラリではパンクするくらい写真がたくさんあったり、仕事ごとに分けたりしてるからである。
iPhotoもApertureも複数のライブラリを使い分けられて便利だったのだ。
全部を1つの「写真」アプリのライブラリに移行したら数Tバイトになる。そんな大量のデータをクラウドに転送するなんて考えただけで恐ろしい。
今回はそういう複数のライブラリを持っている人、あるいはiPhotoやApertureのライブラリがでかくて内蔵HDDに収まりきらず、そのまま写真アプリに移行するのは難しい人に、この記事が役立てばいいと思う。
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