2011年に入って、GPS搭載デジカメが増えてきた。前回(GPSデジカメ生活のススメ(1))は、GPSがあると「そもそも、何が楽しいの?」というあたりを解説した。でも、ひとくちにGPS搭載デジカメといっても、その方向性はさまざま。今回は、各社製品の方向性をみてみよう。
GPS内蔵デジカメは、大きく分けて3つのジャンルに分類できると言っていい。
ひとつは旅系デジカメ。まあいわゆる「コンパクト高倍率ズーム」モデルだ。いつの間にか旅行向けデジカメってことになってる。旅行向けだからGPSを内蔵してると、そのまま旅の記録にもなっていい、というわけで、このジャンルの製品が一番多い。具体的な製品名でいえば、ソニー「DSC-HX7V/9V」、キヤノン「Powershot SX230 HS」、カシオ計算機「EX-H20G」、富士フイルム「FinePix F550EXR」、パナソニック「DMC-TZ20」が該当するだろう。
もうひとつが、アウトドア系デジカメ。防水/防じん/耐衝撃などタフネス性能を備えたアウトドア系デジカメは自然の中で使うように意図した設計がされているので、GPSとの相性はいい。こちらの代表的な製品は、富士フイルム「FinePix XP30」、パナソニック「DMC-FT3」、オリンパス「OLYMPUS Tough TG-810」、ペンタックス「Optio WG-1GPS」というところ。
さいごのひとつが、いわゆる普通のコンパクトデジカメでGPSを搭載したもの。こちらにはソニー「DSC-TX100V」が該当するかな。
旅行向けとアウトドア向けを中心にGPSを搭載しようというのは、その活用シーンが分かりやすく、至極、まっとうなアイデアだといえる。ここから各ブランド1台ずつをピックアップした。旅デジカメ系から軽く紹介しつつ、GPS機能について触れていく。
今回紹介する中で唯一の2010年秋モデル。ベースとなっているのはEXILIM EX-H10で、24ミリ相当からの10倍ズームレンズと大きなバッテリーを持つ、ちょっとずんぐりしたモデル。これにGPSを搭載した。撮像素子は有効1410万画素CCDだ(レビュー)
このモデルの特徴はふたつ。ひとつは世界地図を内蔵していること。日本の場合、都心部では約4000分の1、それ以外では約17万分の1の地図を持っており、現在地を表示したり、地図上に撮影した写真を配置したり、移動軌跡を線で示したりしてくれる。2010年12月にはファームアップにより、移動経路をKMLファイルでSDメモリーカードに書き出す機能が追加された。
地図表示は本体正面の地図ボタンで。その隣にあるボタンは現在地表示となる。主要都市中心部以外の縮尺が粗いため、詳細図掲載地域以外では地図として使えないが、撮影場所を見ながら再生できるのは便利で面白い。再生時に場所から写真を選べるのも秀逸。
もうひとつは「ハイブリッドGPS」機構を採用したこと。GPSと本体内蔵のジャイロセンサーを組み合わせるため、一度測位が完了すれば、その後の測位は正確かつ高速で、乗り物で移動しているときもそれなりに位置をつかみ続けてくれる。さすがに地下鉄に乗ってしまうと追い切れないが。
GPSは電源オフ時は10分間隔(ただし、ジャイロセンサーが加速度を検知すると移動したと判断して測位してくれるのでもっと細かくとれる)。電源オン時は1秒ごとに測位するという仕様。
全部入りといわれて2010年にヒットした「DSC-HX5V」の後継機がHX7Vであり、その上位モデルがHX9V。HX7Vよりひとまわり大きくなり、レンズのズーム倍率が16倍に伸びた。ソニーならではの「連写+合成」技は相変わらずさえており、スイングパノラマ、HDR、手持ち夜景など豊富。逆にお遊び系の機能(デジタルフィルタ系など)はない(レビュー)。
GPSは電源オン時のみ動作するが、測位を迅速に行うため、GPS衛星の軌道情報を記載した「GPSアシストデータ」を利用できる。
GPSアシストデータはソニーが用意するサーバー上に随時更新されたものが用意され、パソコンとUSBでつなぎ、PMB、あるいは本体内蔵の「PMB Portable」を通してカメラに転送される(メモリカードを抜き出しての転送も可能)。GPSアシストデータの有効期限は1カ月だが、できるだけマメに更新した方がいい。本製品はUSB充電が可能なので、充電ついでにパソコンにつないでGPSアシストデータも更新するのがいいだろう。
HX5VになかったGPS関連機能としては、新たにGPS衛星の状況を表示する機能が搭載された。
キヤノン初のGPS搭載機もまたコンパクト高倍率ズームからだった。2010年モデルのPowerShot SX210ISのデザインをベースに操作系を改良し、撮像素子をCCDから裏面照射型CMOSセンサーに変更し、GPSユニットを搭載した。レンズは28ミリ相当からの14倍ズームで、28ミリスタートの分、このクラスでは望遠側が強い。ジオラマ風などデジタルフィルタ系も搭載。カメラとしてはなかなか安心して使える(レビュー)。
GPSの仕様は非公開だが、測位の間隔はけっこう短いようだ。GPSロガー機能をオンにすると、電源オフ時も測位するようになる。GPSログファイルはLOG形式。GPSが現在地を測位しているか否かを確認できるのは画面上の小さなアイコン表示のみ、というのはいささか残念。まあ意識しないで使え、ということなのかもしれない。
富士フイルム初のGPS搭載機もまたコンパクト高倍率ズームだった。バリバリの主力モデルで、撮像素子も前モデルの「スーパーCCDハニカムEXR」から「裏面照射型CMOSセンサーEXR」に進化し、高感度時の特性がぐんとよくなった(レビュー)。
画素数も1600万画素に増えたため、画像サイズが半分になる高感度優先のSNモードや、高ダイナミックレンジ優先のDRモード時でも800万画素相当を維持してくれる。レンズは24ミリ相当からの15倍ズームと非常に強力で、ボディサイズを考えると破格の性能だ。
GPSは電源オフ時も測位するか電源オン時のみ測位するかを選べる。オフ時は5〜10分、電源オン時は3〜10秒おきに測位という。GPSログ機能もあり、その場合はLOG形式で記録される。
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