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シンプルで分かりやすい“スマホの友” 富士フイルム「FinePix Z1000EXR」(1/3 ページ)

» 2012年03月01日 09時12分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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 スマートフォンの存在をことさら気にしているコンパクトデジカメ業界であるが、対応策のひとつとして挙げられるのが、「無線LANを利用してスマートフォンと仲良くしよう」というアプローチ。

 無線LANを搭載して、撮影したその場でスマートフォンに写真を転送するのを目的とする訳だが、何やら実装がぎこちないところもあればせっかく無線LANを搭載したのだからとあれこれいろんな機能を搭載したものもある。その中で富士フイルムの「FinePix Z1000EXR」は「スマートフォンに写真を転送するためだけの無線LAN搭載」という超シンプルな選択をしてきたのが面白いところ。

photo 「FinePix Z1000EXR」 光が反射して分かりにくいが、Zの上にFINEPIXと書いてある。薄くて丸みを帯びたデザインだ

 普通の人が気楽に使える無線LAN対応を目指した感じ。そう考えれば、高機能モデルではなく薄型のフルオート系モデルに搭載してきたのも分かるというものだ。

EXR三兄弟の末っ子的なZ1000EXR

 Z1000EXRは高機能な全部入りモデルの「FinePix F770EXR」、超高倍率モデルの「FinePix HS30EXR」と並ぶ、EXR三兄弟の一番下の妹という感じ。裏面照射型の「EXR CMOSセンサー」を搭載した有効1600万画素機だが、他の2モデルと比べるとフルオート指向が強く、操作も再生と動画ボタン、ズームレバーとシャッターが上面に並ぶ以外はすべてタッチパネルとなっている。

photo ボタン類はすべて上面に。再生・動画・シャッター&ズームレバー。電源オフ時も再生ボタンを長押しすれば電源が入って再生が始まる。再生ボタンの左にあるのは赤外線通信のポート

 有効1600万画素の撮像素子は1/2型とほんのちょっと大きめ。レンズは屈曲光学系の5倍ズーム(35ミリ換算28〜140ミリ相当)で、明るさはF3.9-F4.9。屈曲光学系としてはポピュラーなスペックだ。起動には約2〜3秒かかる。液晶モニタはすぐ点灯するが、その後、操作できるまでのタイムラグがちょっと残念(編注:この起動時間はストロボチャージを伴う初回のみ。初回以降の起動時間は約1.5秒)。

photophoto フロントパネルを下に下げるとレンズと凸面鏡が現れる。凸面鏡は自分撮り用の鏡

 フロントのレンズカバーを下に降ろすとレンズが表れる。目につくのが、内蔵ストロボとレンズの間にある円形の凸面鏡。自分撮り用である。感圧式タッチパネルの16:9のワイドモニタは画面右に自分撮り用ボタン、個人認識機能ボタンがある。そういうカメラなのだ。

 自分撮りモードには、自分撮りタイマー(ひとりから4人まで、指定した人数がそろうと自動的にシャッターが切れる。おひとりさまにも対応した記念写真タイマーという感じ)と恋するタイマー(ふたりの顔が近づくとシャッターが切れるという面白いアイデア)の2種類が用意されている。

 普通の機能は左端に縦に並ぶ。カスタマイズなどは特になし。

 面白いのは撮影モードの内容。左上の撮影モードボタンを押すと8つのモードが表れる。独特の構成なのでちょっと解説。

photophotophoto 撮影モードはこの8つ。タッチシャッターだけ独立したモードになっているのがポイント。「プログラム」と「オート」のどちらかはなくてもいいんじゃないかと思う(写真=左)、さらに選べる場合は2層目の選択肢が現れる。これはタッチシャッターのモードを選んだとき(写真=中)、EXRモードを選ぶと、この4つから選べる(写真=右)
photophotophoto 自分撮りメニュー。自分撮りタイマーと恋するタイマーが面白い(写真=左)、EXRオートで起動すると、一瞬だけ、画面にずらりとアイコンが並ぶ。これは自動認識できるシーンのデモみたいなものか(写真=中)、EXRオート時の撮影メニュー。露出補正やWBなどオートのみで変更できない項目はグレーアウトしている。ただ、ISO感度だけは「オートしか選べない」のにグレーアウトしてない(写真=右)

 EXRオートがもっともポピュラーな撮影モード。EXRオートとHR/SN/DRの4つから選べる。HRは1600万画素モード、SNは2画素を混合してノイズを減らすモード、DRは2画素で異なった露出で撮影してダイナミックレンジを広げて撮るモード。後者2つは画像サイズが半分になる。でも800万画素あれば不自由はないだろう。

 EXRオートにするとシーン自動認識が働き、さらにHR/SN/DRから最適なものをカメラが選んでくれる。ISO800を超える場所ではSNモードに切り替わり、さらにISO3200を超えるようなシーンではさらに「連写+合成」が働くようだ。連写+合成はもっと早めに働いてもいいと思うけど。

 また、ちょっとコントラスト差が大きいシーンではSNモードに切り替わってダイナミックレンジが広くなる。これはけっこういい。

 HR/SN/DRを自分で指定した場合のみ、タッチフォーカス(タッチした被写体に自動追尾フォーカスをかける)が可能になる。通常のEXRオートではこれが使えない。せっかくのタッチパネルなのに、もっともよく使われると思われるモードでそれを生かせないのは謎である。

 で、さらにタッチショットモードがある。

 タッチショットには「タッチEXRオート」と「タッチショット」の2種類から選べる。前者はEXRオートの、後者は「オート」のタッチシャッター版。指でタップしたらそこにピントを合わせて自動的にシャッターが切れるモードだ。

 画面を押したらすぐAF+撮影が行われるのは分かりやすいが、手ブレしやすいので注意。タップした瞬間に撮影される(iPhoneのように押した指を離した瞬間ではないので注意)ので。

 プログラムオート時は露出補正やISO感度設定など細かい撮影設定を行えるが、使い勝手は微妙だ。操作インタフェースは昔ながらのタッチパネルインタフェースで、ドラッグしてスクロール、スライドしてパラメータ調整、という技はない。

photo オートやプログラムでISO感度を選択する画面だが、スクロールは左の三角で行う。なぜアイコンを並べないでこんなリスト式にしたのかは謎

 スクロールやパラメーターを増減させるときは「三角アイコンをタップ」するのだ。凝った撮影をしようと思うと画面を何度もタップする必要があるわけで、前時代的ではあるんだけれども、「素早く快適な操作より、ステップ数は増えても単純でまちがえない操作」を指向しているわけである。

 まあ基本的に、EXRオートかタッチEXRオートで使うカメラだ。

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無線LAN | 自分撮り | FinePix | 富士フイルム | EXR CMOS


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