ソニーは、「photokina 2012」の会場でプレスラウンドテーブルを開催し、欧州のデジタルカメラ市場の動向や新製品について解説した。同社のデジタルイメージング事業本部副本部長の勝本徹氏は、「フルフレーム(フルサイズ)のトリオ(3機種)など、世の中にないものを付加価値として製品につけていく」と語り、そのうえでカメラ文化へさらなる貢献を図っていきたい考えを示した。
欧州のデジカメ市場は現在、金額ベースでは減少傾向で、コンパクトデジカメやビデオカメラは縮小している。しかしレンズ交換式カメラは伸びている。その中でミラーレス市場は18%程度と「世界でも普及が遅い部類」(欧ソニー Personal Imaging & Sound Europe AMCの安田孝司氏)だという。しかし、その分だけ拡大の余地は大きく、そこに力を入れていく考えだ。
世界のミラーレス市場では、2011年は金額ベースでは同社が41%のシェアを確保して1位を獲得。英独仏露の主要4カ国では、フランスとロシアでシェアトップとなっている。現在、ミラーレス市場はレンズ交換式カメラ全体の17%程度で、そのうちの30%を占めていることになるが、これは今後さらに拡大する見込みで、同社ではさらなるシェア拡大を目指す。そのために、「NEXの良さを分かってもらい、欧州市場を開拓したい」(安田氏)と意気込む。
デジタル一眼レフ市場では、高価格帯である2100ユーロ以上の領域が拡大している。今回のphotokinaに合わせる形でキヤノンが「EOS 6D」、ニコンが「D600」とそれぞれフルサイズ機を発表したが、それまで市場では売上の少ない領域で、「しっかりとした商品を出せば市場がある」(安田氏)という。この領域には、α900の後継機であるα99を投入し、一定の地位を確保したい考えだ。
コンパクトデジカメの縮小傾向はスマートフォンによる影響が大きい。しかしその中でも、高倍率ズーム機と高級コンパクトのジャンルは伸びており、「スマホで代替できてしまうカメラはだんだん減り、スマホがリーチできない、画質にこだわったり特徴的な機能があるカメラは拡大していく」(安田氏)との認識を示す。
同社では、400ユーロ以上の高級コンパクトに向けて「DSC-RX100」を、350〜400ユーロの領域に高倍率ズーム機の「DSC-HX20V」を投入し、250〜350ユーロの領域には「DSC-WX100」などを投入し、この1年でシェアを拡大した。こうしたユーザーのニーズに応える商品を投入することで、さらにビジネス拡大を狙う。
勝本氏は、スマホの台頭でコンデジが縮小しているものの、写真を撮る枚数は増えており、写真を趣味にする人も多くなっている、と指摘。そういったユーザーが増え、最終的には画質が求められる傾向が出てきているという。その結果、高級コンパクトの売り上げが伸びており、また、スマホでは撮れないような高倍率ズームの機種が拡大し、さらにユーザーが増えることで、そうしたジャンルの製品がさらに伸びる、とみている。
また、デジタル一眼はフルサイズの「最高のものをお届けする方がいいという考え」で、ミラーレスでは「小ささに価値がある」(勝本氏)というスタンス。その上で、勝本氏は「最高の画質のものを提供したい」と意気込む。
そうしたソニーのブースでは、「フルフレーム(フルサイズ)トリオ」としていずれも35ミリフルサイズセンサーを搭載するデジタル一眼「α99」、ビデオカメラ「NEX-VG900」、コンパクトデジカメ「DSC-RX1」を出展。これらに加えて、日本でも年内の投入が予告された「NEX-6」や「NEX-5R」のアプリによる機能拡張「PlayMemories Camera Apps」、アクションカメラ「HDR-AS15」などを紹介するブースになっていた。
また、ブースには4Kテレビを持ち込み、撮影した画像を表示するデモも実施。4Kテレビでの高画質な写真表示もアピールしていた。4Kテレビによる写真表示は、高画質に、大画面で表示するソリューションとしてテレビ業界だけでなく写真業界からも注目されている。テレビがフルHDに対応し、ソニーではデジカメとのマッチングを図って写真を見栄え良く表示する「プレミアムフォト」機能を同社薄型テレビ「BRAVIA」に搭載しているが、勝本氏は、4Kテレビでも同様のマッチングを図っていくため、テレビ開発の部隊と技術的なディスカッションをしている、という。
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