ソニーは今春、「ハンディカム」シリーズの製品として、セミプロの利用にも耐えるハイエンド製品を含めた7モデルを一挙に投入し、他社の追随を突き放しにかかる(ソニー、90のシーンを自動判別するハンディカム「HDR-XR550V」「HDR-CX550V」)(機能アップ、サイズはダウン――ハンディカム「HDR-XR350V」「HDR-CX370V」)(エントリーでも10倍ブレない、ハンディカム「HDR-CX170」「HDR-XR150」)。
例年、春モデルはHDD記録機、秋モデルではメモリ記録機と、シーズンごとに記録メディアをわけていた同社だが、メモリ記録のカメラが主流になりつつある現状を踏まえてか、今回はメモリ記録のカメラも同時にリニューアルされた。HDD、メモリともに上・中・下の3モデルずつをそろえ、さらに同社のハイエンド機では初となるAVCHDカメラ「HDR-AX2000」を加えた7製品で製品群を構成する。全製品がフルHD記録に対応したAVCHDカメラであるが、今回は主力モデルと思われる、メモリ記録の中級機「HDR-CX370V」を取り上げた。
ソニーといえば、何といっても昨年のHDR-XR520V/500Vが衝撃的だった(HDカメラの新たな可能性を開く1台 “ハンディカム”「HDR-XR520V」)。裏面照射型CMOS「Exmor R」による暗部ノイズの大幅な低減と、光学手ブレ補正の強化による安定した撮影を実現し、ビデオカメラ市場全体を巻き込むムーブメントになった。さらにGPSユニットと地図データを内蔵したことで、撮影ずみ映像の新たな管理法も提案してきた。
性能・機能ともに充実ぶりで他社を圧倒したわけだが、最上位機にしか搭載されなかったこれらの機能が、今春は中位〜下位モデルにも惜しみなく適用されていることが最大のポイントといえる。上位機はよりサイズの大きな撮像素子を採用していることや、ビューファインダーの搭載、マニュアル撮影機能の充実ぶりなどで差別化が図られてはいるものの、手軽に撮影したい向きにとっては、あえて上位機を選択する理由が見出しにくくなってしまっているほどだ。
HDR-CX370Vは、1/4型420万画素の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」、高性能レンズの称号である「Gレンズ」を冠した光学12倍ズームレンズ、そして映像処理エンジンの「BIONZ」という基本的なスペックから見どころが満載だ。裏面照射型CMOSは暗部の感度が高く、暗い場面でもノイズの少ない映像を得られることですでに認知が進み、最近ではコンパクトデジカメへの採用も増えている。また、レンズはワイド端の焦点距離が35ミリ換算29.8ミリ相当からと広角側に振られているのが魅力で、風景撮影はもちろん、後ろに下がれない室内での撮影にも威力を発揮する。もちろん光学手ブレ補正機構には、強力な補正効果をもたらす「アクティブモード」が適用可能だ。
本体は金属の質感を前面に出した高級感あふれるデザインで、今回試用したボルドーブラウンのカラーリングも落ち着いたものだが、小さな本体に機能が凝縮されているせいか、手にした感触はずしりと重く、実際の重量以上に感じられる。
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