去年から今年にかけて、普及型コンデジがどんどん寂しくなってかわりにハイエンドコンデジが元気、という状況なのだけれども、両者をどこで区別してるかというと、普通は「センサーサイズ」、つまり撮像素子の大きさを基準にしてる。
1/2.3型クラスの撮像素子を使っていれば普及型、1/1.7型以上のちょっと大きめ撮像素子を使っていればハイエンド。
で、ハイエンドコンデジの定番といえば、このジャンルを古くから手がけていたキヤノンの「Powershot S」と「Powershot G」、この2シリーズなのだ。その最新モデルが「Powershot S120」と「Powershot G16」。どちらも撮像素子は1210万画素のCMOSセンサーで1/1.7型。撮影機能も似た感じ。でもコンセプトがまったく違う。
S120は携帯性重視のコンパクトタイプで常時携帯にいい。オートで気軽に撮るのがメインの人向け。G16は実用性重視のゴツいタイプで拡張性も操作性も高い。自分でセッティングしながら凝った撮影をしたい人向けだ。
今回は実用性重視のG16をチェックする。
Powershot Gシリーズは、途中いくつか番号抜けがあるものの、2000年に発売されたG1からずっと、「光学ファインダー」と「アクセサリーシュー」を持つハイエンドモデルという立場を継承してきた。
この展開が速いデジカメ界において13年もブレずにきたコンサバさは感服すべきで、そろそろ光学ファインダーからEVFに移行するか、富士フイルムのFUJIFILM X20のように光学ファインダーをレベルアップすべきかと思うが、この変わらなさ、昔ながらのデジカメそのものという安心感が一番すごい点かもしれない。そんな安心感というか信頼性というかそれがG16の良さ。
ボディがややすんぐりしている分、コンパクトさが身上のS120に比べてレンズもいいものを搭載している。35ミリ換算28〜140ミリ相当の5倍ズームだが、このズーム域でF1.8-F2.8という明るさは素晴らしい。140ミリ相当でもF2.8なのでかなり明るいわけで、望遠端でも扱いやすい。
撮影最短距離はワイド端でレンズ前1センチ、テレ端だと40センチまで寄れる。ただフルオート時以外はマクロモードにする必要があるのはちょっと残念。
基本性能の高さも特徴のひとつ。今回、映像処理エンジンが「DiGiC6」にアップしている。AFは前モデルに比べて約41%短縮したそうで、実際に使ってみてもAFは快適でさっと合う。
もうひとつは高速連写。フルサイズで12.2枚/秒。これは最初の5枚だけだが、6枚目以降も9.3枚/秒の速さ。コンデジだと最初の数秒だけ高速連写できるけど、バッファがいっぱいになったらあとは遅くなるよ、ってカメラが多い中、秒9枚を維持してくれるのはすごい。
実際にどのくらい速く撮れるのか。このくらいである。
撮影のタイムスタンプを見ると、ちゃんと1秒あたり9枚以上撮れている。夕刻で暗かったけれども、レンズが明るいのでシャッタースピード優先で1/800秒をなんとか確保できた。
これは使える。
レンズが明るくても開放で撮れるよう、あるいはわざとシャッタースピードを落としてスローシャッターで撮れるよう、NDフィルタも内蔵している。
さらに操作系もハイエンド機ならではの良さがある。上面には露出補正ダイヤルがついていて親指でさっと回せるし、グリップ部に電子ダイヤル、背面にはロータリーダイヤルが装備されているので、操作は快適。
背面にはISOボタンやAFフレーム選択ボタンがあるし、カスタマイズできるショートカットボタンもあるので、たいていの操作はその場でさっと行えるし、FUNCメニューを使えばそれ以外の機能もその場で変更できる。
ただ、これは昔からそうなのだけれども、AFモードの切り替えがFUNCメニューから行えないのがいささか不便。AFを顔優先にしていると、顔がないときのAFポイントはカメラが勝手に決めちゃうのだ。AFポイントを自分で動かせるアクティブAFモードだと顔検出をしてくれない。
AFモードはさっと切り替えるられるようにして欲しいと思う。
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