パッケージには3脚穴にさしこむプロジェクタースタンドが付属しており、装着することで投映に適度な角度をつけることができる。ただ、投映面に対してレンズが正対しないことで発生する台形ゆがみを補正する機能は用意されていないので、ある程度の大きさに投映したい際には、ミニ三脚などを用意しておくのがいいだろう。
カメラ部の機能は、2009年秋冬モデルとしては標準的なもの。1/2.3型 有効1210万画素CCDに手ブレ補正付き光学5倍(35ミリ換算 28〜140ミリ)のズームニッコールレンズを組み合わせる。ボディデザインはシンプルだが、プロジェクターユニットの搭載なども影響しているのかやや厚みがある。光学5倍ズームレンズ搭載モデルとしては少しばかり大柄という印象だ。
撮影機能は被写体に応じてカメラが自動的にシーンモードを選択する「おまかせシーンモード」、被写体/手ブレを検知してISO感度を調整してブレを軽減する「モーション検知」、最大12人までを認識する「顔認識 2.0」、目つぶり検出などを備えている。こちらも最新のコンパクトデジカメとしては標準的といっていいだろう。
コンパクトデジカメはひとり1台の時代を過ぎ、各社は製品の差別化に全力を注いでいる。その潮流を代表するもののひとつが、特徴的な機能の搭載ではなく画質追求を目指しての“非”高画素化であることは以前にコラムで指摘した。だが、機能面での差別化もまだ開拓される余地があることを本製品は示している。
少々振り返ってみよう。デジカメが急速に普及した際、その要因のひとつとして挙げられたのが「撮った写真がその場で見られて便利」なことである。本製品はその特徴をさらに押し進め、「撮った写真をその場で、みんなで見えて楽しい」というレベルに拡張している。背面液晶のほかにプロジェクターという表示装置を追加したことで、「便利」から「楽しい」への価値拡大を実現したともいえる。
プロジェクター搭載という機能面の差別化だけを取りあげれば、バッテリー駆動時間やライトの輝度、ボディサイズなど改善を求めたい点は多い。しかし、注目すべきはプロジェクターを搭載したことではなく、撮った写真を“その場でみんなで”楽しめること、なのである。きれいに撮れるだけではない価値を提案する製品としてぜひ、今後もシリーズを継続して欲しいと思う。
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