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第13代“G”実力診断 「PowerShot G16」(1/4 ページ)

» 2013年10月22日 10時37分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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 去年から今年にかけて、普及型コンデジがどんどん寂しくなってかわりにハイエンドコンデジが元気、という状況なのだけれども、両者をどこで区別してるかというと、普通は「センサーサイズ」、つまり撮像素子の大きさを基準にしてる。

 1/2.3型クラスの撮像素子を使っていれば普及型、1/1.7型以上のちょっと大きめ撮像素子を使っていればハイエンド。

 で、ハイエンドコンデジの定番といえば、このジャンルを古くから手がけていたキヤノンの「Powershot S」と「Powershot G」、この2シリーズなのだ。その最新モデルが「Powershot S120」と「Powershot G16」。どちらも撮像素子は1210万画素のCMOSセンサーで1/1.7型。撮影機能も似た感じ。でもコンセプトがまったく違う。

photo 左が「Powershot S120」で右が「Powershot G16」。同スペックの撮像素子でも性格が異なる2モデルだ

 S120は携帯性重視のコンパクトタイプで常時携帯にいい。オートで気軽に撮るのがメインの人向け。G16は実用性重視のゴツいタイプで拡張性も操作性も高い。自分でセッティングしながら凝った撮影をしたい人向けだ。

 今回は実用性重視のG16をチェックする。

photo PowerShot G16は前モデルのG15を継承したちょっとずんぐりしてるけど非常にグリップしやすいデザイン。右下にボタンがあるけど、これはコンバージョンレンズなどを装着する時に使う

伝統のコンサバデザイン

 Powershot Gシリーズは、途中いくつか番号抜けがあるものの、2000年に発売されたG1からずっと、「光学ファインダー」と「アクセサリーシュー」を持つハイエンドモデルという立場を継承してきた。

 この展開が速いデジカメ界において13年もブレずにきたコンサバさは感服すべきで、そろそろ光学ファインダーからEVFに移行するか、富士フイルムのFUJIFILM X20のように光学ファインダーをレベルアップすべきかと思うが、この変わらなさ、昔ながらのデジカメそのものという安心感が一番すごい点かもしれない。そんな安心感というか信頼性というかそれがG16の良さ。

photophoto 正面から。光学ファインダーはズームへの連動はするけれども、特に情報表示もない昔ながらタイプ。そのとなりはAF補助光の投射穴
photo 上面から。少し重なって設けられたモードダイヤルと露出補正ダイヤルが特徴。アクセサリシューにはEOS用の外付けストロボを装着できる

 ボディがややすんぐりしている分、コンパクトさが身上のS120に比べてレンズもいいものを搭載している。35ミリ換算28〜140ミリ相当の5倍ズームだが、このズーム域でF1.8-F2.8という明るさは素晴らしい。140ミリ相当でもF2.8なのでかなり明るいわけで、望遠端でも扱いやすい。

 撮影最短距離はワイド端でレンズ前1センチ、テレ端だと40センチまで寄れる。ただフルオート時以外はマクロモードにする必要があるのはちょっと残念。

 基本性能の高さも特徴のひとつ。今回、映像処理エンジンが「DiGiC6」にアップしている。AFは前モデルに比べて約41%短縮したそうで、実際に使ってみてもAFは快適でさっと合う。

 もうひとつは高速連写。フルサイズで12.2枚/秒。これは最初の5枚だけだが、6枚目以降も9.3枚/秒の速さ。コンデジだと最初の数秒だけ高速連写できるけど、バッファがいっぱいになったらあとは遅くなるよ、ってカメラが多い中、秒9枚を維持してくれるのはすごい。

 実際にどのくらい速く撮れるのか。このくらいである。

photo

 撮影のタイムスタンプを見ると、ちゃんと1秒あたり9枚以上撮れている。夕刻で暗かったけれども、レンズが明るいのでシャッタースピード優先で1/800秒をなんとか確保できた。

 これは使える。

 レンズが明るくても開放で撮れるよう、あるいはわざとシャッタースピードを落としてスローシャッターで撮れるよう、NDフィルタも内蔵している。

 さらに操作系もハイエンド機ならではの良さがある。上面には露出補正ダイヤルがついていて親指でさっと回せるし、グリップ部に電子ダイヤル、背面にはロータリーダイヤルが装備されているので、操作は快適。

photo グリップ部の前ダイヤルはやや硬めだが使い勝手はよい

 背面にはISOボタンやAFフレーム選択ボタンがあるし、カスタマイズできるショートカットボタンもあるので、たいていの操作はその場でさっと行えるし、FUNCメニューを使えばそれ以外の機能もその場で変更できる。

photo 背面から。ISOやAFフレーム選択ボタンが独立しているのと、ショートカットボタンの用意が特徴的。画面中央下に表示されているのは電子水準器
photophoto ISOボタンを押してISO感度変更中。ダイヤルを回すときは画面にこのようなガイドが出る(写真=左)、FUNCボタンを押すとFUNCメニューが表示され各項目をさっと変更できるのはPowershotの伝統。Dレンジ補正(ハイライト部の補正)や暗部補正のオンオフもここでできる(写真=右)
photophoto FUNCメニューに表示される内容はカスタマイズできるので、不要なものを外せばもっとすっきりする(写真=左)、MENUボタンを押すと環境設定系のメニュー。ただAFフレームはFUNCの中に入れて欲しいかな(写真=右)

 ただ、これは昔からそうなのだけれども、AFモードの切り替えがFUNCメニューから行えないのがいささか不便。AFを顔優先にしていると、顔がないときのAFポイントはカメラが勝手に決めちゃうのだ。AFポイントを自分で動かせるアクティブAFモードだと顔検出をしてくれない。

 AFモードはさっと切り替えるられるようにして欲しいと思う。

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