すみません。前置きが長くなりました。それでは実際にわたしが撮った写真をご紹介しながら、撮影方法について考えていきたいと思います。
訪れた先で鉄道を撮るときには、わたしはある程度の「ストーリー」「テーマ」を考えることにしています。先ほども述べたように、今回の銚子電鉄なら、やっぱり「レトロ」がテーマになりますよね。古い車両がたくさん走っているし、中には思い出のある車両もあるに違いありません。そこを頭に入れながら、撮影してみましょう。
撮影に行ったのは土曜日。週末の買い物を日曜日にずらし、子どもの世話を妻に頼み込んで、ようやくのことでゲットした貴重な休日です。ここは朝早くから出発して、十分に銚子電鉄を堪能することとしましょう。
まずは電車に乗り、乗務員から「弧廻手形」という、630円の1日乗車券を買いましょう。この連載ではこれからいろいろな路線に乗る予定ですが、ふと「あ。ここで撮ってみたい!」と思ったときに降りられる1日乗車券は便利ですし、後々考えるとリーズナブルです。撮りテツの旅には欠かせないアイテムですね。
まずわたしは、終点の外川駅まで、銚子電鉄を一通り乗ってみることにしました。“テツ”を自認しながら、銚子電鉄に乗るのは初めてだったんです。
土曜日、しかも天気がいい日でしたので、乗っているのはほとんどが家族連れでした。がっ、“同好の士”もちらほら見かけます。そうした方が降りていく駅というのはあるんですね。撮影ポイントが分からない場合は、その人に乗っかっちゃいましょう。
ただし、いきなり降りることはしません。チェックをしておいて、後で行ってみればいいんです。乗った車両は「営団地下鉄 銀座線」で使われていたようで、ポイント上を走るときに点灯する補助灯もそのまま残っています。外側のペイントは変わっていますが、この車両もゆっくり撮りたいですしね。
さて、外川駅に着きました。ここはNHKの「にっぽん木造駅舎の旅」でも紹介された、味のある古い木造駅舎です。ではまず、この駅舎を撮ってみましょう。当日は快晴ということもあって、かなり日差しが強かったです。普通にシャッターを切ってみましたが、どうもトビ気味になってしまいます。
カメラの設定をいじってもいいのですが、ここは「プログラムAE、何も考えず撮り」をそのまま実践です。しばらくするといい具合に雲が出てきました。そこで1枚撮ってみましょう。
これはあくまでも一例ですが、設定をいろいろ変えるより「天気を味方につけたほうが早い」こともあるとわたしは思っています。何時間も待ったわけではないので“ラッキー”の部分はありますが、周りの状況を考えながら、撮影していきましょう。
外川駅に、元京王線の車両と思われる電車が止まっていました。これは撮るしかありません。上のような、駅をアップにした写真はよく見かけますよね。ここはアングルを工夫して撮ってみてはいかがでしょう。車両がぐっと寄っている後ろに駅がある、というのはどうでしょうか。
では、銚子電鉄の中心部、仲ノ町駅に戻ってみることにしましょう。ここは銚子電鉄の本社、車庫に加えて、ヤマサ醤油の工場があるので、バリエーションに富んだ撮影ができそうです。
降りてみるとちょうど車両が止まっていました。では、背景と列車のバランスを考えながら撮ってみましょう。「失敗したか?」と思ったら、何枚もシャッターを切ってみることです。そうするうちに、ベストショットが撮れると思います。
車庫には、新たに導入される車両がペイント途中で置かれていました。外川駅で撮った元京王線2010系ですね。これも記録として撮っておきましょう。
記録写真として撮るときには、車両全体だけでなく、列車の製造年が書かれているプレートや、台車でもいいし、「自分が残しておきたい」と思うところを撮ることが大事です。
ここまででかなりお腹いっぱいな感じですが……。やり残したことはありませんか?
いやいやまだありますよね。動いている電車を撮っていないじゃないですか! 次回は駅から出て、“雑誌などで見るような写真”を撮ってみることを目指してみたいと思います。一度撮ってみたいと、思ったことあるでしょ?
作倉瑞歩(さくらみずほ)。40半ばに到達してしまったおやじテツ。ペンネームはその名前の通り、「さくら」と「みずほ」が廃止になったときにATOKの変換候補とともに考え出したもの。「あさかぜ」の食堂車で飯を食ったことがある、が自慢。無類の機関車、客車、寝台車好きで、「ネ」を見るとクラッと来る。中学生のころに東京駅で撮影した「富士」の8ミリフィルムはどこに行ったんだろう……。
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