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GPSデジカメ生活のススメ(1) 位置情報があると写真が楽しくなる理由

» 2011年04月26日 16時21分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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 コンパクトデジカメの今春モデルを見渡すと、GPSを搭載した製品が各社からずらりと登場している。現在位置を知るという意味では、携帯電話のGPS機能のほうがなじみ深いのだけれども、デジカメがGPSを搭載したからこそできることというのもある。3回に渡ってGPS内蔵デジカメのススメ、および、GPS内蔵デジカメのGPS機能はどのくらい使えるかを探ってみたい。

photo

 GPS(Global Positioning System)とは、とっても大ざっぱにいえば、2万キロメートルほど上空を漂ってる数10基のGPS衛星が発する電波を受け取り、現在地を測定するシステム。

photo Garminの自転車用GPS「Edge705」。画面はGPS衛星のようす。現在、8つの有効な衛星をとらえていて、位置の精度は6メートル。開けた場所であるほど多くの衛星が見つかるので精度が上がる

 個人利用に関していえば、(1)現在地を知る (2)移動経路を記録する の2つで使われることが多い。で、(1)の応用が現在地を測定してそこから目的地までの最適なルートを調べて案内するカーナビ(あるいはPND)なわけだ。(2)については「GPSロガー」と呼ばれている移動経路を記録する専用の製品もあるほど。

 (1)と(2)の機能を併せ持ち、携帯できるサイズに収めた「ハンディGPS」は海外ではずいぶん前からあり、トレッキングや自転車を趣味とする人(移動しながら現在地を地図で見たり、走行ルートを記録したりできるから)に使われてきた。

 そんなGPSシステムも年々高性能になり、ユニットが小型化され、消費電力も少なくなり、コストも下がり、とうとうデジカメにも搭載されるに至ったのである。

 2008年夏登場のニコン「COOLPIX P6000」をはじめ、2010年春にはソニーのサイバーショット「DSC-HX5V」とパナソニックのLUMIX「DMC-TZ10」、秋にはカシオのEXILIM「EX-H20G」が搭載した。

 2011年春には上記3社に加えて、富士フイルム、キヤノン、オリンパス、ペンタックスがGPS搭載デジカメを用意。本格的にGPS搭載時代がはじまろうとしてる(かもしれない)のだ。ちなみにいちはやくGPSデジカメを搭載したニコンはその後、音さたなし。どうしちゃったんだろう。

 それはさておき、今春の各社GPS搭載デジカメを用意し、デジカメにGPSが搭載されると何が楽しいか、各社のGPSで使い勝手がいいのはどれか。ちょいとその辺を探ってみようというのが趣旨なわけである。

地図を使って写真を整理する

 デジカメにGPSが搭載されると何ができるか。

 一番の目的は「写真に撮影場所を同時記録すること」だ。

 デジカメの写真につけられるEXIF情報には、以前から各種撮影情報に加えて「ジオタグ」と呼ばれるタグが用意されており、そこには撮影場所の緯度経度と撮影方向を記録できる。ずいぶん前から、撮影場所を記録するための方法は標準化されているのだ。

 写真を分類・整理する基本は、「いつ」「どこで」「何を」撮ったかであるが、GPSによってジオタグが付加されれば「どこで」が自動的に記録されるので、分類や検索が変わるのだ。

 例えばこんな感じ。

photo アップルの「Aperture3」。ジオタグがついた写真にはピンがつき、地図上に表示できるほか、GPSロガーのログファイル(GPX形式)を読み込んで、ジオタグのない写真に位置情報を付加することもできる

 ジオタグ対応のソフトならこんな風に地図と組み合わせて写真を楽しめるのである。そして、写真に位置情報が付くと、見せ方も変わってくる。分かりやすいところでは、ジオタグ対応のオンラインアルバムだ。わたしが使ってるのはPicasa Webアルバム。

photo PicasaウェブアルバムはGoogle Mapも提供しているGoogle だけあって地図と連携させやすい。ジオタグ付写真を上げると、地図上にサムネイルがずらっと並ぶ

 これは2010年5月に銚子を自転車で一周したときの写真をPicasa Webアルバムにアップしたもの。地図上にサムネイルがあることで、どこで撮った写真かが(ついでに、どんなルートで回ったのかも)すぐ分かる。これは面白い。

 これは自転車に搭載したハンディGPSのログを利用して、写真にジオタグをつけたもの。パソコン上で写真のEXIF情報に書かれた撮影日時をキーにしてGPSログと照らし合わせ、同時刻にいた場所の緯度経度を、EXIF情報のジオタグに追加するのだ。

 そのためのデジカメ用にGPSロガーという「GPSを使って移動経路を延々と記録し続ける」だけの製品もあるほど。作業にひと手間かかるので、実行している人は限られてるけれども、写真に位置情報を残すにはいい方法だ。

 GPS内蔵デジカメだともっと楽。

photo GPS内蔵デジカメなら、写真を選んでアップするだけで自動的に地図付アルバムになる

 上はソニーのGPS内蔵デジカメ「DSC-HX5V」で撮った写真。友人と自転車で江戸川まで走ったときの写真で、こうしてメンバーに公開すれば、単なる写真より臨場感があって楽しい。

 ジオタグ付写真を投稿することで、撮影場所も一緒にアップロードできるというメリットもある。例えば、これもGoogleのWebサービスだけど(Googleが買収したから)「Panoramio」がある。ここにアップロードして審査に通れば、GoogleMapやGoogleEarth上に自分の写真がのるのだ。

photophoto Panoramioにアップロードして、審査に通れば、Google earthやGoogle Mapの「写真」としてこのように掲載される。これは、台地上の陸橋から東名高速沿いに見た夕日の写真

 ジオタグ対応のオンラインサービスは増えてきているので、あれこれ探して欲しい。

 なお、自宅やその近辺の写真をアップロードするときは注意すること。ジオタグから自宅がバレるってこともあり得るから。そんなときはジオタグを削除してアップロードするのがよい。

 遊ぶのみならず、フィールドワークと組み合わせれば、位置情報がついた画像記録を蓄積できるので、実務上でも有用だろう。動植物の撮影場所を自動的に記録できるし、街の何かの分布を調べたいときも、それの写真を撮りまくればいいだけなのだから。

 そんなわけで、GPS内蔵デジカメをソニー「DSC-HX9V」、キヤノン「Powershot SX230 HS」、カシオ計算機「EX-H20G」、富士フイルム「FinePix F550EXR」、オリンパス「OLYMPUS Tough TG-810」、パナソニック「DMC-FT3」、ペンタックス「Optio WG-1 GPS」と7台集めてみた。

 実のところ、GPSを内蔵しているからといって、普通に撮ってればその場の位置情報が書き込まれるかというと……そうでもなかったりする。カメラによってその使い勝手や性能にばらつきがあるのだ。そのあたりのお話は次回に。

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