もう手放せない全天球カメラ ミラーレスカメラと1型センサーコンデジの躍進も注目:2015年の注目カメラ&トピックス(ライター荻窪編)
デジカメプラスで撮影術やさまざまな機種のレビューを通して新製品に触れてきた荻窪圭氏が、2015年に注目したカメラとは。
2015年に登場したカメラの中でも注目の製品ということで、全天球カメラ・レンズ交換式カメラ・レンズ一体型カメラの各ジャンルから1台ずつ挙げてみた。全天球カメラなんて1つしかないだろうという感じなんであるが、わたしの中ではもう独立したジャンルなのだ。
実際にはこれにスマホを加えた4ジャンルになる。わたしが出かけるときのフル装備でもある。
リコー「THETA S」
全天球カメラという新ジャンルを作り出した「THETA」の第3弾にして、品不足になるほどの人気商品。最近は出かけるときは毎日これを持って行くというほどお気に入りの商品。
なにしろワンショットで上下前後左右全てを切り取れる面白さである。人間の視野的に見えていないところまで撮れる面白さである。当初のTHETAは画質面にかなり難があったけど、「THETA S」はそこがかなり改善されて、普通のコンデジレベルになった。これがでかい。
さらに動画で記録すれば空間に加えて時間を切り取れるのである。
基本、Wi-Fiでスマホとつないで撮るカメラなので、一脚に付けて高い位置から見下ろす全天球写真や、崖からそれを伸ばせば何もない空間から撮影する感覚の写真やら、工夫次第でいろんな写真を撮れる。後からリトルプラネットを作ったり、好きなアングルで切り取ったりして静止画としても遊べる。
この切り取った空間を自在にいじって遊べる感覚は面白い。
もう1つTHETA Sが注目に値するのは環境が整ってきたから。
THETA Sで撮った写真はGoogleのストリートビューアプリを使ってGoogleマップに追加できるし、Googleフォトにアップロードすれば全天球パノラマとしてぐるぐる回して楽しめるし、YouTubeやFacebookも全天球動画の再生に対応してくれた。
スマホをセットしたりつないだりして、全天球パノラマや映像を楽しめるVR系の再生環境(段ボール製からモニターを内蔵した本格派までいろいろある)が出はじめたのもポイントが高い。
そういう意味で、2015年を代表する新しいカメラなのである。
富士フイルム「FUJIFILM X-T10」
レンズ交換式カメラからは、今年あれこれ触った中で、レンズを含めて「一番いい」と思った「FUJIFILM X-T10」を。
FUJIFILM X-T10は、「FUJIFILM X-T1」の下位モデルという位置づけではあるのだが、T10の方が凝縮感があってコンパクトで使っててしっくりきたのである。T1より操作もシンプルになってて、なおかつ必要不可欠なインタフェースはそろっていて、なおかつ廉価なので、新しくミラーレス一眼に手を出したい写真好きにお勧めしたい。
レンズはキットのズームレンズより単焦点レンズを何本かそろえるのがいい。単焦点レンズによいものが多いので、Xシリーズならではのキリッとした絵を楽しめる。「XF90mmF2 R LM WR」なんて、開放からこの描写ですか、って驚きがあってたまらん。
写真を楽しみたい方に是非。
もう1つ、ソニーの「α7 II」とオリンパスの「OM-D E-M10 Mark II」もいい。つまるところ、ミラーレス機にもEVFは欠かせない時代に来たといっていい。EVFと可動式背面モニターを自在に切替ながら撮るというスタイルが楽しいのだ。
個人的にはもう一眼レフはいいや、ミラーレスをメインにしちゃおうという感じ……。たまに使うと一眼レフならではの気持ちよさはあるので手放しはしないけど。
- コンパクトなボディの操作性のよさはX-T1以上 「FUJIFILM X-T10」で撮り歩く
- フルサイズならではの立体感と4240万画素による豊かな描写――ソニー 「α7R II」
- 小さくて軽いボディにミドルクラスの機能と操作性――「OM-D E-M10 Mark II」を試す
キヤノンのGn X 5兄弟
レンズ一体型カメラは、もうすっかり1型センサーが当たり前になって嬉しい限り。で、2015年にそこにぐっと力を入れてきたのが王者キヤノン。レビューでも書いたけど、1.5型センサーのG1 X系を含むと、2014年に発売された「PowerShot G1 X Mark II」「PowerShot G7 X」に加えて、2015年に入って「PowerShot G3 X」「PowerShot G5 X」「PowerShot G9 X」の3モデルが登場し、GnX 5兄弟(nは一桁の奇数)がそろい踏みとなったのである。
それもゴツいのから望遠に強いのからコンパクトなのまで幅広くそろってて感心である。
ただそこからどれを選ぶかというと非常に悩ましいものがあり、一足先に出たG7 XとG3 XはUSB充電に対応してないとか、より望遠に強くて一回り大きなG3 XにこそEVFを搭載すべきだったんじゃないかとか、いろいろいいたいことはあるのだが、総合力ではEVF搭載のG5 Xということか。EVFを内蔵してG5XライクになったG3 X Mark IIが出たら魅力的だと思うのだがどうだろう。
ともあれ、ソニー・キヤノン・パナソニックと1型センサー機を出してきたので、主要デジカメメーカーでそこに手をつけてないのはニコン・オリンパス・富士フイルムの3社となった。2016年はそのあたりに期待したい。
このジャンルはまだ面白くなるはずだ。
- ハイエンドコンデジの全機能全部入りに迫る本格派――キヤノン「PowerShot G5 X」
- 1型ハイエンド機がここまでコンパクトになった――キヤノン「PowerShot G9 X」
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