富士フイルム「FUJIFILM X-E2」(レビューまとめはこちら)は独自のAPS-Cサイズ「X-Trans CMOS IIセンサー」と「Xマウント」レンズ群を採用するレトロなデザインが特長のミラーレスカメラだ。スペックなど詳細は別記事に譲るが、本機は前モデル「X-E1」からスタイルは継承しつつもリニューアルを果たし、グンと性能がアップし注目を集めている。そのX-E2の魅力を3回に分けて実写インプレッションとしてお届けしよう。
X-E2とレンズ数本をバッグに入れて家を出る。この時点で「今日はたくさん歩いていろいろ写真が撮れそうだな」と感じる。なんといっても機材を全部入れてもバッグが軽いからだ。X-E2のボディ本体はバッテリーとメモリーカード搭載時で約350グラム。これに装着するレンズの重量が加わるが(レンズキットの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」の場合約310グラム)軽量級と言っても差し支えないだろう。これはスナップ撮影にとって大きなメリットになる。デジタル一眼レフよりかなり、そして他のミラーレス機よりいくぶん、肩に掛かる重さが違うのが実感できる。
X-E2はボディのデザインが実にいい。ダイヤルを中心としたオペレーションは直感的に操作しやすく、クラシカルなたたずまいは撮り手を盛り上げてくれる印象がある。サイズ感も手にしっくりと馴染み、自然な立ち居振る舞いでのシューティングができそうだ。
足取りも軽く用水路沿いを歩いて古民家がある公園に到着。そして「XF35mmF1.4 R」をX-E2に装着して歴史を感じさせる建物に入った。35ミリ換算で50ミリレンズ相当の画角だ。これでF1.4開放値での撮影を楽しんでみようと思う。
古民家内部でEVFと液晶モニターを交互に使って撮影したが、センサーによる自動切り替えがなかなかよく、アイレベルそしてローアングルとでフレーミングする際に誤動作もなくストレスを感じることがなかったのはうれしい。
外光が差し込む畳敷きの部屋を撮影。ローパスフィルターレスのX-Trans CMOS IIセンサーは、畳の目地をシャープに、そして豊かに描写している。柔らかく美しいXF35mmF1.4 Rのボケ味もいい感じだ。アイレベルから低いアングルに変更した時でも、EVFから液晶モニターに瞬時に切り替わって、もたつきなくフレーミングを決められるのがX-E2のよいところであろう。
いつまで時を刻んでいたのかだろうか、歴史を物語る壁掛け時計を絞り開放で撮影。X-E2のホールドしやすいボディと、EVF使用で両手と眼下付近でしっかりと構えるとスローシャッターも怖くない。EVFはとても見やすく実用的だと感じる。右手親指で露出補正ダイヤルを繰ってマイナス補正をし重厚感を醸しだした。直感的な操作ができるのがアナログインタフェースの魅力である。
畳の部屋で太陽の光を浴びる仏花。シャープなハイライトが画面上にアクセントを与えている。花の質感を潰さず、照らし出された部分を飛ばさず、室内の雰囲気をうまく描写できるギリギリを狙って−2.3EVの補正をかけた。右手親指で簡単に補正値をコントロールできるのが快感だ。日本家屋の湿り気のようなものが表現できたと思う。色の正確な再現性にはさすが富士フイルム、とうなってしまう。
いろりにかかるとても重そうな鉄瓶。ローパスフィルターレスのX-Trans CMOS IIセンサーはその使い込まれた質感を見事に写し出している。黒バックなので露出オーバーになるところを、右手ですかさずマイナス補正をかけた。補正範囲が±3段まで拡張されたので(X-E1は±2段)、シビアなシチュエーションでもイメージ通りに撮影することができるだろう。手で回す分には十分な節度感があっていいが、バッグから出し入れの際、たまに補正ダイヤルが回転してしまうことがあった。
ひとしきり古民家で撮影をして外に出ると傾いた太陽が木々の葉を照らしていた。そこでバッグの中にあった「XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」に交換して狙ってみた。実は今まであまりに軽いので持ち歩いていたのを忘れていたのだ。マニュアル露出で葉脈がわかるようにアンダー目にシューティング。右手でシャッターダイヤル、左手でレンズのリングで絞りをコントロールできるのがとてもやりやすい。写りもキレがあり、葉の反対側に止まっている虫までしっかりととらえていた。
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