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「NEX-3」第3回――動画機能はどこまで実用的か長期試用リポート

» 2010年07月30日 13時23分 公開
[ITmedia]
photo ソニー「NEX-3」は動画撮影モードとして、1280×720ピクセル(ファイン/スタンダード)と640×480ピクセルを選択できる

 ソニー「NEX-3」「NEX-5」の機能的な最大の相違点は、動画撮影機能だ。上位機のNEX-5がAVCHD:1920×1080ピクセル(59.94i)/MP4:1440×1080ピクセル(29.97fps)での録画を可能としているのに対し、下位機のNEX-3はMP4:1280×720ピクセル(29.97fps)と640×480ピクセル(29.97fps)となっている。

 本リポートの第1回目で既に述べたが、デジタルレコーダーとの連携などを考慮しないならばMP4/1280×720ピクセルの動画も十分に実用的だ。それならば、海外旅行など荷物を軽くしたい場合、「NEX-3で動画/静止画の両方をまかないたい」と考えるのは自然な発想といえるだろう。NEX-3の動画撮影機能がどれほど実用的なものといえるか、ビデオカメラ(iVIS HF M32)との比較を交えながら見てみよう。

 まずは晴れた屋外と屋内での撮影例から。NEX-3のハイビジョン動画はビットレートを約9Mbps(ファイン)ないし約6Mbps(スタンダード)から選択できるが、屋外作例では6Mbpsを、屋内作例では9Mbpsを選択した。屋内作例のように風になびく葉が大量にあるなど画面の情報量が多い場合、約6Mbpsでは細部のディテールはかなり甘めになる。メモリ残量が少ないなどの状況でなければ、9Mbpsを選択するべきだろう。

 動画撮影は背面ボタンを押すだけで気軽に開始できるが、動画を撮る際、オートフォーカスの振る舞いがあくまでも「ビデオカメラ」ではなく「カメラ」であることには注意した方がいい。もちろん動画撮影中にオートフォーカスは利用できるのだが、ビデオカメラほどピントあわせは速くない。(それでも、一般的なデジタル一眼レフの動画撮影機能に比べると、オートフォーカスは非常に速い)。シャッターボタンを半押しすれば、瞬時にピント合わせをしてくれるので、被写体との距離が変わったとき(風景から手前の人物に主被写体を変えたときなど)は、シャッターボタンを半押しするクセをつけよう。

 次はビデオカメラと比較してみよう。海岸で撮影したところ、風が強かったせいもあるがNEX-3はかなり風切り音を拾ってしまい、波の音はほとんど聞こえなかった。同条件でiVIS HF M32を使って撮影したところ、確かに風切り音も録音されているが、NEX-3ほど大きくはなく、波の音もきちんと聞き取れた。

 NEX-3のハイビジョン動画は十分なクオリティを持つといえるが、動画撮影専用機であるビデオカメラのAVCHDフルハイビジョン/24Mbpsの画質に比べると、さすがに見劣りしてしまう。ただ、ファイルサイズにも相当な差があり、ほぼ同一の被写体を撮影したにもかかわらず、NEX-3で撮影した13秒の動画が約9Mバイトであるのに対し、iVIS HF M32で撮影した10秒の動画は約32Mバイトだった。

 デジタルビデオカメラとの比較では顔認識も無視できない要素といえる。昨今のビデオカメラでは顔認識も標準的に搭載されており、人物へカメラを向ければほぼ自動的に人物の顔にピントが合う。ただ、NEX-3/5は顔認識機能は搭載しているものの、有効となるのは静止画撮影時のみで、動画撮影時には利用できない。動画撮影時のオートフォーカスはマルチAFのみとなるので、フォーカス位置を調整したい際にはMFを選択する必要がある。

 動画撮影の専用機であるビデオカメラと比較すれば、NEX-3の動画撮影機能は「ピント合わせがビデオカメラほど高速ではない」「顔検出が利用できない」といった機能的なウィークポイントこそあるが、録画ボタンが押しやすい位置に用意されていることもあり、「ふだん静止画、ときどき動画」という用途であれば十分に許容できる。

 また、NEX-5がAVCHDフルハイビジョン/最大約17Mbpsであるのに対して、NEX-3がMP4/1280×720ピクセル/最大9Mbpsであるのは画質重視派にとって少々さびしい気もするが、前述したよう「ふだん静止画、ときどき動画」であれば、安価なNEX-3のほうがより手軽に利用できるとも言える。

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