ズームレンズでは得られないボケとワイド感の両立――ニコン「AF-S NIKKOR 24mm f/1.8G ED」:交換レンズ百景
財布に優しいニコンのF1.8単焦点シリーズの新顔として、24ミリが登場。ズームレンズでは味わえないボケを生かした立体的な表現や、光量が乏しい屋内でのスナップ撮影が楽しめるレンズだ。
気軽に持ち出し、快適に扱える軽量レンズ
ニコン「AF-S NIKKOR 24mm f/1.8G ED」は、35ミリフルサイズに対応した広角単焦点レンズだ。開放値がF1.8の同社製フルサイズ対応レンズとしては、これまでに20ミリ、28ミリ、35ミリ、50ミリ、85ミリの5本が発売されているが、それに続くF1.8シリーズの第6弾である。発売は2015年9月。希望小売価格は9万9900円(税込)となる。
試用してまず気に入ったのは、開放値をF1.8に抑えることで実現した重量約355グラムという軽さだ。同じ24ミリながら、より大口径の高級レンズ「AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED」に比べて約265グラムも軽いことはもちろん、フルサイズ用のキットレンズ「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」に比べても約110グラム軽い。
最大径は約77.5ミリで、全長は約83ミリ。広角単焦点として特に小さいというほどではないが、持ち運びは苦にならない。比較的軽量なボディのD750と組み合わせることで、気軽に持ち出し、快適な取り回しでスナップショットが楽しめる。
F1.8という開放値については、キット付属の標準ズームに比べて約2段明るく、薄暗いシーンで被写体ブレを低減するのに有利になる。加えて、ちょっとしたボケ表現も可能だ。次の2枚は、開放値で捉えた公園での1コマだ。なにげないシーンでも背景をぼかすだけで肉眼とは違った雰囲気が味わえる。
開放値でのボケ描写は、後ボケがやや硬めで、被写体や撮影距離によっては2線ボケの傾向が見られる場合がある。玉ボケは整っていてまずまずきれいだ。合焦部分の解像感は高く、開放値からクッキリとした描写が得られる。周辺部にはやや甘さも見られるが、F4以上に絞り込むと画面全体がシャープな写りとなる。
まずまず良好な近接能力と耐逆光性能
ピント合わせには、レンズ全長が変化しないリアフォーカス方式を採用。AFは超音波モーターによって静かに、かつスムーズに作動する。フォーカスリングの感触はやや重め。最短撮影距離は23センチで、最大撮影倍率は0.2倍。広角単焦点としては比較的寄れるほうだ。
レンズ構成は、EDレンズや非球面レンズ、ナノクリスタルコートを含む9群12枚となる。次のカットでは、構図のアクセントとして太陽を写し込み、絞りを絞り込むことで光芒を作り出した。完全な逆光のためフレアやゴーストが見られるが、その度合いは少なく、十分なコントラストを維持できている。
トータルとしては、スナップ用に最適なフルサイズの広角単焦点として、バランスのいい性能に仕上がっていると感じた。よりグレードの高い「AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED」に比べると、開放値の明るさや鏡胴の高級感でやや見劣りするのは仕方ない。
ただその代わり、携帯性と取り回しの自由度で大きく勝るため、持ち出す機会が増え、結果的にはより面白い写真が撮れる可能性が広がっている。あえてズームレンズを持たず、このレンズと85ミリあたりの中望遠単焦点の2本を持って、街スナップや旅行に出掛けるのも楽しいだろう。
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