本格派にも納得の仕上がり これまでの“J”とはちょっと違う「Nikon 1 J5」(1/3 ページ)
コンパクトなボディと高速連写が身上の「Nikon 1」の中でも、Jシリーズは比較的エントリー向けという印象だった。しかし、J5はこれまでのJとは違う。Vシリーズのテイストも持った高機能モデルに生まれ変わっている。
“超軽快で超高速”でコンパクトなミラーレス一眼が「Nikon 1」である。そして、Jシリーズはエントリー向けで速さや軽快感を簡単に楽しむためのカメラ、Vシリーズは中級以上向けでその速さや軽快感を自らの意志で使いこなす人のためのカメラというテイストの違いがあった(とわたしは思ってる)。
でも「Nikon 1 J5」はちと違う。
広告にある「ぼかして撮る、をわたしは知った。」を見て、明るい単焦点レンズをレンズキットに加えただけかい、と思ってしまってはいけない。
まあ、わたしも最初はそう思ったのだけど、このJ5、前モデルのJ4とはうって変わって、従来のVシリーズのテイストをちょっと加えた上に、昨今のトレンドであるチルト式モニターによる「自撮り」や「NFC」を追加し、カジュアルにも本格的な撮影にも使えるモデルに変身したのだ。フルモデルチェンジに近い内容だ。
その上、イメージセンサーも新しくなったのである。
J1からJ4までとはひと味違うJ5。新しくなったイメージセンサー、新しくなったボディのデザインとチルト式モニタ、そして18.5mmF1.8レンズキットの「ぼかして撮る」の3つのポイントを中心に見ていくことにする。
2000万画素で裏面照射型センサーを採用
Nikon 1のウリは「AFと連写の速さ」。AFはミラーレス機では圧勝と言っていいほどの速さで、像面位相差AFを駆使し、コンティニュアスAFで被写体を追従させれば圧倒的な力を発揮する。この速さは素晴らしい。
それを維持しつつ、イメージセンサーを一新。2014年に登場したJ4やV3は1800万画素だったが、今回は2000万画素にちょっとアップ。同じサイズの1インチセンサーを持つコンデジがおしなべて2000万画素クラスなのでそれに合わせてきた格好だ。
同時に、Nikon 1では初の「裏面照射型センサー」を採用してきた。これで高感度に強くなったという。
裏面照射型CMOSは、コンデジではおなじみのセンサーだ。1インチセンサー搭載ハイエンドコンデジでも使われているもので、とうとうNikon 1でも採用である。裏面照射型はセンサーサイズが小さいほど効果が大きいく、1インチともなると極端な差は出づらいが、実際どうなのか、2014年型のNikon 1 V3と撮り比べてみた。
同じレンズ・同じ設定で撮影している。ISO感度はどちらもISO3600だ。
高感度時のノイズ量はほとんど変わってない。違うのはディテールの描写だ。V3はノイズを消すためにけっこう強いノイズリダクションがかかってる。J5はディテールをつぶさない程度に抑えられている。
一般に、高感度時に現れるノイズを消すと、一緒にディテールもつぶれちゃう。ディテールを残すとノイズによるざらつきが残る。
もう1つ比較。よく使うISO1600で撮り比べてみた。
J5の方が高感度時の絵がよいので、強いノイズ低減処理をかけなくてもすみ、ディテールがしっかり残っていると思っても大丈夫だろう。J5の方が高感度時の画質は上がった。それは確かだ。
ISO感度はISO160から12800。オート時の上限も選べる。
高感度時のみならず、全体の絵づくりもちょっと変化し、オート時の絵はより見映えがするようになった。
オートホワイトバランスもJ5の方がしっかり合わせてくる。
連写性能は従来と変わらず。AF追従で最高20コマ/秒。AF固定なら60コマ/秒まで連写可能だ。
ただ連続撮影枚数は20枚なので、20コマ/秒だと1秒分である。連写モードにするとき、10コマ/秒から60コマ/秒まで選べるので、どこにセットするかは大事だ。これはなかなか素晴らしい。
シャッタースピードは最高1/16000秒。F1.8でも晴天下で十分撮れる。
超高速連写や超高速シャッターが可能なのは、電子シャッターだから。上位モデルのV3はメカシャッターと電子シャッターの併用だが、J5は電子シャッターのみである。
だから、シャッター音をオフにすると、ほぼ無音で撮影できる。いつ撮れたかわからないくらい無音である。
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