小さくて軽いボディにミドルクラスの機能と操作性――「OM-D E-M10 Mark II」を試す(1/3 ページ)
OM-Dシリーズのエントリーモデルに位置付けられるE-M10がMark IIとして新登場した。新たに5軸手ブレ補正やAFターゲットパッドなど、使い勝手を向上させる仕組みが取り入れられ、上位モデルに迫る機能と操作性を手に入れた。
ファミリー向けミラーレス一眼といいつつ、デザインも操作性も性能も中級クラスじゃん、といういいリニューアルが「OM-D E-M10」にやってきた。
正直、前モデルのE-M10にそこはかとなく漂っていた廉価版的テイストがなくなったのだ。E-M5系に比べるとちょっと小さくて軽くて価格も安いのだけど、前モデルより凝縮感があり、オートで気軽に撮ってもいいし、あれこれセッティングして凝った撮影をしてもストレスを感じないデキなのだ。防じん防滴を求めないならこれで十分じゃないか、小さくて軽いし、と思ってしまうほど。
それが「OM-D E-M10 Mark II」(以下E-M10 II)である。もうすっかりオリンパスの顔はPENからOM-Dになっちゃいましたな。
特に派手な機能追加があったわけじゃないが、ダイヤル回りの操作のしやすさと、「AFターゲットパッド」機能がいいのだ。
EVFをのぞきながら測距点をさっと動かせるパッド機能搭載
OM-Dの良さは、往年のフィルム一眼レフカメラっぽいデザインにEVFとチルト式モニターの両方を搭載した点。昔ながらのデザインで構えやすく、なおかつミラーレス機なので薄くてコンパクトであり、ファインダー(EVF)と背面モニターをシームレスに切り替えて使える。
この場合、EVFの見やすさやレスポンス、両者の切り替えのスムーズさが重要になる。EVFは上位モデルには及ばないものの前モデルより大きく見やすくなり、このクラスとしてはかなりよいできだ。
今回、EVFと背面モニターの関係がさらに進化した。
「AFターゲットパッド」という機能が付いたのである。すでにパナソニックの「タッチパッドAF」やニコンの「タッチファンクション」で実現されているものだが、ファインダーを覗いたとき背面モニターをタッチパッドとして使えるのである。今までは、ファインダー利用時はAFエリアを十字キーで操作する必要があったが、AFターゲットパッド機能を使うと、のぞいたまま親指でモニターをなでるとAFエリアを動かせるのだ。素早くさっと動かせるので十字キーより便利で感覚的。「拡大」モードにすると細かい微妙な位置調整もできる。これは便利。
さらに面白いのはEVFに「OVFシミュレーション」機能が追加されたこと。ミラーレス機のウリは、露出補正やホワイトバランスなどが反映された状態(つまり仕上がりに近い状態)を見ながら撮影できることだが、OVFシミュレーションをオンにすると、それらの設定が反映されない状態で表示される。光学ファインダー風の見え具合になるというわけだ。
続いて向上した操作性の話。
ボディはEVF&内蔵フラッシュ部がとんがったOM-Dならではのスタイルだが、上面(軍艦部)の構成がけっこう変わったのだ。
電源スイッチが「OM-D E-M1」や「OM-D E-M5 Mark II」と同じ位置になった。フィルム時代のOMシリーズを意識した電源スイッチのデザインとなっている。
左が1973年発売のM-1(途中からOM-1という名前に変更された)の電源スイッチ。右がE-M10 Mark IIの電源スイッチ。意匠を似せたのが分かると思う。電源スイッチをさらに奥へひねると内蔵フラッシュがポップアップする
撮影モードダイヤルは右上に移動。高さを変えた円筒が3つ並ぶ形になった。見た目的にはダイヤルが背高になり、円筒形のビルが3つ並んでる感じでちょっと微妙ではあるが、ダイヤルの高さを変えている分、モードダイヤルも2つの電子ダイヤルもファインダーをのぞいたまま手探りでもさっと見つけられて回しやすい。
また、背面のFn1キーがあるあたりが少し膨らんでいて、ここに親指をひっかけられるのでグリップ性も高くなった。
電子ダイヤルは絞り(あるいはシャッタースピード)と露出補正に割り当てられており、露出補正を簡単に行えるし、Fnキーを押すと片方がISO感度、片方がWBに切り替わる。
バッテリーは前モデルと同じ。「Stylus 1s」や「PEN」シリーズと同じタイプで、E-M1/M5との互換性はない。E-M1やE-M5のサブカメラと考えると不満だが、逆にPENやStylus 1からのステップアップと考えるとよい。
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