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「Lightroom 4」第1回――新モジュールと強力な「ハイライト」「シャドウ」復元長期試用リポート

» 2012年04月03日 10時04分 公開
[ITmedia]
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 アドビシステムズのRAW現像ソフト「Adobe Photoshop Lightroom」の最新版、「Adobe Photoshop Lightroom 4」(以下:LR4)が店頭に並んで約2週間が経過した。1月からパブリックβが提供されており既に試用した向きも多いかと思われるが、アップグレード/乗り換え版ならば版は1万80円という価格設定もあり、気になる人もいるかと思う。そこで、これより数回に渡ってLR4について触れてみたい。

photo 「Adobe Photoshop Lightroom 4」 一見したところ既存バージョンとの違いは少ない

 LightroomといえばRAW現像ソフトの定番のひとつで、既存バージョンの利用者も多いかと思う。最新版のLR4も画面右上に「ライブラリ」「現像」などのモジュールが並ぶ画面インタフェースは既存バージョンを継承しており、新バージョンでも、既に既存バージョンを使っている、あるいは使ったことがあるユーザならばほぼ迷うことなく利用できるはずだ。

 LR3との比較でいえば、主な機能追加は次の4点になる。

  • 「マップ」モジュールの追加
  • 「ブック」モジュールの追加
  • RAW現像における階調補正機能の強化
  • 動画編集機能の強化

 このほかにも、プリント時のカラーを確認する「ソフト校正」、DNG形式への変換、ホワイトバランス/ハイライト/シャドウなどの部分補正、LR4からの画像メール添付送信、Adobe Revelへの直接送信なども新機能として追加されているが、まずは順を追って確認していこう。

 マップモジュールの追加は、ジオタグのついた画像を地図にオーバーレイ表示させるもので、アップル「Aperture」などでは対応していたのでようやくといった感もある。地図はGoogleMapを利用しており、単純な地図や航空写真など表示を切り替えることもできる。もちろん、ドラッグ&ドロップでジオタグのない画像にジオタグを付加することもできる。

photo ジオタグのある写真がライブラリに含まれていると、「マップ」モジュールではこのように表示される
photophoto 同一地点での「ロードマップ」「ハイブリッド」表示

 任意の地点を「マイロケーション」と指定し、撮影した複数写真をグルーピングする機能もある。地点の設定は円形のエリアで、範囲は半径1万キロで指定可能。円形の指定しかできないので大まかな指定にとどまるが、観光地に出かけた写真をまとめておくなどの使い方が考えられるだろう。また、GPX形式のGPSロギングデータの読み込みにも対応する。

photophoto 「マイロケーション」の利用例。任意の名称を付けることができるので、旅行先の名称などで作成しておくと便利

 GPS付きカメラといえばまだまだ少数派だが、iPhoneをはじめとしたGPSを搭載したスマートフォンでは撮影した写真にジオタグを付加するものが多い。LR4でスマートフォンの写真も管理対象に含めると、地図を見ながら写真を振り返ることができて意外に楽しい。スマートフォンでも写真を多く撮るユーザーには試してほしい機能といえる。

 「ブック」モジュールは、ライブラリの写真をオンデマンド製本サービス「Blurb.com」で注文するためのモジュールだが、インタフェースは日本語化されているものの日本国内からのサービスは現時点では利用できない(正確に言えばBlurb.comが日本語をサポートしていない)。ただ、レイアウトしたブックをPDF出力することはできるので、簡易製本のサポートツールとしては利用できそうである。

photo 「ブック」モジュール。右上「ブック設定」の下、「ブック:」を「PDF」とすれば、レイアウト結果のPDF出力が行える

強力な「ハイライト」「シャドウ」復元

 「現像」モジュールについては、RAW現像の処理エンジンが新しくなったことから「基本補正」パネル内の項目がいくつか変更されている。LR4で大きな機能強化としてアピールされている、ハイライトとシャドウの復元はここに用意されている「ハイライト」「シャドウ」から行う。

photo 「基本補正パネル」に「ハイライト」「シャドウ」が用意された

 LR3ではハイライト/シャドウの復元を行う際、基本補正パネルの露光量/白とび軽減/補助光効果/黒レベルを調整することで行っていたが(「白とび軽減」でハイライトの明るさ調整、「補助光効果」でシャドウ部の明るさ、「黒レベル」ではシャドウ部の暗さを調整した)、LR4では「ハイライト」「シャドウ」のスライダ一発で補正が完了する。「露光量」では全体のバランスが崩れてしまう場合でも、これらの調整では上手に補正してくれるので、手間がかからない。

photo 補正なし(左)とハイライト−100(右)。白トビで失われていたボートの木目が復元されている
photo 補正なし(左)、シャドウ+100(右)。黒ツブレで色味がなくなっていた葉っぱに緑が戻っている

 「ハイライト」「シャドウ」の上には「露光量」、下には「白レベル」「黒レベル」と並ぶが、ここについては基本、「スライダ右で明るく、左で暗くなる」となることに気をつけたい。

 LR3では「左でマイナス補正、右でプラス補正」となっており、例えば、シャドウ部の暗さを補正する「黒レベル」スライダを右に振れば(プラス補正する)より写真は暗くなり、シャドウ部の明るさを補正する「補助光効果」スライダを右に振れば(プラス補正する)、写真は明るくなっていた。

 LR3ではスライダの左右移動と写真の明るさ/暗さが、各項目で統一されていなかったものが、LR4では前述したように各項目において「スライダ右で明るく、左で暗く」なる。旧バージョンの利用者からすると戸惑う部分ではあるが、ここはUIの設計思想変化と受け止めたい。

 なお、「カメラキャリブレーション」の「処理」を「2010」とすればLR3の現像処理、「2012」とすればLR4の現像処理が行える。「ハイライト」「シャドウ」の補正を使いたければ「2012」を選択するしかないのだが、スライダの左右挙動を含めて、LR4に慣れるまでは、慣れたLR3の現像処理で写真を仕上げていくことも可能だ。

photophoto 「カメラキャリブレーション」「処理」「2010」の基本補正パネル(写真=左)、同じく「2012」の基本補正パネル(写真=右)。いくつかの項目が入れ替わっているのが分かる

 「ハイライト」「シャドウ」のスライダは画面全体に適用されるが、LR4の現像モジュールでは部分的な補正を行うブラシツールも強化されている。次回はそのあたりを見てみよう。

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